2019年のレギュラーシーズンが終わり、10月5日(土)からは「パーソル CS パ」が始まる。ファーストステージは、2位の福岡ソフトバンクが3位の楽天を本拠地・ヤフオクドームで迎え打つことになった。ここでは今季の両者の戦いを振り返りたい。
パ・リーグ最終順位
福岡ソフトバンク 2位 76勝62敗5分
楽天 3位 71勝68敗4分
勝差「5.5」
福岡ソフトバンクvs楽天
勝数 ソ13 楽12
得点 ソ95 楽90
安打 ソ218 楽194
本塁 ソ28 楽24
打率 ソ.255楽.237
盗塁 ソ23 楽8
防率 ソ3.12楽3.34
2位の福岡ソフトバンクは76勝62敗5分、勝率.551でフィニッシュ。3位の楽天は71勝68敗4分、勝率.511でシーズンを終え、両者のゲーム差は5.5となった。直接対戦の成績は、福岡ソフトバンクが13勝、対する楽天は12勝という結果に。直接対戦の得点や防御率などは、福岡ソフトバンクが楽天をやや上回る形となったが、実力は拮抗している。
好調な滑り出しを決めた両チーム。序盤は首位を奪い合う展開に
福岡ソフトバンクは開幕から引き分けを挟んで5連勝、楽天も初戦こそ敗れたがその後は5連勝。スタートダッシュを決めた両チームは、1位、2位を入れ替わりながら走り続けた。
【第1~3回戦:楽天生命パーク宮城】
楽天:1勝 福岡ソフトバンク:2勝
両軍の今季初対決は4月12日。楽天の本拠地・楽天生命パーク宮城での3連戦だった。ゲーム差なしで始まった首位攻防戦の初戦は、新外国人・ブラッシュ選手の先制適時打などで楽天が勝利。しかし、延長にまでもつれた2戦目を福岡ソフトバンクが取ると、3戦目は高橋礼の開幕3連勝で勝ち越しを決め、単独首位に立った。
【第4~6回戦:ヤフオクドーム】
福岡ソフトバンク:2勝 楽天:1勝
平成が終わり、令和になった5月1日。この日に始まった福岡ソフトバンクの本拠地・ヤフオクドームでの3連戦初戦は、投打がかみ合った楽天が初戦を制した。しかし2戦目には、圧巻の投球を見せた大竹耕太郎投手の今季初白星で福岡ソフトバンクが勝利すると、3戦目は両軍合わせて23得点の乱打戦を制し、鷹が2カード連続の勝ち越し。首位の座を譲らなかった。
【第7~8回戦:楽天生命パーク宮城】
楽天:2勝 福岡ソフトバンク:0勝
ここまで押され気味の楽天だったが、5月8日から始まった楽天生命パーク宮城での2連戦初戦で劇的な勝利を挙げる。この日は序盤から7点を奪われる厳しい展開をじわじわと追い上げ、最終の9回裏にルーキー・辰己涼介選手がプロ初のサヨナラ打。7点差をひっくり返す逆転勝利を演じると。翌日の2戦目もサヨナラゲームで勝利を収め、福岡ソフトバンク相手に連勝を飾った。
【第9~11回戦:ヤフオクドーム】
福岡ソフトバンク:0勝 楽天:3勝
5月後半、首位を走る福岡ソフトバンクに離されていた楽天が再接近する。5月31日、わずか1ゲーム差で迎えた交流戦直前のヤフオクドームでの3連戦。投手戦となった初戦を楽天が制すると、2戦目を岸孝之投手の今季初勝利で飾り、単独首位を奪還。さらに3戦目は美馬学投手の好投で楽天が3連勝。福岡ソフトバンクはカード3連敗で、交流戦を前に首位を明け渡すことになった。
交流戦明けの後半戦。対照的な状態となった両軍
6月4日に開幕したセ・パ交流戦は、福岡ソフトバンクが11勝5敗2分で優勝。楽天は10勝8敗で5位タイという結果になった。両者に割って入るように状態を上げた北海道日本ハムとともに、パ・リーグ首位を奪いあい、最終的には交流戦で大きく貯金に成功した福岡ソフトバンクが、交流戦明けに首位に躍り出た。
【第12~14回戦:ヤフオクドーム】
福岡ソフトバンク:3勝 楽天:0勝
交流戦が終了し、2ゲーム差で迎えた7月2日からの3連戦では、福岡ソフトバンクが3連勝。初戦はグラシアル選手が6打点の働きを見せ、2戦目はデスパイネ選手の満塁弾でペースをつかむと、そのまま3戦目も勝利。キューバの助っ人野手が合わせて16打点の大活躍で、楽天を突き放した。
これを含めて交流戦明けの7月は対極の結果に。福岡ソフトバンクは交流戦明けから8連勝で首位独走態勢に入り、対抗馬は2位に上がってきた北海道日本ハムに。一方の楽天は8連敗と状態を落とし、借金こそなかったが、貯金3の壁を越えられず。埼玉西武との激しいAクラス争いに身を投じることになる。
【第15~17回戦:楽天生命パーク宮城】
楽天:2勝 福岡ソフトバンク:1勝
福岡ソフトバンクは今季最大の貯金17を作るなど、首位をキープ。対する楽天は4位で迎えた7月19日からの3連戦。初戦は美馬投手があわや完全試合という投球を披露し、楽天が勝利。2戦目も辛くも勝利を収め、連勝で3位に浮上するが、3戦目は福岡ソフトバンクが一矢報いる形で再び4位に。福岡ソフトバンクが1位を走り続ける中、楽天は激しい順位変動が続く1カ月となった。
【第18~20回戦:楽天生命パーク宮城】
楽天:1勝 福岡ソフトバンク:2勝
8月に大型連敗を喫した北海道日本ハムと入れ替わる形で3位に浮上した楽天は、首位の福岡ソフトバンクを追いかける。5.5ゲーム差で迎えた8月13日からの3連戦は、福岡ソフトバンクが勝ち越し。初戦を完封リレーで取ると、翌日の2戦目は19安打と打線爆発で連勝。3戦目は延長戦の末、銀次選手の一打で楽天がサヨナラ勝利を挙げた。しかし、2位・埼玉西武が福岡ソフトバンクを猛追、プレッシャーをかけ始め、楽天は3位争いに置いて行かれるようになった。
勝負は終盤9月へ。今季最終戦は順位決定の大一番となった
【第21~23回戦:ヤフオクドーム】
福岡ソフトバンク:3勝 楽天:0勝
「優勝は福岡ソフトバンクか、埼玉西武か」とささやかれるようになった9月。楽天も千葉ロッテとのAクラス争いが厳しくなっている中で迎えた9月3日からの3連戦。初戦の投手戦を福岡ソフトバンクが制すると、2戦目は4本塁打と空中戦、3戦目はリリーフ陣の活躍で3連勝を飾り、首位を守り続けた。対する楽天は連敗で千葉ロッテに3位を譲った。
【第24回戦:ヤフオクドーム】
福岡ソフトバンク:0勝 楽天:1勝
9月も終盤に差し掛かり、福岡ソフトバンクは守り続けた首位の座をついに埼玉西武に明け渡すことになる。同時に楽天は3位の千葉ロッテと僅差でAクラスを狙う中やってきた9月18日。ここは頼れるベテラン藤田一也選手の決勝打が光り、楽天が勝利。3位千葉ロッテに0.5ゲーム差とすると、翌19日の直接対決を制しAクラスに滑り込む。福岡ソフトバンクは痛恨の3連敗、埼玉西武に遅れを取った。
【第25回戦:楽天生命パーク宮城】
楽天:1勝 福岡ソフトバンク:0勝
今季最終戦は9月24日。埼玉西武が千葉ロッテに勝利し、楽天が福岡ソフトバンクに勝利すれば、埼玉西武のリーグ優勝と楽天のCS進出が同時に確定となる大一番は、美馬投手と千賀滉大投手による投手戦に。福岡ソフトバンクが先制も、ウィーラー選手の逆転弾で流れをつかんだ楽天が勝利。千葉でも埼玉西武が大勝を収め、福岡ソフトバンクは優勝を逃し、楽天はCS進出と、明暗分かれる一戦で、両軍の戦いは幕を閉じた。
激闘を繰り広げた鷹と鷲。ファーストステージのキーマンは誰に?
全25回戦を常に緊張感ある中で戦い続けた両者。「パーソル CS パ」でも、ハイレベルな戦いを見せてくれることは間違いないだろう。そんな短期決戦でのキーマンは誰になるのか、注目したい選手を紹介する。
迎え撃つ福岡ソフトバンクは、キューバからやってきた助っ人3人が好相性。野手はグラシアル選手、デスパイネ選手が2人合わせて12本塁打35打点と活躍が目立つ。投手はミランダ投手が3試合に先発し、防御率1.53の好投を続けていることから、この助っ人トリオが楽天攻略のカギになるか。一方で、エースの千賀滉大投手は5試合に先発、防御率2.91の好成績も、3敗を喫しているのは気になるところ。野手では主砲を期待される柳田悠岐選手が9月の5試合では打率.167と鳴りを潜めていたが、CSで爆発なるか。
挑戦する楽天は、美馬学投手が7試合で3勝、防御率1.97と相性の良さを発揮する一方、則本昂大投手が2戦2敗、防御率も8.10と不安な数字を残している。投手力が試される短期決戦で結果を出すことはできるか。打線では、銀次選手が2度サヨナラ打を放つなど、高打率をマーク。特にヤフオクドームでは、打率.380と当たっている。対して、主に3番に座った浅村栄斗選手は対戦打率.163と苦手にしている。ポストシーズンではクリーンナップの務めを果たしたいところだ。
大混戦のパ・リーグで激しい上位争いを繰り広げた両チーム。シーズンでは何度も首位に立つ場面があっただけに、優勝できなかった悔しさは拭いきれない。しかし、クライマックスシリーズでの「下克上」も十分考えられるだけに、まずは目の前のライバルとの戦いに勝たなくてはならない。そしてその先に、パ・リーグ連覇を果たした埼玉西武が待っている。
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https://tv.pacificleague.jp/page/smp/service/
文・丹羽海凪
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