今季もパ・リーグでは投手の活躍が目立った。特に先発投手の力投が多く見られ、2度ノーヒットノーランが達成されるなど、完封試合の数は17。この記事では、今季球場を沸かせた先発投手の完封勝利を振り返っていく。

今井達也　大宮で見せた気迫の138球

◇埼玉西武対千葉ロッテ 第3回戦（4月13日・県営大宮球場）

　2023シーズンのパ・リーグ完封勝利第1号は、今季背番号を「48」に変更した今井達也投手。初回から真っすぐが冴えわたり、7回まで無安打に抑える。8回表に1死から安田尚憲選手に初安打を浴び、9回表にも1死1、2塁のピンチを招いたが、後続を断って138球2安打無失点で完封勝利。今井投手らしい投球で11三振も奪った。

宮城大弥　制球力が光った完封劇

◇東北楽天対オリックス 第6回戦（5月9日・楽天モバイルパーク宮城）

　序盤の2回裏、3回裏と得点圏に走者を背負った宮城大弥投手。しかし、そのピンチを無失点で切り抜けると、以降は多彩な変化球を操り、8回まで5イニング連続で3者凡退という圧巻の投球を披露する。9回は1死から浅村栄斗選手に安打を浴びたが、後続を危なげなく断って109球4安打6奪三振。四死球はわずか1と制球力が光った。

大関友久　熊本で見せた奪三振ショー

◇福岡ソフトバンク対北海道日本ハム 第6回戦（5月9日・リブワーク藤崎台球場）

　熊本で行われた「ファイト！九州デー」の一戦に先発した大関投手は、序盤3回をパーフェクトに抑える上々の立ち上がりを見せた。この試合、打たれた安打は4回表の1本のみ。切れ味抜群のフォークで空振りを誘うなど、7回表の3者連続三振を含む13三振を奪い、9回125球無失点に抑えて味方の援護を待つ。

　そして、0対0で迎えた9回裏1死2塁、相手の失策の間に2塁走者・周東佑京選手が一気に生還し、待望の決勝点が。サヨナラ勝ちで完封勝利を手にした。

加藤貴之　技巧派左腕が“らしさ”発揮。無四球で新球場初完封

◇北海道日本ハム対千葉ロッテ 第7回戦（5月13日・エスコンフィールド）

「NEW AGE GAMES produced by SHINJO」の初戦。この日の加藤貴之投手は変化球を巧みに投げ分け、相手打線に的を絞らせない。3回裏に江越大賀選手の3ランなどで味方が5点を先制すると、その後も精緻な制球で打たせて取り、終盤の8回表には先頭・安田尚憲選手に安打を許しながらも後続を3者連続三振。9回表は上位打線を3者凡退に抑え、9回102球4安打無四球でエスコンフィールドでの初完封勝利を収めた。

上沢直之　約5年ぶりの完封は本拠地のファンの前で

◇北海道日本ハム対埼玉西武 第8回戦（5月17日・エスコンフィールド）

　加藤投手のさすがの投球から4日後、今度はエースが完封劇を演じた。1回表、2死2塁のピンチを空振り三振で切り抜けた上沢直之投手は、2回以降も粘り強い投球を見せる。チェンジアップを操り9三振を奪う一方、2併殺などで要所を締めて9回120球4安打2四球。2018年6月26日以来、自身5度目の完封勝利は本拠地のファンの前で挙げた。

宮城大弥　高橋宏斗との手に汗握る投手戦を制す

◇中日対オリックス 第3回戦（6月4日・バンテリンドーム）

　宮城大弥投手は持ち味の緩急を生かし、4回まで1人の走者も許さない。相手先発・高橋宏斗投手を打ちあぐね、味方の援護が得られないなか、テンポの良い投球で中日打線を手球に取った。8回表、2番手・祖父江大輔投手から森友哉選手が先制3ランを放つなど、味方打線が5点を挙げるとさらにギアを上げ、9回を108球2安打に抑えた。無四球で10三振を奪う支配的な投球で、今季2度目の完封勝利を飾った。

文・河野桜己

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