一番しぶとく粘ったのは誰? 挟殺プレー“逃走タイム”TOP5

パ・リーグインサイト キビタキビオ

挟殺プレー逃走タイム(C)パーソル パ・リーグTV
挟殺プレー逃走タイム(C)パーソル パ・リーグTV

おそらく本邦初の検証?

 面白いことを思いつくよね、“パテレ”のスタッフさんたち──。
 と、思わず関心してしまった今回のテーマは、「挟殺プレーになったときに、どれだけタッチされずに塁間を右往左往したか」を計測した“逃走タイム”のランキングである。

 この道約20年にわたり野球のタイムを計測してきた筆者でも、試したことすらなかったこのタイム。貴重な機会なので、動画の視聴者のみなさんと同じ目線で、プロ野球選手が本気で行う“鬼ごっこ”を堪能したい。そして、そのなかで「タイムが長くなるのは、どのような状況や動作が絡むのか?」を考察し、紹介していこう。

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フェイントを見極めて粘った佐藤都志也選手(千葉ロッテ)

 まずは、9秒38というタイムで5位にランクインしたプレーから。
 最初なので詳細にプレーを追うと、守備側・埼玉西武は、捕手・古賀悠斗選手が佐藤隼輔投手の投球後、少し様子を伺ってから1塁へ送球。一塁・マキノン選手が捕球した時点からタイムカウントがスタートした。

 攻撃側・千葉ロッテの打者・藤原恭大選手はこの投球で空振り三振を喫しており、1塁を飛び出していた佐藤都志也選手は古賀選手の送球に帰塁できず2塁へ向かう。それが目に入ったマキノン選手はすぐに2塁に送球したが、佐藤都選手は「2塁は間に合わない」と読んでいたのか早めに踵を返し、挟殺プレーに発展した。

 最終的に、源田壮亮選手-マキノン選手-外崎修汰選手-源田選手と送球が往来して佐藤都選手はアウトになったが、2塁で送球を受けた遊撃・源田壮亮選手がそれほど追い込まずにマキノン選手へ送球して、佐藤都選手との距離を詰められなかったこと。そして、次に佐藤都選手を追い込んだマキノン選手が「(2塁へ)投げるぞ、投げるぞ」というフェイントをするも、佐藤都選手はそれに引っかかからず、距離を保ちながらゆっくり2塁に向かったことで、思いのほか時間が経過したようだ。

1塁走者の3塁到達まで時間を稼いだ紅林弘太郎選手(オリックス)

 続いては、9秒85で4位となった紅林弘太郎選手の走塁に注目。スクイズを外され、三本間に立ち尽くした紅林選手だが、早々にお縄を頂戴するわけにはいかない。1、3塁の場面だったため、できるだけ長く粘って1塁走者を3塁までたどり着かせたかったからだ。

 そのため、紅林選手は3塁へ戻りつつも、ボールを手に追ってくる捕手の動きを冷静に見極め、捕手が3塁へ送球するよりわずかに早く方向転換。本塁側へ追われるがまたもターンし、再び3塁に追い詰められたところでも、送球のタイミングを読んでフライング気味に三たびターンできたのが素晴らしかった。

 ボールを持つ野手が本塁方向へ離れていく間に、1塁走者は余裕を持って3塁に到達。アウトカウントはひとつ増えたものの、再びランナー3塁の状況をつくれたという意味でグッジョブである。

3塁走者の本塁生還を確認後、アウトになった中川圭太選手(オリックス)

 低めの変化球を払うように打った打球は、速いゴロとなって三遊間を破るレフト前ヒット! 2塁走者は3塁を回ってホームインを狙うか? というスリリングな場面で挟殺プレーに迷い込んだのは、ヒットを放った中川圭太選手自身であった。

 左翼・近藤健介選手が猛烈な勢いでゴロにチャージしてきたことから、2塁走者の宗佑磨選手は3塁でストップ。送球も内野手が途中でカットしたことで、1塁を回って2塁へ向かっていた中川圭選手が窮地に追い込まれた。ボールは2塁ベースに渡り、挟殺プレーが発生する。

 この場面では1塁走者が挟まれている間に、3塁走者が隙を突いてホームインできれば得点になる。試合は2回表でオリックスが早くも5点リードしており、福岡ソフトバンクの守備陣は3塁走者の生還を是が非でも最優先に防ぐ選択肢があったと思うが、テンポの早い送球を繰り返して中川圭選手を一二塁間に釘付けにしている間に宗選手は生還。

 中川圭選手はそれを見届けた後、最後は走るのをやめて安堵したようにアウトになったが、結果的に一二塁間を3往復したため10秒13という長いタイムになり、ランキング3位に入ることとなった。

ベテラン鈴木大地選手(東北楽天)が粘ったが……

 11秒85という長い時間を逃げて2位になったのは、ベテランの域に入りつつある34歳の鈴木大地選手だった。

 場面は1死1、3塁。9番・太田光選手のときに敢行したスクイズを外されてしまい、三本間に挟まれた鈴木大選手。だが、エッジの効いたキレッキレのターンを3連発かます。アウトにはなったがまだまだ動きに衰えがない姿を示してくれた。

 ところが、この粘りがありながら、1塁走者の岡島豪郎選手は2塁でストップ。3塁への進塁は自重していた。
 場面は4対1で東北楽天がリードしていた7回裏のこと。無理に3塁を狙って岡島選手までアウトになるリスクを取るよりも、2死2塁のチャンスを残して打席の太田選手を迎えれば、たとえ凡退しても次の回は1番打者から攻撃が始まる。そう考えれば、それもアリだなと納得はできるが……。鈴木大選手が頑張って粘っていただけに、「岡島選手が3塁まで到達していたら、また違った展開になったかもな」などと思ってしまった。

 後ほど確認したところ、鈴木大選手と岡島選手は誕生日も近い同い年だったことが判明(もう少し若いと勘違いしていた)。同じベテランの岡島選手に無理を求めたことは深く反省しつつ、現在も高い身体能力を誇っているだけに、鈴木大選手に呼応するような奮闘を求めるのはわがままだろうか。

番外編:逃走成功!? こちらの方がすごいのでは?

 ここからは番外編。挟まれながらも、うまく逃げおおせた2例を紹介する。

 ひとつはセンター左の深いところへフェンス直撃の打球を放った柳田悠岐選手。俊足でもある柳田選手は、猛烈な勢いで2塁を蹴って三塁打を狙ったが、なんと! その先には、前の走者の牧原大成選手が3塁で止まっていた。
 送球が目の前で中継され、万事休すの柳田選手だったが、これまたなんと! 2塁への送球が逸れてしまい、九死に一生を得た格好となった。

 そして、もうひとつは若月健矢選手が見せたレアなプレー。三本間で挟まれたが、ボールを持っていた北海道日本ハム・伊藤大海投手のタッチを、伏せるようにかがみながらターンして紙一重でかいくぐり、見事ホームインした。

 記事の主旨とは外れるが、これまでの挟殺プレーでアウトになっているシーンばかり見てきたので、番外編ながら「こちらの方がすごいのでは?」と、思わずつぶやいてしまったほどの好プレーであった。

1位は若さあふれる“二刀流新人”の全開ターン

 栄えある1位に輝いたのは、身体能力抜群で投手と外野手の二刀流に挑んでいる北海道日本ハムのルーキー・矢澤宏太選手だ。12秒46というタイムを記録した。素早いターンを披露したため、福岡ソフトバンクの守備陣は追い込んでいるにもかかわらず、翻ろうされているようにも見える空気感が面白い。

 いつまでも続くのではないか? という期待と不安が交錯しはじめたときに引導を渡したのは、遊撃・今宮健太選手。次のターンに備えてスピードを抑えて体勢十分の矢澤選手に対し、今宮選手は突如、ギアを上げて全力ダッシュ! これにはさすがに矢澤選手も加速して逃げねばならず、1塁ベース付近で待ち受ける中村晃選手にボールが渡ると減速できずにタッチされ、そのままファウルゾーンへかけ抜けるように退いた。

瞬発的な野球脳を示唆する新たなタイムの争いに期待

 純粋に面白かった挟殺プレー。プロアマ問わず、守備をする側には「本塁から遠ざかる塁の方へ戻すように走者を追い込む。そうすれば、仮に失敗しても同じ塁にとどまるだけ」という原則がある。

 プロであれば体に擦り込まれているはずだが、実際に事が起きると気がはやるのだろう。案外、距離を詰める前に送球してしまい、走者にターンするチャンスを与えてしまうのだなと、あらためて感じた。
 逆にいえば、ランキングに入ってきた走者たちは、追い込まれながらも相手野手の動きをよく観察しており、仮に直線的に走るスピードとは関係なく、瞬発的な野球脳が優れているといえるのではないだろうか。

 そして、初代王者となった「北海道日本ハム・矢澤宏太選手 12秒46」という記録をベースとして、あるとすれば来年以降になる“次回”では、これを上回るタイムが現れることに期待している。

とりあえず、ここに「挟殺プレー逃走タイム」を競い合う戦いの火ぶたが切られたことを無責任に宣言して(笑)、楽しい時間をひと区切りとしたい。

文・キビタキビオ

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