3月30日の北海道日本ハム対東北楽天戦を皮切りに、いよいよスタートする2023年のプロ野球。チームの順位や個人タイトル争いの行方はもちろんだが、それに加えて新戦力の台頭や昨季まで目立たなかった選手の躍進が見られるのもシーズンの楽しみのひとつだろう。今回は、オープン戦や昨季の成績を踏まえ、今季のブレークが期待される選手を各球団から1人ずつ選んで紹介していく。新人選手や新助っ人は対象外とし、2年目以降の選手からの選出となっている。
オープン戦の快投で話題を集めるオリックスの若き剛腕
昨季のチャンピオンであるオリックスは、高卒3年目右腕の山下舜平大投手に注目したい。彼の武器は球威抜群のストレートだ。オープン戦で投じたストレートの平均球速154.5キロは、パ・リーグの全投手の中でもトップの速さ。奪空振り率も12球団平均の7.9%を大幅に上回っており、昨季よりも格段にスケールアップしている。17日の広島戦では先発として4回2/3を投げ、10奪三振をマークする力強い投球を披露。開幕投手候補として名前が挙がるなど一軍スタートはほぼ確実で、シーズンを通してどのような成績を残すのか非常に楽しみな投手だ。
鷹のユーティリティープレーヤーは本塁打王争いのダークホース?
福岡ソフトバンクの野村勇選手は、チームメートからもブレーク候補として名前が挙がる有望株だ。内外野を守れる守備力や10盗塁をマークした走力でもルーキーイヤーから高い評価を集めたが、最も注目すべきは長打力だ。昨季は203打席で球団の新人最多タイとなる10本塁打を記録しており、1本塁打に要する打席数は20.3。1年目にして、すでにリーグ上位クラスのハイペースでアーチを描いていた。残念ながらこの春はコンディション不良のため出遅れているが、チーム内の競争を勝ち抜いて打席数を伸ばせれば、本塁打王争いのダークホース的存在になる可能性もある。
悔しさ残るルーキーイヤーを経て、飛躍を期する埼玉西武のドラフト1位左腕
即戦力左腕との期待を受けて臨むも、1勝10敗と悔しい1年目を過ごした埼玉西武の隅田知一郎投手。とはいえ、81回2/3を投げて防御率3.75という成績は一定の評価に値する。また、14試合の先発登板で記録した奪三振率8.00は、パ・リーグで10試合以上先発した37投手の中では6位の高さだった。この好成績を支えるのがチェンジアップで、昨季の奪空振り率はリーグ2位の数値をマークした。今季のオープン戦もここまで計9イニングで3失点と結果を残しており、シーズンでは一線級の活躍が期待される。
昨季はケガに泣いた東北楽天の助っ人スラッガーが、真価を問われる2年目に臨む
中軸を担うべく来日した昨季はケガに泣き、21試合の出場に終わった東北楽天のギッテンス選手。特に変化球への対応に苦しみ、打撃成績も本塁打ゼロと振るわなかった。しかし、今季のオープン戦では変化球に対するコンタクト率が73.7%まで上昇しており、三振も昨季と比べて少なくなっている。オープン戦を通しての打撃成績は打率.407、2本塁打と絶好調だ。例えば3月18日の中日戦で柳裕也投手のスライダーをバックスクリーン左にたたき込んだ一発などは、今季の打棒爆発を予感させる。新加入のフランコ選手とともに、打線をけん引したい。
「非常識なストレート」で一軍デビューを目指す千葉ロッテの若手右腕
ロッテの高卒3年目右腕・中森俊介投手は、昨季の二軍戦で防御率0.90の好成績をマークした。その安定した投球を支えた要因のひとつが、ゴロ打球の多さだ。中森投手のストレートは小さく変化する「真っスラ」の性質を持っており、長打のリスクが低いゴロを打たせることができる。昨季はゴロ割合72.7%と、イースタン・リーグ平均値の44.5%を大きく上回る数字をマーク。吉井監督も「非常識なストレート」と評する、彼の最大の特徴だ。この春のオープン戦でも、ここまで3試合に登板して無失点と奮闘中。今季は一軍の打者を相手に、堂々としたピッチングを見せてくれるだろう。
プロ5年目を迎える「マンチュウ」の打撃に開花の兆し
昨季は一軍で100試合に出場し、抜群の身体能力を生かした走塁と外野守備でチームに貢献した万波中正選手。打撃では積極的なスイングで14本塁打をマークしたが、打率.203と確実性には難があった。そんな万波選手が、この春のオープン戦では全体的なスイング率を下げ、待球傾向のスタイルに変化。ボール球に手を出すケースは大幅に少なくなり、徐々に打撃の精度が上がっていることが分かる。以前から高く評価されてきたポテンシャルが、今季はいよいよ開花の時を迎えそうだ。
※文章、表中の数字はすべて2023年3月26日終了時点
文・データスタジアム編集部
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