3大会ぶり優勝の原動力は他チームを圧倒した投手陣

いよいよ3月に迫った「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC(以下WBC)」。侍ジャパンは前回大会で3大会ぶり3度目の優勝を成し遂げているが、その原動力となったのが投手陣だ。上の表で示したように、前回大会でベスト4入りを果たしたチームにおいて、各項目で図抜けた数字を残している。全20チームで見ても防御率と与四球率は1位、奪三振率は2位となっており、投手陣の奮闘ぶりが光る大会だった。今回は、そんな2023年のWBCにおいて侍ジャパン投手陣が好投した要因をひも解きながら、来る今大会に召集されれば活躍が期待できそうなパ・リーグの投手を紹介したい。必ずしも実際の代表選手というわけではないが、もしもの話として楽しんでいただければ幸いだ。
世界屈指の速球大国

まずは前回大会のデータを見ていこう。侍ジャパン投手陣の強みとして際立つデータのひとつが、ストレートやツーシームといった速球系球種の平均球速だ。各チームが選りすぐりの投手を集めるだけあり、大会全体の平均球速は2023~25年のNPB平均より速く、特にベスト8進出チームの平均は3.6km/hも上回っている。しかし、対峙するのもまた超一流の打者たち。大会を通して150km/h未満の速球系は被打率.349、被長打率.535と打ち込まれており、150km/h以上の被打率.251、被長打率.380とは大きな差がある。生半可な球速では太刀打ちできないハイレベルな戦いというわけだ。そんななか、侍ジャパンは全20チーム中3位の平均153.1km/hを記録。大会屈指の剛腕集団が並み居る強打者を力でねじ伏せた。
光る侍投手陣の十八番

次に打者の球種別成績に注目すると、侍ジャパン以外のチームは特にフォーク、スプリットといった鋭く落ちるボールに苦戦していたことが分かる。その傾向を予測していたかのように、前回大会の侍ジャパン投手陣はフォーク系の球種を多投。球種別投球割合は全チームトップの22.2%で、2位の韓国と倍以上の差があるほどだった。フォーク系の球種は侍ジャパンの十八番といえるボールで、各チームが対応に苦しむこの球種を積極的に投じたことも、好成績につながったといえそうだ。
以上を踏まえ、ここからは威力のある速球や、質の高いフォーク、スプリットを投じるという特徴を持った3人の投手を取り上げたい。
高品質な3球種を操る“幕張のドクターK”


まずは、千葉ロッテの種市篤暉投手だ。昨季はとりわけ後半戦に防御率1.45、奪三振率11.38と見事な成績を残した。ストレートの平均球速は150km/hにこそ達していないものの、奪空振り率12.4%と威力は球速以上。決め球のスプリットとのコンビネーションで奪三振を量産した。もうひとつの武器であるスライダーも非常に質が高く、後半戦の奪空振り率は3球種いずれも先発投手の中でリーグ3位(投球数100以上が対象)。高品質な3球種を操る奪三振マシンはまさに国際大会にうってつけの投手といえる。右腕はすでに昨年12月26日の先行発表で代表入りが公表されており、大会での活躍に期待したい。
わずか昨季4登板ながら出色のクオリティー


2人目にはオリックスの山下舜平大投手を挙げたい。昨季は腰のコンディション不良もあり、先発3試合、リリーフ1試合の計4登板に終わる悔しいシーズンとなったが、残した数字は出色だ。まず目を引くのがストレート。先発投手としての平均球速155.5km/hは2位の埼玉西武・今井達也投手に3km/h近い差をつけてリーグ1位で、奪空振り率15.8%もトップ(いずれも投球数100以上が対象)。そんなストレートに加え、落差が大きく奪空振り率26.6%を誇るフォークも操る山下投手であれば、ワールドクラスのスラッガーたちも圧倒することができるだろう。
新球種で覚醒した“スピードキング”


最後に紹介するのは、北海道日本ハムのリリーバー・齋藤友貴哉投手だ。昨季はシーズンを通して活躍を見せたが、ハイライトはパーソルCSパでの4試合だろう。打者14人と対戦して被安打0、奪三振5と素晴らしい投球を披露した。右腕はこのクライマックスシリーズで、シーズン途中から投げ始めていた新球・ツーシームを投球の軸に据えていた。ツーシームは一般的にバットの芯を外して打たせて取るために使われる球種だが、齋藤投手の場合は平均球速157.3km/hという抜群の球威によって空振りも奪えるのが特徴だ。昨季のNPBにおいて、ストレートを含めた速球系の平均球速が日本人投手最速だった“スピードキング”は、侍ジャパンの一員となっても堂々たるピッチングを見せてくれるに違いない。
多士済々な面々が集う侍ジャパン投手陣に割って入ることは簡単ではないが、今回紹介した強力な個性を持つ3人であれば、WBCという最高峰の舞台でも力を発揮できるだろう。井端ジャパンはどのようなメンバーで大会連覇に挑むのか。早ければ1月中にも行われるであろう全代表選手の発表が待ち遠しい。
※文章、表中の数字はすべて2025年シーズン終了時点
文・データスタジアム
