3月8日に開幕、日本代表の試合が目前に迫ってきたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。2017年以来の開催となる今大会では、各国のロースターに有力なメジャーリーガーが名を連ねるなど、開幕前から過去大会を超える盛り上がりを見せている。
侍ジャパンは06年の第1回大会から連覇を果たしたが、直近の2大会はいずれも準決勝敗退と悔しい結果に終わった。本稿では14年ぶりの世界一奪還を果たすべく、投打でカギとなるポイントを探っていきたい。
外国人打者の攻略法
まずは投手に注目して、NPBでプレーする外国人打者の苦手とする球種を見ていく。
日本人選手と外国人選手で比較しても、球種ごとの空振り率や打率の傾向に大きな違いはない。そんな中でフォークやチェンジアップといった落ちるボールは外国人選手の空振りが多く、効果的な球種になっている。特にフォークに関してはアメリカなどではそこまで多用されている球種ではないため、外国人打者にとってあまり馴染みがないという点でも重要なボールと言えそうだ。
フォークの使い手が揃う侍投手陣
では侍ジャパンの投手陣に目を向けてみよう。今回メンバー入りした15人の投手のうち、パ・リーグから選出された6人は全員がフォークを操る。松井裕樹投手、宇田川優希投手、佐々木朗希投手、山本由伸投手の4投手は奪空振り率、被打率ともに優秀で決め球として威力を発揮。またフォークの平均球速はいずれも140km/h台を記録しており、150km/hを超える直球とのコンビネーションは非常に有効になるだろう。
セ・リーグに目を向けても抑え候補の広島・栗林良吏投手や巨人・大勢投手をはじめ落ちる球を得意とする投手がほとんどで、こうした顔ぶれを揃えることが他国の強力打線と戦うために首脳陣が導き出したひとつの答えなのかもしれない。
各打者に求められる速く動くボールへの対応
今回も強豪国には150km/h台後半をマークする投手たちがロースターに名を連ねており、勝ち進んでいくほど速球派投手との対戦は多くなる。直近3年の150km/h以上のボールへの対応を見ると、今年からレッドソックスでプレーする吉田選手が.352のハイアベレージをマークしたものの、主軸として期待される山川穂高選手や正捕手候補の甲斐拓也選手は打率1割台と速いボールを苦手としている。一方でそれぞれポジションを争う巨人・岡本和真選手やヤクルト・中村悠平選手は速球を苦にはしておらず、対戦相手に応じて選手起用も柔軟に対応していきたいところだ。
また動くボールの代表格として挙げられるのが、ツーシームなどシュート系のボールだろう。侍ジャパンに選出されたパ・リーグ打者のシュートへの対応を見てみると、近藤健介選手が2020年から3年連続でシュート打率が3割を超えており、その期間はセ・リーグの選手を含めた今回のチーム内で最も高い打率を誇る。カブス・鈴木誠也選手が故障により出場辞退となってしまっただけに、吉田正尚選手とともに外野のキーマンになるだろう。
栗山英樹監督率いる侍ジャパン。投手陣ではメジャーの第一線で活躍するパドレス・ダルビッシュ投手やエンゼルス・大谷選手、そして野手では今季からメジャーに挑む吉田選手や令和初の三冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆選手といった史上最強ともいえるメンバーが顔をそろえた。まずは侍ジャパンの初戦となる3月9日の中国戦に勝利し、14年ぶりの世界一奪還へ勢いをつけたいところだ。
※文章、表中の数字はすべて2022年シーズン終了時点
文・データスタジアム編集部
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