3月8日に開幕する「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」(以下WBC)。WBCに出場する侍ジャパン30選手が固まり、パ・リーグからは12名が選出された。その中から、本記事は投手にスポットを当て紹介していく。
多彩な変化球と物怖じしない強心臓。道産子エース・伊藤大海
【選手データ】
1997年8月31日生まれ/2021年北海道日本ハムドラフト1位
2022年成績:26試合10勝9敗1S、防御率2.95
通算成績:49試合20勝18敗1S、防御率2.92
北海道日本ハムからは、伊藤大海投手が選出。伊藤投手は、東京五輪でも侍JAPANの一員として活躍し、今回で国際大会は2度目の選出となった。北海道日本ハムでは先発の柱として活躍。入団から2年連続で2桁勝利を挙げた。
持ち味は、多彩な変化球。直球と落差のあるフォーク、曲がり幅の大きいスライダーのコンビネーションで凡打の山を築く。物怖じしない堂々としたピッチングも魅力で、ロジンを多めにつける仕草も話題になった。2度目となる世界の舞台でも、強心臓を武器に思い切り腕を振って投げて欲しい。
パ・リーグの昨季セーブ王 犬鷲の守護神・松井裕樹
【選手データ】
1995年10月30日生まれ/2013年東北楽天ドラフト1位
2022年成績:53試合1勝3敗32S、防御率1.92
通算成績:442試合23勝48敗197S、防御率2.48
主な獲得タイトル:2019年、2022年セーブ王
2017年のWBC以来の代表入り。侍JAPANに選出されたリリーフ陣の中では、唯一の左投手となった。東北楽天では守護神として活躍し、昨季はセーブ王を獲得。
松井投手の魅力は、奪三振能力の高さだ。昨季の奪三振率(投手が1試合9イニング完投したら、いくつの三振を奪えるか)は14.46を記録。これは福岡ソフトバンク・モイネロ投手(キューバ代表)に次ぐリーグ2位の成績だった。スライダ―といった変化球で空振りを取れるのはもちろん、来るとわかっていてもバットが空を切る力強い直球は唯一無二。王者奪還を目指す侍JAPANの強力な1ピースになること間違いなしだ。
史上最年少で完全試合を達成。令和の怪物・佐々木朗希
【選手データ】
2001年11月3日生まれ/2020年千葉ロッテドラフト1位
2022年成績:20試合9勝4敗、防御率2.02
通算成績:31試合12勝6敗、防御率2.10
昨季NPB史上16人目、28年ぶりの完全試合を史上最年少で達成した、長身右腕。高く左足を上げるダイナミックな投球フォームから繰り出される、160km/h超の直球とフォークは一級品。スライダーとカーブも交え、打者に的を絞らせない。昨季は規定投球回未達ながら、リーグ2位の173奪三振をマークした。ストライクゾーンで積極的に勝負するのも持ち味。WBCで世界の名だたる打者をねじ伏せる。
緩急を自在に操る若き左腕・宮城大弥
【選手データ】
2001年8月25日生まれ/2020年オリックスドラフト1位
2022年成績:24試合11勝8敗、防御率3.16
通算成績:50試合25勝13敗、防御率2.89
主な獲得タイトル:2021年新人王
飄々と投げ進める若き左腕。キレの良い変化球と、緩急・奥行きを使った投球術を武器に、昨季は2年連続の2桁勝利を挙げた。持ち味は、多彩な変化球を狙ったコースにきっちり投げ分けることだろう。切れ味の鋭いスライダ―、ブレーキのかかったチェンジアップ、直球と球速差のあるカーブを、淡々と放っていく。右打者に対してはクロスファイアで内角をえぐる直球を決め、左打者相手にもしっかりインサイドをつけるのが強み。変幻自在の緩急で世界を舞台に躍動する。
2年連続投手四冠を獲得。日本球界のエース・山本由伸
【選手データ】
1998年8月17日生まれ/2017年オリックスドラフト4位
2022年成績:26試合15勝5敗、防御率1.68
通算成績:149試合54勝23敗1S、防御率1.95
主な獲得タイトル:2019年最優秀防御率、2020年最多奪三振、2021年~2022年最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、勝率1位、MVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞
日本球界No.1投手との呼び声も高い、山本由伸投手。2年連続投手四4冠、MVP、沢村賞と投手タイトルを総なめにし、日本球界では敵なしの強さを誇る。昨季はノーヒットノーランも達成。150km/hを超える直球に、カーブ、カットボール、フォークなどの多彩な変化球を織り交ぜ相手を打ち取っていく。全てにおいて日本球界トップクラスで、弱点が見つからない。WBCでもエースとして躍動が期待される。
育成契約から一気に飛躍。フォークが武器のシンデレラボーイ・宇田川優希
【選手データ】
1998年11月10日生まれ/2021年オリックス育成ドラフト3位
2022年成績:19試合2勝1敗、防御率0.81
通算成績:19試合2勝1敗、防御率0.81
昨年7月に支配下登録をつかみ取った育成出身右腕。シーズン途中から一軍に合流すると、19試合の出場ながら防御率0点台の活躍を見せた。宇田川投手の武器はなんといっても鋭く落ちる「弾丸フォーク」。昨季は22.1回の投球回に対し、32奪三振と投球回以上の三振を奪った。WBCで世界に「弾丸フォーク」を見せつけてほしい。
文・谷島弘紀
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