苦杯を甞めた経験を糧に。大舞台を逃した埼玉西武の来季に向けた補強ポイントは

パ・リーグ インサイト 成田康史

2018.10.25(木) 08:10

10年ぶりの優勝を決めた埼玉西武ライオンズ(写真提供:Seibu Lions)
10年ぶりの優勝を決めた埼玉西武ライオンズ(写真提供:Seibu Lions)

 圧倒的な打力を武器に、開幕から一度も首位を譲ることなく、パ・リーグ優勝を果たした埼玉西武。しかし、「パーソル CS パ」ファイナルステージで、ファーストステージを勝ち上がってきた2位・福岡ソフトバンクを迎え撃って2勝4敗。5戦合計44失点と投手陣が崩れ、CS敗退が決定した。

 ただ、福岡ソフトバンクのCS突破を許した第5戦の後、辻監督が「来年にスタート」と語ったように、すでにチームの視線は新たなシーズンに向けられている。そこで今季の成績や移籍が予想される選手を紹介しながら、来季に向けた補強ポイントを紹介していく。

投手の課題・補強ポイントは

【先発投手】
・今井投手 15試合、5勝5敗 78.2 回、65奪三振、45失点 防御率4.81
・菊池投手 23試合、14勝4敗 163.2回、153奪三振、59失点 防御率3.08
・多和田投手 26試合、16勝5敗 172.2回、102奪三振、81失点 防御率3.81
・十亀投手 22試合、5勝8敗 124.1回、82奪三振、65失点 防御率4.42
・榎田投手 23試合、11勝4敗 132.2回、98奪三振、53失点 防御率3.32

【救援投手】
・増田投手 41試合、2勝4敗 2ホールド 14セーブ 防御率5.17
・野田投手 58試合、1勝1敗 19ホールド 1セーブ 防御率3.51
・平井投手 64試合、3勝1敗 21ホールド 防御率3.40
・マーティン投手 22試合、2勝1敗 10ホールド 1セーブ 防御率2.08
・小川投手 15試合、1勝0敗 4ホールド 防御率1.59
・ヒース投手 42試合、4勝1敗 9ホールド 13セーブ 防御率2.50

 先発陣には、最多勝の多和田投手をはじめ、3人の2桁勝利投手が現れた。中でも3月に阪神からトレードで加入した榎田投手は、1年を通してローテーションの一角として活躍を続け、キャリアハイを大きく上回る11勝を記録した。

 しかし、今オフ、エース・菊池投手はポスティングシステムを利用しての米球界挑戦が見込まれ、来季は大黒柱を失ってのスタートとなる可能性が高い。シーズン後半からローテーションに定着し、「パーソル CS パ」でも先発した今井投手や、シーズン後半に復調気配を見せた高橋光投手の飛躍にも期待したいところだが、先発投手の補強は急務になるだろう。

 ドラフト候補には、大学球界屈指の右腕・上茶谷投手(東洋大)や大学時代の指名漏れから社会人屈指の右腕に成長したHonda・斎藤投手と、即戦力の先発投手が揃う。オリックス・山岡投手や、東北楽天・則本投手のように、1年目からローテーションを担うことのできる人材を確保したいところだ。

 救援陣では、開幕から守護神を務めた増田投手が振るわず、シーズン中盤からは途中加入のヒース投手がその役割を担った。その他にも、中日から金銭トレードで加入し、左キラーとしてチームを支えた小川投手や、ヒース投手につなぐセットアッパーとして活躍したマーティン投手など、シーズン途中に加わったメンバーがブルペンを支えた。

 野田投手、平井投手といった生え抜き投手の活躍も目立ったものの、ともにシーズンを通しての一軍帯同とはならず。救援陣の補強という長年の課題は、今オフも継続となりそうだ。アマチュア球界には、甲斐野投手(東洋大)、東妻投手(日体大)、生田目投手(日本通運)と、剛球を武器とする投手が揃っているが、この中から指名を受ける投手は現れるか。

野手の課題・補強ポイントは

【野手成績】
・秋山選手 143試合、195安打 24本塁打 82打点、打率.323
・源田選手 143試合、165安打 4本塁打 57打点、打率.278
・山川選手 143試合、152安打 47本塁打 124打点、打率.281
・浅村選手 143試合、175安打 32本塁打 127打点、打率.310
・森選手 136試合、130安打 16本塁打 80打点、打率.275
・外崎選手 119試合、130安打 18本塁打 67打点、打率.287
・中村選手 97試合、 94安打 28本塁打 74打点、打率.265
・栗山選手 114試合、 78安打 8本塁打 52打点、打率.256
・金子侑選手 111試合、69安打 1本塁打 34打点、打率.223

 4選手が全試合に出場、規定打席に到達した打者は6人と安定したメンバーでシーズンを戦い抜いた。中でも、3番・浅村選手と4番・山川選手は、2人で合計251打点を稼ぎ出す活躍で、圧倒的な破壊力を誇った打線を支えた。

 そんな浅村選手は今季中に国内FA権を獲得しており、その動向が注目されている。シーズンを通して3番を担い、32本塁打、127打点を記録した選手がチームを離れるとなれば、相当な痛手となる。今季途中、ともにプロ初本塁打を放った金子一選手や山田選手といったスター候補の台頭に期待しながら、主将としてチームを率いた背番号「3」の去就にも注目したい。

 また、今オフは、長年チームを支えてきた炭谷選手の移籍も噂される。ゴールデングラブ賞2回を誇る守備職人だが、森選手が捕手としての出場機会を増やしたこともあって今季はわずか47試合の出場にとどまった。先発マスクの回数は森選手の74回に対して41回と少ない。ただエース・菊池投手とはシーズンを通してバッテリーを組み、優勝の経験を知る1人としてチームを支えた。投手陣を知り尽くした扇の要の移籍に、どのように備えるか。

 シーズン序盤には一時8点差を付けられた試合をひっくり返すなど、圧倒的な攻撃力を誇った埼玉西武。移籍が想定されるポジション以外の補強ポイントは見当たらないが、1つ強いて挙げるならば「代打」だろう。先発メンバーが固定されており、数自体が少なかったものの、後半はスタメン出場が続いた栗山選手(21打数7安打、代打率.333)を除くと代打の打率は.190となる。勝負強い代打の存在は短期決戦においても必須のピースとなるだけに、来季に向けて確保していきたい。

 「圧倒的な攻撃力」という強く個性の出た戦い方でパ・リーグを制した埼玉西武。10年ぶりの優勝の次は、11年ぶりとなる日本一の頂へ。若獅子軍団にどのような戦力が加わるのか、今から楽しみである。

野手の課題・補強ポイントは

【野手成績】
・秋山選手 143試合、195安打 24本塁打 82打点、打率.323
・源田選手 143試合、165安打 4本塁打 57打点、打率.278
・山川選手 143試合、152安打 47本塁打 124打点、打率.281
・浅村選手 143試合、175安打 32本塁打 127打点、打率.310
・森選手 136試合、130安打 16本塁打 80打点、打率.275
・外崎選手 119試合、130安打 18本塁打 67打点、打率.287
・中村選手 97試合、 94安打 28本塁打 74打点、打率.265
・栗山選手 114試合、 78安打 8本塁打 52打点、打率.256
・金子侑選手 111試合、69安打 1本塁打 34打点、打率.223

 4選手が全試合に出場、規定打席に到達した打者は6人と安定したメンバーでシーズンを戦い抜いた。中でも、3番・浅村選手と4番・山川選手は、2人で合計251打点を稼ぎ出す活躍で、圧倒的な破壊力を誇った打線を支えた。

 そんな浅村選手は今季中に国内FA権を獲得しており、その動向が注目されている。シーズンを通して3番を担い、32本塁打、127打点を記録した選手がチームを離れるとなれば、相当な痛手となる。今季途中、ともにプロ初本塁打を放った金子一選手や山田選手といったスター候補の台頭に期待しながら、主将としてチームを率いた背番号「3」の去就にも注目したい。

 また、今オフは、長年チームを支えてきた炭谷選手の移籍も噂される。ゴールデングラブ賞2回を誇る守備職人だが、森選手が捕手としての出場機会を増やしたこともあって今季はわずか47試合の出場にとどまった。先発マスクの回数は森選手の74回に対して41回と少ない。ただエース・菊池投手とはシーズンを通してバッテリーを組み、優勝の経験を知る1人としてチームを支えた。投手陣を知り尽くした扇の要の移籍に、どのように備えるか。

 シーズン序盤には一時8点差を付けられた試合をひっくり返すなど、圧倒的な攻撃力を誇った埼玉西武。移籍が想定されるポジション以外の補強ポイントは見当たらないが、1つ強いて挙げるならば「代打」だろう。先発メンバーが固定されており、数自体が少なかったものの、後半はスタメン出場が続いた栗山選手(21打数7安打、代打率.333)を除くと代打の打率は.190となる。勝負強い代打の存在は短期決戦においても必須のピースとなるだけに、来季に向けて確保していきたい。

 「圧倒的な攻撃力」という強く個性の出た戦い方でパ・リーグを制した埼玉西武。10年ぶりの優勝の次は、11年ぶりとなる日本一の頂へ。若獅子軍団にどのような戦力が加わるのか、今から楽しみである。

記事提供:

パ・リーグ インサイト 成田康史

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE