「よう見てんな~」ファンの鋭いコメントに能見篤史も驚き 台湾でファンミーティング開催【パ・リーグ台湾プロモーション後編】

駒田英(パ・リーグ インサイト)

2025.9.29(月) 10:00

“リアル”ファンミーティングに参加する台湾のファン【©DAZN】
“リアル”ファンミーティングに参加する台湾のファン【©DAZN】

 前編では、今回の台湾プロモーション特別ゲストである能見篤史氏による強豪校向けの野球教室、そして台湾プロ野球チーム・富邦ガーディアンズとの共同企画イベント「わくわく日本祭」の模様を中心にお届けした。後編では、9月7日に台北市内で開催されたファンミーティングイベントや、台湾限定パ・リーググッズ販売の話題を紹介しよう。

台湾限定ファイターズグッズ【©H.N.F ©STANCAVE】
台湾限定ファイターズグッズ【©H.N.F ©STANCAVE】

台湾初“リアル”ファンミーティング開催 能見氏のノリノリトークにファン大喜び

 9月7日、台北市の三創生活園区にて能見篤史氏をゲストに迎えファンミーティングが行われた。

 昨年12月、楽天イーグルス・宋家豪投手と北海道日本ハム・孫易磊投手をゲストに迎えて行ったファンミーティングはオンラインのみの開催であったことから、PLMとしては記念すべき、初の“リアル”ファンミーティング開催となった。イベントは、DAZN台湾のパ・リーグ中継で解説者をつとめる元プロ野球選手・羅國禎氏が進行を担当。

 冒頭、挨拶に立ったPLMメディアライツ事業部副部長の髙木隆氏は、パ・リーグ6球団所属の9名の台湾選手を紹介し、「言語も文化も気候も違う中、日本という異国の地でチャレンジしている彼らを今後とも是非応援してほしい」と力を込めた。

 そして、大きな拍手の中、能見氏が入場すると、司会の羅氏は開口一番に、「なぜ、新人の頃と同じスタイルを維持できているのですか」と質問。すると能見氏は「食べなきゃいいんです!」と笑いを誘った後、「実は太らない体質で、現役時代は体重落とさないために無理やり入れていたんですよ」と明かした。

 ファンミーティングは、まず、パーソル CS パの予想と6球団の注目選手紹介からスタートした。優勝チーム、そして、パーソル CS パ出場圏内の3位に滑り込むチームを問われた能見氏は、優勝については、残り試合の対戦相手からみると福岡ソフトバンクが有利と予想。3位争いは、各チーム得意・不得意チームが顕著で予想し辛いとしつつも、「バファローズだと思います」と言い切り、会場のオリックスファンから歓声が起こった。

 続いて、PLMが選出したパ・リーグ6球団の注目選手が紹介され、北海道日本ハム・達孝太投手、楽天イーグルス・宗山塁選手、埼玉西武・今井達也投手、千葉ロッテ・藤原恭大選手、オリックス・曽谷龍平投手、福岡ソフトバンク・柳町達選手の名前が挙げられた。

 能見氏による各選手の評価は、いずれも非常に興味深いものであったが、なかでもオリックスの後輩・曽谷投手へ言及した部分を紹介しよう。

 司会の羅氏から、曽谷投手の憧れの投手は「同じ関西地方出身のサウスポーで、イケメンで、奪三振率が高く、今もなお、スリムなスタイルを維持している方だそうですね」と振られた能見氏。「そうなんですよ。目標とする選手が僕だったんですよ。もっといい選手がいるのに、その時点でこの子レベル低いなと思ったんです……」と会場を笑いで沸かせつつ、「でも、そう言ってくれる事は嬉しいです」と笑顔を見せた。

 曽谷投手とは、オリックスでは入れ違いとなったものの、競合指名も予想された中、能見氏はドラフト会議前から「オリックス入団おめでとう」と書いた色紙を準備していたそうで、指名後、球団スタッフを通じ、無事本人に手渡されたという。また、能見氏はさらに羅氏のリクエストに応じ、曽谷投手と、自身のスライダーの“切り方”の違いを、実演を交えて解説した。

スライダーの「切り方」を説明する能見氏【©PLM】
スライダーの「切り方」を説明する能見氏【©PLM】

盛り上がったQ&A 鋭いコメントに能見氏も思わず「よう、見てんな~」

 続いて行われたQ&Aコーナーでは、能見氏に日本語で質問する現地のファンも登場するなど、大いに盛り上がった。今回は、その一部をご紹介する。

「オリックスの元選手・コーチとして、誰がチームのエースとなってくれると期待していますか」という問いに能見氏は、曽谷龍平投手の名前を挙げた後、「もう一人、左のちょっと身長の低い、態度のデカいのがいるんですけど……」と愛のある冗談を交えながら宮城大弥投手の名を挙げ、「やっぱり彼が頑張ってもらわないとね」と強い期待を示した。また、ファンから名を挙げられた山下舜平大投手については「持っているものは埼玉西武の今井達也投手と変わらない。すごいボールを投げます」とポテンシャルを絶賛し、「あとは、フィジカルが万全になれば」と加えた能見氏。

 セ・リーグのDH制導入については、投手が怪我をするリスクが減る上、打てるけど守れずにこれまで出場機会を得られなかった野手のチャンスが増えるとして「賛成」と断言。野球人口が減っている中、“打つことに特化した選手”の道が開けるのではと予想していた。

 また、ファンならではの鋭いコメントも寄せられ、「山本由伸投手や宮城大弥投手とのやり取りはまるで親子のようでした」と聞いた能見氏は、思わず「よう見てんな~」と反応。「両投手とは良い関係でやっていたので、僕も自然と表情を出すようになった」と振り返った。

 続けて、羅氏から「表情関連の話題では、ある選手から、能見さんはグラウンド上で笑顔を見せそうになった時、グラブで隠すと聞きましたが本当ですか」と聞かれると、「はい、隠しますよ」と能見氏。後に、張奕投手から聞いた話と知ると「なるほど……張奕か。見てるな」とニヤリと笑ってみせた。

お守りからアパレルまで! 台湾限定パ・リーググッズ販売 

 台湾プロモーション初の取り組みはファンミーティングだけでない。PLMは、台湾市場においてマイルストーンというべき試みを行った。台湾限定のパ・リーグ球団グッズの販売である。


 今回PLMは、台湾企業とコラボし、北海道日本ハム、埼玉西武、千葉ロッテのパ・リーグ3球団の台湾限定のユニフォーム、キャップ、Tシャツ、お守りを販売した。

 ウール混素材のキャップ、コットンのTシャツ、リバーシブルに楽しめるユニフォームは、いずれもシンプルでスタイリッシュなデザインであるため、タウンユースにぴったりのアイテム。

 また、チームカラーの生地の表に球団のペットマーク、裏に台湾華語の球団名の漢字が刺繍された日本スタイルの「お守り」は、台湾の野球ファンにはたまらない限定グッズだ。富邦ガーディアンズの「わくわく日本祭」では、PLMのブース内に商品見本が陳列され、ファンから大きな注目を集めていた。

 12年連続となったパ・リーグ中継や台湾プロ野球の球団とのコラボ、野球教室やファンミーティングを含むイベント開催、そしてマーチャンダイジングなど、パ・リーグの台湾市場に対する重視ぶりは、台湾の野球ファンにも伝わっているといえよう。

台湾限定グッズを手に取るファン【©PLM】
台湾限定グッズを手に取るファン【©PLM】

 最後に、2023年から台湾プロモーションの企画、渉外、運営まで全てを担ったPLMの髙木氏は、こう3年間を振り返る。

「3年前はパ・リーグ所属の台湾人選手の減少や不振により、視聴結果も芳しくない状況でした。その状況をふまえ、ライブ配信を視聴いただくのみという受身の姿勢から、台湾のファンに対して、能動的にリーチし、タッチポイントを複数つくることに戦略的に取り組みました。最近実施した調査によると、直近3年間以内にパ・リーグ6球団のファンになった方が54%を占めるなど一定の成果を感じています。すべては台湾プロ野球の球団、台湾メディア、台湾企業、そして現配信パートナーであるDAZN台湾のみなさまのご尽力により、成し遂げることができました」

 パ・リーグ6球団でプレーする台湾選手9名のうち、大多数はファームで育成中だが、いずれも期待の星だ。彼らが皆、一軍の主力となった時、台湾におけるパ・リーグ熱はますます盛り上がることだろう。野球を通じた日台交流事業がさらに活発となることを期待したい。

文・駒田 英

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