達孝太、西川史礁、宗山塁、渡部聖弥…… パ・リーグの新人王争いを制するのは?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2025.10.31(金) 18:15

左から北海道日本ハムファイターズ・達孝太投手、千葉ロッテマリーンズ・西川史礁選手、東北楽天ゴールデンイーグルス・宗山塁選手、埼玉西武ライオンズ・渡部聖弥選手【写真:球団提供】
左から北海道日本ハムファイターズ・達孝太投手、千葉ロッテマリーンズ・西川史礁選手、東北楽天ゴールデンイーグルス・宗山塁選手、埼玉西武ライオンズ・渡部聖弥選手【写真:球団提供】

活躍した選手が多く、今季の新人王争いは注目を集めている

 2025年のレギュラーシーズンが終了し、多くの個人タイトルの受賞者も確定した。そんな中で、投票によって選出されるタイトルである新人王に関しては、シーズンを通して奮闘を見せた選手が多かったこともあって、タイトルの行方が読めない状況が続いている。

 今回は、パ・リーグにおける新人王の資格を有している選手の中から、好成績を残した面々を投手と野手に分けてピックアップ。各選手の活躍ぶりをあらためて振り返るとともに、タイトル争いの中心となり得る選手たちについて、より詳しく紹介していきたい。

達孝太を筆頭に、多くの投手が防御率2点台以下の好投を披露した

 2025年のパ・リーグにおいて新人王の資格を持つ投手のうち、特に優れた成績を残した投手たちの顔ぶれと、各投手の成績は下記の通りとなっている。

2025年シーズン パ・リーグ新人王候補の投手 ©PLM
2025年シーズン パ・リーグ新人王候補の投手 ©PLM

 達孝太投手は5月と6月にいずれも3試合に先発登板して防御率0点台と快投を見せ、開幕から無傷の6連勝を達成。プロ入りから全て先発登板で7連勝というプロ野球新記録を樹立し、チームの躍進をけん引するセンセーショナルな活躍を披露した。

 7月以降は勝ち星のペースが伸び悩んだが、8月は月間防御率は3.26で奪三振率は9.31、9月は月間防御率2.00で完封を含む2勝と、終盤戦においても好投を展開した。最終的に107.2イニングを投じて8勝を挙げ、防御率2.09、K/BB4.70とハイレベルな成績を記録。21歳という若さながら堂々たるピッチングを展開し、大きなインパクトを残してみせた。

 山田陽翔投手は過去2年間は一軍登板がなかったが、今年4月の一軍デビュー以降はブルペンの一角に定着。7月終了時点で29試合に登板して自責点はわずかに1、防御率0.30とまさに圧倒的な投球を展開し、前半戦におけるチームの好調を支える存在の一人となった。

 8月以降はやや調子を落としたものの、最終的に49試合に登板して20ホールドポイント1セーブを挙げ、防御率2.08と優秀な数字を記録。高卒3年目のシーズンに大きな飛躍を遂げ、リリーフ陣の主力として幅広い場面で登板を重ねるフル回転の活躍を見せた。

 松本晴投手はリリーフとして開幕を迎え、開幕から12試合連続無失点と抜群の安定感を発揮。5月21日の試合以降は先発に配置転換されると、9月に調子を落とすまで先発ローテーションの一角として登板を重ね、チームのリーグ優勝にも貢献。防御率2.76、奪三振率9.07、K/BB4.00と指標面でも優秀な数字を記録し、持ち場を問わない柔軟性を発揮した。

 高野脩汰投手はシーズン途中にロングリリーフからセットアッパーに転向して20ホールドポイントを挙げ、防御率1.84、奪三振率10.23、K/BB4.36と抜群の投球内容を披露。柳川大晟投手は故障で37試合の登板にとどまったが、7ホールド11セーブを挙げて防御率1.02、奪三振率10.95と支配的な投球を見せ、クローザーとしてチームの快進撃に寄与した。

3名のルーキーに加えて、高卒2年目の捕手も規定打席に到達する豊作の年に

 続いて、2025年のパ・リーグにおいて新人王の資格を持っている野手の中で、好成績を残した選手たちの顔ぶれと、その成績を確認していきたい。

2025年シーズン パ・リーグ新人王候補の野手 ©PLM
2025年シーズン パ・リーグ新人王候補の野手 ©PLM

 昨年のドラフトの目玉として5球団の競合を経てプロ入りした宗山塁選手は、大きな期待に応えて開幕スタメンの座を勝ち取ると、その後も主力として奮闘。パ・リーグの新人では最多となる122試合に出場し、最終盤までAクラス争いを繰り広げたチームを支えた。

 最終的に規定打席到達を果たして112安打を記録し、打率.260という数字を記録。守備の負担が大きい遊撃手を務めながら一定以上の打撃成績を残しつつ、年間を通じて一軍に帯同した点は特筆もので、攻守にわたって前評判の高さに違わぬ存在感を放ってみせた。

 西川史礁選手は序盤戦こそ苦戦を強いられたものの、6月は月間打率.441、7月は同.303、8月は同.344と3カ月連続でハイアベレージを記録。シーズン最終戦で規定打席に到達し、新人では最多となる117本の安打を放ってリーグ6位の打率.281という好成績を残した。

 それに加えて、リーグトップとなる27本の二塁打を記録した事実が示す通り、プロ1年目から逆方向に強い打球を放って長打を量産した点も見逃せない。外野守備でもリーグトップの9捕殺を記録しており、攻守にわたって新人離れした数字を記録したと言えよう。

 渡部聖弥選手は3月の月間打率.455、4月は同.431と序盤戦で圧倒的な成績を残したが、2度にわたる故障離脱の影響もあり、5月以降は大きく調子を落とす。それでも、9月は月間打率.301、10月は同.333と、シーズン最終盤には本来の打撃を取り戻しつつあった。

 最終的には規定打席に到達して打率.259を記録し、新人では最多となる12本塁打を放った。宗山選手と西川選手が記録した本塁打数はそれぞれ3本だっただけに、球界全体で投高打低の傾向が強まる状況にあって、新人の中で頭一つ抜けた長打力を発揮した点は注目に値しよう。

 インパクトを放った3名の新人選手に加えて、高卒2年目の寺地隆成選手も大きな飛躍を遂げた。今季は開幕一軍入りを果たして4月に月間打率.344と出色の打撃を披露し、主戦捕手の座を確保。交流戦期間以降は上位打線に定着し、打線をけん引する存在となった。

 9月以降は指名打者としての起用が中心となったが、最終的に規定打席に到達して106安打を放ち、打率.256と一定の数字を記録。20歳の若さで捕手としてチーム最多の77試合に出場して、守備の負担が大きい中で打撃面でも活躍を見せたことは希少性の高い要素だ。

プロ生活で1度きりのチャンスを活かし、多士済々の新人王争いを勝ち抜くのは誰か

 投手の中では、8勝を挙げて防御率2.09と支配的な投球を見せた達投手が、新人王の有力候補と言えそうだ。野手では、遊撃手として攻守で存在感を示し続けた宗山選手、新人王の有資格者の中では打率と安打数でリーグ最高の数字を残した西川選手、新人の中で最多の12本塁打を放った渡部聖選手の3名が、それぞれ異なるアピールポイントを備えている。

 今季の新人王争いは、山田投手や寺地選手も含め、いずれも異なるシーズンであればタイトルを獲得してもおかしくない選手が多く顔を並べるハイレベルなものとなっている。プロ野球人生で一度きりのチャンスを生かし、新人王のタイトルを獲得する選手は誰になるのか、その結果を楽しみにしつつ待ちたいところだ。

文・望月遼太

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