パーソル パ・リーグ4連覇を目指す2024年のオリックスだが、2023年のオフに山本由伸投手と山崎福也投手が退団。先発ローテーションの中心だった2人の穴を埋めるのは誰か。昨季までの成績を参考に、2024シーズンのオリックスの先発陣を予想する。
頼もしさ増す宮城大弥 23年新人王の一軍完走に期待
山本投手からエースの座を継ぐ筆頭に宮城大弥投手を挙げたい。3年連続で規定投球回&2桁勝利を達成している宮城投手。2023年はプロ入り最多3完投を記録し、完封勝利はリーグ最多の「3」だった。
また勝率.714、WHIP0.94、被打率.203はリーグトップの山本投手に次ぐ数字。公式戦のみならず、CSと日本シリーズといった短期決戦でもプレッシャーのかかる局面を任され、年々頼もしさが増している。
パ・リーグの新人王に輝いた山下舜平大投手にとって、2024年は一軍初登板から実質2年目のシーズンに。それでも昨年の快進撃を見れば、自然と投手王国の中心になることを期待してしまう。昨季は余裕をもった日程で登板していたが、中嶋聡監督がどのくらいの頻度で起用するのかも注目だ。
東晃平投手はプロ入りからここまで無敗、自身7連勝中。昨季の後半戦から一軍に定着し、阪神との日本シリーズ第3戦では5回1失点で勝利投手になった。山下投手と同じく一軍で完走できれば、2桁勝利も見えてくる。また、ルーキーイヤーにプロ初勝利をマークした2年目の曽谷龍平投手もローテ入りが期待されるだろう。
ただ山下投手、東投手、曽谷投手はいずれも年間通して一軍でローテーションを守った経験がまだない。それだけに過去2度、規定投球回に到達した実績を持つ田嶋大樹投手の存在は大きいだろう。
昨季の田嶋投手はコンディション不良もあって13試合の登板にとどまった。それでも一軍復帰で白星を挙げると、以降は3試合連続でQSを記録。日本シリーズ第5戦では7回無失点、阪神打線を散発4安打に抑える快投だった。今季は3年ぶりの規定到達、自身初の2桁勝利も達成なるか。
山岡泰輔投手は昨年、シーズン後半から本格的に中継ぎに転向したが、先発投手として実績十分。これまで開幕投手は2度務め、13勝を挙げた2019年は最高勝率を獲得した。先発復帰となれば、心強い存在となるだろう。
山岡投手同様に昨季、中継ぎで貢献したのが小木田敦也投手。イニングをまたいだ登板もこなし、38試合で防御率2.19とブルペンに欠かせない投手の一人になったが、7月22日北海道日本ハム戦ではブルペンデーの一環で先発登板。さらにさかのぼるとTDK時代に先発経験がある。先発ローテーションの穴を埋める、ダークホースになる可能性も。
新外国人投手ではエスピノーザ投手、マチャド投手、カスティーヨ投手が加入。特に千葉ロッテから移籍したカスティーヨ投手は昨年7月末から先発ローテーション入り。3勝を挙げるなど好投が光っていた。
ファームから台頭なるか 移籍組の起用法も注目
ファームでの成果を引っさげて一軍定着を目指す投手も。村西良太投手は投球フォームをアンダースローに変えたことが功を奏し、昨季のウエスタン・リーグ最優秀防御率を獲得した。2019年育成1位の佐藤一磨投手はウエスタン最多勝となる8勝を挙げている。今季こそ支配下登録・一軍初登板を叶えられるか。
昨年高卒新人だった齋藤響介投手はファームで11試合登板、1勝2敗、防御率2.25の成績。9月26日埼玉西武戦で4回無失点、2安打2奪三振4四死球と一軍デビューを果たした。プロ2年目もファームで鍛錬を積みつつ、スポット的な一軍登板の機会をつかみたい。
トレードで北海道日本ハムから移籍した吉田輝星投手と、現役ドラフトで中日から加入の鈴木博志投手の登板も楽しみだ。吉田投手は2022年に中継ぎで活路を見出し、プロ入り最多となる51試合に登板したが、新天地で再度先発へ挑戦となるか。鈴木投手はプロ1年目の2018年に53登板、12ホールドと中継ぎでブレイクしたが、ここ2年は先発でも起用されている。
ここまで12投手を紹介したが、それ以外の投手が昨季の山下投手や東投手のように主力へ台頭する可能性も当然ある。山本投手と山崎福投手の退団をチャンスととらえ、どれだけの投手が力を発揮できるか。2024シーズンもオリックス投手陣は必見だ。
文・菊地綾子
関連リンク
・投高打低の影響は?昨季パ・リーグの「リーグ平均打率」
・死球が多い選手の顔ぶれを、直近6年の数字から振り返る
・首位打者に輝いた頓宮裕真。タイトル獲得につながったストレートへの対応力
・日替わりオーダーはパのスタンダードに。選手起用から見るオリックスの強さとは
・1点差ゲームから見るパ・リーグ6球団の戦いぶり
記事提供: