今季もパ・リーグでは投手の活躍が目立った。特に先発投手の力投が多く見られ、2度ノーヒットノーランが達成されるなど、完封試合の数は17。第1弾・第2弾に続き、今季球場を沸かせた先発投手の完封勝利を振り返っていく。
石川柊太 育成出身2人目のノーヒットノーラン!
◇福岡ソフトバンク対埼玉西武 第16回戦(8月18日・PayPayドーム)
序盤から大量の援護を得た石川柊太投手は、テンポの良い投球で凡打の山を築いていく。5回までは直球で押し込んでフライアウトを重ね、6回以降はカットボールを軸に相手打線を無安打に封じる。最終回にも2三振を奪うなど球威は衰えず、最後の打者は1球で一ゴロに仕留めた。127球4四死球8奪三振の快投で、史上88人目、育成出身では2人目となるノーヒットノーランを達成した。
宮城大弥 今季3度目は21歳最後の日に
◇埼玉西武対オリックス 第20回戦(8月24日・ベルーナドーム)
21歳最後のマウンドに立った宮城大弥投手は、多彩な変化球で相手打線に的を絞らせず。得点圏に走者を背負ったのは8回裏の1度のみと危なげない投球を披露し、9回117球4安打で今季パ・リーグ最多となる3度目の完封勝利。4回裏に3者連続三振を奪うなど12個の三振を積み上げる一方で、与四死球は0と自慢の制球力を見せつけた。
伊藤大海 無四死球で3年連続完封勝利
◇埼玉西武対北海道日本ハム 第19回戦(8月26日・ベルーナドーム)
序盤は走者を出すイニングが続いた伊藤大海投手だったが、中盤から尻上がりに調子を上げ、5回以降は無安打に抑える。最終回は渡部健人選手、中村剛也選手をいずれも3球三振に仕留めるなど、相手クリーンナップをわずか7球で片付けた。9回107球6安打無四死球7奪三振の内容で、ルーキーイヤーの2021年から3年連続となる完封勝利を収めた。
上沢直之 好相性のオリックス戦で今季2度目の完封
◇北海道日本ハム対オリックス 第20回戦(9月1日・エスコンフィールド)
コーナーを突く投球で、4回まで無四球1安打と上々の立ち上がりを見せた上沢直之投手。5回表に2死1、3塁のピンチを招くが、来田涼斗選手からこの日最速の150km/hの直球で空振り三振を奪い、無失点で切り抜ける。その後許した安打は、8回表のゴンザレス選手の二塁打のみ。好相性のオリックス戦で9回114球2四死球7奪三振と好投し、今季2度目の完封勝利を手にした。
山本由伸 まさに“球界無双”な2年連続ノーヒットノーラン
◇千葉ロッテ対オリックス 第19回戦(9月9日・ZOZOマリンスタジアム)
3年連続でパ・リーグMVP、沢村賞を獲得するなど、投手部門の主要タイトルを総なめした山本由伸投手。この日はその真骨頂を見せつけた。
初回をわずか7球で退けると、その後も相手打線を全く寄せ付けず、5回まで1人の走者も許さない。6回裏、先頭の安田尚憲選手に四球を与えたものの、8回裏に3者連続三振を奪うなど終盤まで勢いは止まらず。9回102球2四死球8奪三振でNPB史上100度目、自身2度目のノーヒットノーランを成し遂げた。2年連続の達成は亀田忠投手以来82年ぶりとなった。
文・河野桜己
関連リンク
・パ・リーグ第1号は今井達也 2023年の完封試合を振り返る vol.1
・有原航平は大型連敗脱出に貢献 2023年の完封試合を振り返る vol.2
・上沢直之、加藤貴之、伊藤大海の3本柱が奮闘【ファイターズ2023:投手編】
・今季最も“優雅な”本塁打を打ったのは……
・今季一軍デビューを果たした高卒3年目選手をピックアップ
記事提供: