最多勝右腕2名が同僚に。有原航平と伊藤大海の「共通点」と「相違点」にデータで迫る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2026.1.15(木) 15:00

北海道日本ハムファイターズ・有原航平投手(左)伊藤大海投手(右)【画像:パーソル パ・リーグTV、球団提供】
北海道日本ハムファイターズ・有原航平投手(左)伊藤大海投手(右)【画像:パーソル パ・リーグTV、球団提供】

2年連続で最多勝を分け合う2名の右腕が、2026年から同じユニフォームに袖を通す

 2年連続で最多勝のタイトルを獲得している有原航平投手が、2026年から6年ぶりに北海道日本ハムへ復帰する。同球団には2年連続で有原投手と最多勝を分け合った伊藤大海投手も在籍しており、2名の最多勝右腕が同じユニフォームに袖を通すかたちとなった。

 今回は、有原投手と伊藤投手がNPBにおいて記録してきた各種の成績や指標をもとに、両右腕が持つ投手としての共通点や相違点を紹介。両投手が近年のパ・リーグで結果を残し続けてきた理由に迫るとともに、2026年以降のさらなる活躍にも期待を寄せたい。

有原航平:高い制球力を活かし、直近3年間は安定感も大きく向上

 有原投手がNPBで記録した、各種の成績と指標は下記の通り。

有原航平投手 年度別投手指標 ©PLM
有原航平投手 年度別投手指標 ©PLM

 NPBでの9シーズンで与四球率が3点台以上になったことは一度もなく、ルーキーイヤーの2015年を除く8シーズンは全て与四球率2.20以下の数字を記録。キャリア平均の与四球率も2.03と、先発投手としては非常に優秀な水準を維持している。

 また、MLB挑戦以前の6年間で1点台の与四球率を記録したのは2018年だけだったが、日本球界復帰後の2023年と2024年は2年続けて与四球率1点台を記録。近年に入ってから、持ち前の制球力にさらなる磨きがかかっていることが示されている。

 その一方で、キャリア平均の奪三振率は6.56とやや低く、多くの三振を奪うタイプの投手ではない。ただし、キャリアハイの15勝を記録した2019年には奪三振率8.82という自己最高の数字を記録し、7点台以上の奪三振率を記録したシーズンも4度存在するなど、キャリア初期には一定の奪三振率を記録したシーズンも存在していた。

 しかし、2023年の日本球界復帰以降は3年連続で奪三振率が6点台以下と、2020年以前に比べてより控えめな数字となっている。その一方で、被打率に目を向けると、2023年は.233、2024年は.215と2年続けてキャリア平均の数字を下回っており、1イニングごとに許した走者の平均を示す「WHIP」も、2023年から3年連続で1.19以下と優秀な水準にある。

 これらの数字からは、日本球界への復帰後はこれまで以上に打たせて取る投球にシフトしていることがうかがえる。球界全体で投高打低の傾向が強まっている環境にあって、ストライクゾーン内で打者と勝負する能力が高いという有原投手の特性が大いに効果を発揮している可能性は高そうだ。

 また、2020年までの6年間におけるシーズン投球回は2017年の169イニングが最多だったが、2024年は182.2イニング、2025年は175イニングと直近2年間は増加傾向が見られる。一定以上の安定感を維持しながら多くのイニングを消化できる能力は、リリーフ陣の負担増大が最終盤での苦戦につながったファイターズにとっても大きなプラスとなり得る。

伊藤大海:昨季は最多奪三振のタイトルも獲得

 伊藤投手がNPBで記録した、各種の成績と指標は下記の通り。

伊藤大海投手 年度別投手指標 ©PLM
伊藤大海投手 年度別投手指標 ©PLM

 ルーキーイヤーの2021年における与四球率は3.27だったが、2022年は同2.83、2023年は同2.41と年を経るごとに与四球率が改善。2024年の与四球率は1.99と自身初の1点台に突入し、2025年は1.33と抜群の数字を記録した。プロ入りから5年連続で与四球率を向上させている点も含めて、制球力の面では年を経るごとに大きな進化を続けていることがわかる。

 奪三振率はプロ1年目の2021年に8.69と優秀な数字を記録したものの、翌2022年は6.48と大きく数字が低下していた。だが、2023年に7.87、2024年に8.22とその後は年々数字を改善させていき、2025年には196.2イニングで195奪三振、奪三振率8.92と投球回に迫る三振数を記録し、自身初となる最多奪三振のタイトルを手にするなど長足の進歩を遂げた。

 K/BBに関しても2021年は2.66、2022年は2.29とキャリア初期はやや控えめな水準だったが、2023年には3.27と向上を見せ、2024年には4.13と優秀と呼べるだけの水準に到達。2025年に記録した6.72という数字は規定投球回到達者の中ではリーグ最高の数字であり、数字の面でも先発投手として抜群の能力を持つことが示されている。

 WHIPはプロ入りから5年連続で1.25以下と一定以上の水準を維持しており、2024年から2年続けて1.07以下と優秀な数字を記録。投球回に関しても2023年までは146~155イニング前後だったが、2024年はリーグ3位の176.1イニング、2025年はリーグトップの196.2イニングと、投手陣の大黒柱として多くのイニングを消化する能力も身につけつつある。

2025年は、どちらも「運に恵まれない」シーズンでもあった

 本塁打を除くインプレーとなった打球が安打になった割合を示す「被BABIP」に目を向けると、伊藤投手のキャリア平均の数字は.289と、基準値とされる.300を下回っている。その一方で、2025年の被BABIPは.298と、キャリアで最も高い数字となっていた。

 被BABIPは投手自身が制御できる要素が少なく、運に左右されやすい指標であるとされている。これまでで最も運が悪かったと言えるシーズンにおいて、防御率やWHIPなどの部門で軒並みキャリアハイの成績を残したという事実は、伊藤投手が幸運に恵まれたのではなく、奪三振率をはじめとした投手としての高い能力が好成績に直結したことを示している。

 それに加えて、有原投手の2025年における被BABIPも.288と、キャリア平均の.278という数字よりも高かった。両投手ともにキャリア平均よりも運に恵まれなかったシーズンながら最多勝を獲得するほどの活躍を見せていたことを鑑みれば、2026年以降にキャリア平均以下の被BABIPを記録した際には、さらなる好結果が期待できるという考え方もできそうだ。

制球良く長いイニングを投げ抜く2名の最多勝右腕が、チームを頂点へと導くか

 伊藤投手が2025年に記録した196.2投球回はリーグ1位、有原投手の175投球回は同2位と、両投手はまさにリーグトップクラスのイニング消化能力を持っている。マウンドで援護を待つ機会の多さに加えて、高い制球力を持ち、走者を背負うことも少ないという両投手の優れた安定感が、2年連続の最多勝という結果につながっていると言えよう。

 こうした共通点を持つ一方で、打たせて取る投球を展開する有原投手と、最多奪三振のタイトルを手にした本格派右腕の伊藤投手では、投手としてのタイプが少なからず異なる。違った強みを持つ両投手が揃ったことも、ローテーションを構成するうえではチームの強みとなり得るはずだ。

 ともに北海道日本ハムで新人王を受賞し、直近2年間はともに最多勝を分け合ってきた2名の右腕が、ファイターズを過去2年間は届かなかったリーグの頂点に導くか。両投手が2026年に見せる投球が、ペナントレースの行方を左右するものとなる可能性は大いにあるはずだ。

文・望月遼太

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