新風呼び込んだBIGBOSSこと新庄剛志監督。就任会見での“7つの宣言”はどこまで達成された?

パ・リーグ インサイト

2023.2.10(金) 22:40

北海道日本ハムファイターズ・新庄剛志監督(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハムファイターズ・新庄剛志監督(C)パーソル パ・リーグTV

 2021年11月4日、北海道の地でプロ野球史に新たな1ページが生まれた。北海道日本ハム新監督、“BIGBOSS”の就任会見だ。BIGBOSSは「夢はでっかく根は太く」とスローガンを宣言し、北海道日本ハムを生まれ変わらせることを誓った。

 あの日から1年以上が経過した今、もう一度就任会見を振り返りながら、BIGBOSSがチームとともに歩んできた1年間をプレイバックする。ここではBIGBOSSの“宣言”から7個をピックアップし、編集部独自にジャッジをしたい。

宣言①:北海道日本ハム、プロ野球を変える(○)

 会見の冒頭「北海道日本ハムも変えていきますし、僕自身がプロ野球も変えていきます」と熱を込めて語ったBIGBOSS。かつてのスター選手が異例の転身、その話題性もさることながら、従来の常識に全くとらわれない選手起用や自身の発信など、間違いなくチームや球界を変えているといえるだろう。BIGBOSS、新庄剛志監督の改革はここから始まった。(1:06〜)

宣言②:球場が満員になる(○)

 9月17日に行われた千葉ロッテ戦、実におよそ3年ぶりとなる満員を記録。「僕が帰ってきたからにはコロナは無くなり、球場は満員になりますよ。そういう運命なんで」と自信を見せていたBIGBOSSの言葉が現実となった。なお、同試合では上川畑大悟選手がサヨナラ打を放つ劇的な幕切れとなり、「ファンは宝物」を体現する試合にもなっている。(3:10〜)

宣言③:投手3人、野手4人のタレントを生む(△)

「チームにピッチャー3人、野手4人のタレントを作り上げていければ」と希望を口にしていたBIGBOSS。“タレント”とは全国区で名前が売れている選手のこと。その答え合わせは人それぞれだが、2022年にブレイクした選手や、話題になった選手は多かったのではないだろうか。

 その筆頭は首位打者に輝いた松本剛選手だろう。シーズン中の活躍ぶりもさることながら、プレー外でも「きつねダンス」のブレイクに一役買い、オフにはバラエティ番組にも出演し、全国的に名前を売ったと言える。ほかにも吉田輝星投手や清宮幸太郎選手、今川優馬選手など飛躍を遂げた選手も。まだまだ若い選手の多いファイターズ。ここは期待も込めて「△」としよう。(3:41〜)

宣言④:全員横一線でスタート(◎)

 会見時点で「僕が監督になって全員がドラフトにかかった選手だと思っているので、レギュラーなんか1人も決まっていません」と語っていたBIGBOSSの選手起用にも注目は集まった。

 実際、オープン戦初戦ではエースの上沢直之投手に「代理監督」を任せたり、“ガラポン”で打順を決めるなど斬新すぎる起用法が話題に。開幕スタメンにもルーキーの北山亘基投手や水野達稀選手を抜てきした。前年わずか47試合の出場だった松本剛選手も、レギュラーの枠に入り込み、自己最多の117試合で首位打者に。BIGBOSSが監督になったからこその結果だったのかもしれない。(4:13〜)

宣言⑤:選手全員を一軍の舞台に立たせる(◎)

「僕、至らんことよく上げるから」と、ジョーク交じりに自身のSNS発信についても触れていた。会見終了の翌日には早速SNSを更新し、「来年シーズンが始まり 僕と一緒に戦って行く選手全員を 1回はあの大歓声の一軍のグランドに 立たせる事をここで約束します」と宣言。その言葉通り、昨季は戦線を離脱していたガント投手を除いては、支配下登録の選手全員に一軍の舞台を経験させた。

 シーズン最終盤の9月25日には、達孝太投手、畔柳亨丞投手、松浦慶斗投手の高卒ルーキー投手が一軍デビューを果たし、この宣言を達成。他球団を見れば、一軍の舞台を経験できなかった選手も大勢いるなか、多くの選手が貴重な経験を得ることができただろう。

宣言⑥:選手と一緒に天井から降りたい(☆)

“新庄剛志選手”としての現役時代にも、札幌ドームの天井から降りるパフォーマンスをして話題をさらった。監督就任にあたり、そのパフォーマンスの再建方法について問われると「まあ天井から降りたいなとは思いますね。しかもオレだけでなく選手も一緒にね」と話していたBIGBOSS。

 大注目の本拠地開幕戦では、その予想をはるかに超えるパフォーマンスを披露した。まずはスタメン選手がバックスクリーン後方に設置された“大船”から一人ずつ降りてくる。そして最後に登場したBIGBOSSは、なんと「空を飛ぶバイク」に乗って登場したのだ。この“世界初”のサプライズ登場に、見ている人は度肝を抜かれたことだろう。

宣言⑦:監督兼外野守備コーチという気持ちでやる(○)

 また、昨季からGM(ゼネラル・マネージャー)に稲葉篤紀氏が就任した。稲葉氏には「GM兼左バッター専用打撃コーチをやってください」と会ったときに話し、自身は「監督兼外野守備コーチ」の気持ちを持って戦うと宣言。オープン戦では、アウトカウントに関係なく外野手に全力送球での中継プレーを徹底させた。(4:40〜)

 すると、その成果はシーズン中に早速出た。4月1日のオリックス戦では、今川優馬選手と松本剛選手がそれぞれ犠牲フライで本塁を狙った走者を捕殺。パ・リーグのシーズン捕殺数(外野手)上位10選手のうち4選手が北海道日本ハムの選手と、徹底した指導の効果がチームを変え始めている。

今季は「新庄剛志」監督へ

 2022シーズンのホーム最終戦、SNSで「突然ですが 9月28日札幌ドーム最終戦 みなさまにご報告があります」と意味ありげな投稿を寄せていたBIGBOSSは、試合を終えセレモニーに臨んだ。結果が最下位だったことに触れ「今シーズンをもってBIGBOSSのユニフォームを脱ぎます」と語り、一時は満員の球場がどよめきに包まれた。

 しかしその後「新庄剛志」として再登場。「日本一だけを目指してブレずに戦っていきたいと思います!」と力強く宣言した。同時に開幕投手についても、加藤貴之投手と宣言した新庄剛志監督。今季、新球場でどのようなスタートを切り、シーズンを戦い抜くのか、すでに2023年の開幕が待ち遠しい。

文・小野寺穂高

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