BIGBOSSの“トライアウト”に合格したのは? 就任1年目に重用された顔ぶれを振り返る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2022.11.14(月) 18:00

北海道日本ハム・BIGBOSS(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハム・BIGBOSS(C)パーソル パ・リーグTV

ほぼ全ての支配下登録選手を一軍で起用する、まさに見極めのシーズンを送った

 2022年シーズンの開幕前から話題を振りまいた、「BIGBOSS」こと新庄剛志監督。開幕前から「トライアウトのシーズン」と公言した通り、負傷のジョン・ガント投手以外、全ての支配下登録選手を一軍の公式戦で起用した。登録名を本名に戻して勝負を賭ける2023年を前に、実験的な手法で戦力の見極めを行っている。

 それでは、2022年シーズンに出番を増やした、すなわち「トライアウトに合格した」といえる選手たちの顔ぶれはどうなっていたのだろうか。実際の数字をもとに、その内訳に迫っていきたい。

ドラフト8位ルーキーと、かつての甲子園のヒーローが存在感を発揮

 2022年の北海道日本ハムで、10試合以上に登板した投手の顔ぶれは次の通り。

2022年北海道日本ハム 主要投手成績(C)パ・リーグ インサイト
2022年北海道日本ハム 主要投手成績(C)パ・リーグ インサイト

 チーム最多の登板数を記録したのは、ドラフト8位ルーキーの北山亘基投手だった。ショートスターターとして開幕投手を務めると、その後はリリーフの一角に定着。奪三振率10.17と持ち味を発揮し、チーム最多の9セーブ、同2位の16ホールドをマークした。

 また、プロ4年目の吉田輝星投手がチーム2位の51試合に登板。防御率4.26という数字には先発登板した4試合で防御率7.53だった点が影響しており、リリーフに限れば47試合で防御率3.31と一定の数字を記録。起用法が定まれば、さらなる活躍も期待できるはずだ。

 玉井大翔投手は昨季に続いて50試合に登板し、チーム最多の19ホールドを記録。投球回が登板数を大きく下回ったように、今季はピンチで火消しを任されることが多かった。そして、シュートを活かした打たせて取る投球により、しっかりとその役割を果たしている。

本物の「トライアウト」を勝ち抜いた右腕と、故障を乗り越えた元守護神も躍動

 そして、2021年オフに巨人から戦力外通告を受け、本物の「トライアウト」を経て育成選手として契約した古川侑利投手も奮闘した。開幕前に支配下登録を勝ち取ると、そのままブルペンの一角に定着。幅広い起用に応え、キャリアハイの34試合に登板を果たした。

 かつてのクローザー・石川直也投手も故障から復活して3シーズンぶりに一軍登板を果たし、チーム5位の登板数を記録。チーム2位の6セーブを記録。奪三振率の高さは故障前と変わらず、終盤戦ではクローザーも務めるなど復活を印象付けるシーズンを送った。

先発陣では昨季の主力に加えて、新助っ人と若手2名も活躍

 先発陣では伊藤大海投手が2年連続となる2桁勝利を記録し、上沢直之投手加藤貴之投手も規定投球回に到達。昨季に引き続いて主力として活躍した3投手に加え、8月27日にノーヒットノーランを達成したポンセ投手、シーズン途中入団で防御率1.08と快投を見せたメネズ投手という助っ人2名も活躍した。

 その中でも、加藤投手の活躍は出色だった。K/BB8.91という先発投手としては過去に類を見ないレベルの数字を残し、防御率も2.01という抜群の成績を記録。交流戦で4試合に先発して26イニングを無失点という記録も含め、まさに記録的なシーズンを送っている。

 加えて、昨季は11試合の登板が全て中継ぎだった上原健太投手が、今季は先発と中継ぎを兼任して存在感を発揮。先発防御率3.47、リリーフ防御率2.20と双方で大崩れしない投球を見せ、キャリアハイの登板数と投球回を記録。貴重な左腕として存在感を示した。

 さらに、シーズン終盤には19歳の左腕・根本悠楓投手が台頭。11試合の先発で喫した失点は全て2失点以下と、安定感のある投球を続けた。また、24歳の鈴木健矢投手もシーズン終盤に先発として好投を見せており、独特の投球フォームで異彩を放った。

清宮選手は昨季の一軍出場なしから一転し、チーム最多の出場試合数を記録

 続いて、2022年に50試合以上に出場した野手の顔ぶれを見ていこう。

2022年北海道日本ハム 主要野手成績(C)パ・リーグ インサイト
2022年北海道日本ハム 主要野手成績(C)パ・リーグ インサイト

 100試合以上に出場した選手は4名。清宮幸太郎選手は自身初の一軍出場なしに終わった2021年から一転し、自己最多の129試合に出場。初めて規定打席にも到達し、チーム1位の18本塁打を記録した。そして、初出場の球宴でも第1戦でサヨナラ本塁打を放ち、この試合のMVPに輝く活躍を見せている。

 松本剛選手は序盤戦から打率ランキングのトップを独走。プロ11年目での初タイトルに向けて視界良好だったが、7月に左ひざを骨折してしまう。それでも8月中旬には復帰を果たし、その後も高打率を維持。5年ぶり2度目の規定打席到達で、見事に首位打者に輝く大ブレイクを果たした。

 石井一成選手は新型コロナウイルス感染や骨折がありながら、前年に続いて100試合以上に出場し、安打と本塁打で自己最多の数字を記録。万波中正選手も初めて3桁の試合に出場し、チーム2位タイの14本塁打を記録するなど、粗削りながら高いポテンシャルを示した。

ドラフト9位ルーキーが大活躍

 近藤健介選手は故障もあって99試合の出場にとどまったが、打率.302、OPS.879とさすがの打撃を披露。野村佑希選手も新型コロナウイルスと故障の影響で93試合の出場に終わったが、OPSは2021年の.664から.724へと改善し、主力としての成長を見せている。

 2年目の今川優馬選手は昨季の13試合を大きく上回る94試合に出場し、持ち味のパワーと気迫を前面に押し出す活躍で10本塁打を記録。宇佐見真吾選手は自己最多の81試合に出場し、北海道日本ハムへの移籍後では最高となる打率.256を記録して復調を印象付けた。

 ドラフト9位ルーキーの上川畑大悟選手は、一軍初出場こそ5月24日とやや遅れたものの、その後はシュアな打撃と高い守備力を随所で発揮。打率.291、出塁率.360とチャンスメーカーとして活躍を見せ、即戦力として申し分のない働きを披露している。

 ベテランでは谷内亮太選手が持ち味の堅実な守備に加えて、打率.268と打撃でも活躍。試合数こそ2021年の106試合から78試合に減ったが、自己最多の打席数を記録するなど活躍の場を広げた。また、新助っ人のアルカンタラ選手はチーム2位タイの14本塁打を記録。内外野の4ポジションをこなしたユーティリティ性でも貢献を見せている。

「トライアウト」に合格した選手たちは、来季も期待通りの活躍を見せてくれるか

 投手では吉田輝投手、石川直投手、古川侑投手、上原投手、鈴木投手、根本投手といった面々が出番を増やしており、信頼を勝ち取ったという意味では「新庄式・トライアウト」に合格したと考えられる。また、玉井投手、伊藤投手、上沢投手、加藤投手の4名は、新体制でも自らの持ち味を発揮して重用されている。

 野手では清宮選手、松本選手、万波選手、今川選手、宇佐見選手といった選手たちが、出場機会を大きく伸ばした。そして、石井選手、近藤選手、野村選手、谷内選手は前年同様に多くの出場機会を確保し、激動のシーズンの中でも自らの存在価値を証明している。

 そして、北山投手と上川畑選手というドラフト下位で指名した選手が活躍を見せた点は特筆ものだ。2021年のドラフトでは1位から5位までのうち4名が高校生と、将来性を重視した編成を行った。それだけに、下位で指名した即戦力候補が前評判を覆すプレーを見せたことは、近未来のチームにとっても大きいはずだ。

 新庄監督は「トライアウト」の1年を経て、2023年シーズンは優勝を狙うと公言した。結果が求められるシーズンにおいて、指揮官の眼鏡にかなった選手たちがどんなプレーを見せてくれるか。だが、ここに挙がった選手もうかうかしていられない。積極トレードとドラフトで新戦力の加入もあり、ここからが本当のサバイバルとなろう。新球場で迎える北海道日本ハムの来シーズンには、あらゆる意味で要注目だ。

文・望月遼太

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