私たちはなぜファイターズガールになったのか?濱野亜里紗さん・滝谷美夢さんインタビュー

パ・リーグ インサイト

2022.11.9(水) 22:20

インタビューに答える濱野亜里紗さん(左)滝谷美夢さん(右)
インタビューに答える濱野亜里紗さん(左)滝谷美夢さん(右)

 パ・リーグインサイトでは、プロ野球チア界により良い人材が多く集まることを目的とした連載【プロ野球チアになろう】で、各球団のパフォーマンスチームの担当者にインタビューを行い、担当チームの現在と描く未来、オフシーズンに開催される新メンバーオーディションでの求める人材像などをうかがってきた。

 今回は、現在北海道日本ハムファイターズ公式チアチーム「ファイターズガール」のメンバーとして活動中の濱野亜里紗(はまの ありさ)さんと滝谷美夢(たきや みゆ)さんにインタビュー。活動5年目となるお二人が思う「職業:プロ野球チア」の魅力とは。また、お二人がファイターズガールになるまでのお話なども紹介していく。

「好き」を形に。“プロ野球チア”の道を選ぶまで

濱野亜里紗さん(C)H.N.F.
濱野亜里紗さん(C)H.N.F.

 北海道秩父別町出身の濱野亜里紗さんは、在籍年数・年齢共に最年長。今季のキャプテンを務め、チームを牽引した。親しみやすくやわらかい雰囲気を持ち、お姉さん的存在としてメンバーに慕われている。

 そんな濱野さんがファイターズガールに特別な思いを寄せるようになったのは、看護師として札幌市の総合病院で働いていた時のことだった。

「社会人になり秩父別町から札幌へ出てきて、札幌ドームへたくさん観戦に行くことができるようになりました。そのなかでファイターズガールの姿を目にする機会も増え、その存在はいつしか憧れの存在となっていたんです」

 幼少期にクラシックバレエを習っていたこともあり、踊ることが好き、ファイターズが好き。ふたつの好きなことを仕事にできる「ファイターズガール」という職業にどんどん惹かれていったという。「人生は一度きり。自分の好きなことを仕事にしてみたい!と心が動き、『自分のやりたいことなら頑張ってみれば?』と家族の後押しもあり、オーディション受験を決めました」

 そして社会人として3年目の冬、人生で初めて受けたオーディションで見事合格。看護師からプロ野球チアへの転身を遂げた。

滝谷美夢さん(C)H.N.F.
滝谷美夢さん(C)H.N.F.

 滝谷美夢さんは北海道札幌市出身。在籍5年目、今季はサブキャプテンを務め、定評のあるMCでもチームを盛り上げた。人を魅了する笑顔の持ち主で、パーソルパ・リーグTV公式YouTubeチャンネルで公開された滝谷さんが「きつねダンス」を踊る動画は現在422万再生を越える人気となった。
 
 そんな滝谷さんは、幼少期から歌やダンスが大好きだった。野球好きな家族に連れられ札幌ドームによく観戦に来ていたので、ファイターズを応援することも、グラウンドで躍動するファイターズガールを目で追い憧れを抱くことも自然な流れだったという。

「高校生の頃には『ファイターズガールになりたい!』という気持ちはすでに強くありました。大学受験が終わってからオーディションを受けようと決めていたので、大学1年生になってすぐにファイターズダンスアカデミーに入学し、その冬にオーディションを受けファイターズガール になることができました」

 他の道を模索したことは? の問いには「迷いはありませんでした」と力強く返答。「好き」という気持ちに突き動かされ、オーディション受験を決意した二人。こうして“プロ野球チア”としての道が始まったのだった。

人生を変えた日、オーディション受験日の裏バナシ

 現在、2023年ファイターズガール新メンバーオーディションの開催が発表されているが、二人は5年前の新メンバーオーディションを受験。オーディション当日の思い出などをうかがうと、こんなエピソードを話してくれた。

「自己PRの審査で『生まれてはじめて』というタイトルの曲を歌いました。歌う前に『生まれてはじめて歌います!』といったら審査員の方に『え! 今生まれて初めて歌うの!?』とつっこまれて場が和み、気持ちが少し楽になったことを覚えています」と滝谷さん。

 濱野さんは「自己PRで披露できる特技がなかったので、当時流行っていたブルゾンちえみの「35億」のネタを練習していきました。小心者で実際には披露できず……実際はファイターズガールへの思いを口頭で伝えましたが、受験番号が偶然にも「35番」。なにかの縁を感じ、もしかしたらうまくいくかもしれない! と思いました」

 短い時間に自分の長所や好きで取り組んでいることを披露、自分自身を自由にプレゼンする「自己PR審査」。ダンス審査、面接では伝えきれない個性や思いをぶつけられる貴重な時間ではあるが、自由度が高いため、受験者にとっては頭を悩ますタネのひとつでもある。

 お二人も「すごく緊張した」と言うが、濱野さんは「自分の今できることを審査員に見せるぞ! という気持ちを持って、少しでも自分のいいところを出せるようにできたらいいのかなと思います」。滝谷さんは「私はできる! と言い聞かせ、審査員のみなさんに私を見て! という強い気持ちで挑みました。強く、負けない気持ちを持って挑んでみてほしい」と、参加者へ向けてアドバイスを送った。

「職業:プロ野球チア」の魅力とは。二人が感じた仕事の醍醐味

ファイターズガールメンバー(C)H.N.F.
ファイターズガールメンバー(C)H.N.F.

 プロ野球チアとしての活動が決まると、合格の余韻に浸る間もなく研修やダンスレッスンが開始。年末にオーディションをし、新メンバーを含む新体制でのデビューは次の年の3月のオープン戦。ファンに喜んでもらえるパフォーマンスレベルまで急ピッチに仕上げていく必要があるのだ。ファイターズガールも同様、ダンスレッスンの他に、球団や野球の知識についてのテストや活動についての座学なども行われるという。

「ダンスレッスンでは振り付けだけでなく、基礎的なトレーニングもします。先輩方は完璧だったので、できるようにならなきゃと思いレッスンに臨むための練習を家でしていました」と、滝谷さん。また、オーディションを勝ち抜いた個性的なメンバーに囲まれ「ずば抜けてこれができます! というものがなく、私ってあんまり印象に残らないんじゃないかな?」と悩んだこともあったという。

 濱野さんは「ダンス経験はあるもののブランクがあったので、最初はついていくのも難しい状況が多く辛かったです。ダンスも苦手、MCも苦手、苦手ばかりで自分のことで精一杯。けど、同期や先輩が親身になって教えてくれて支えてくれ、それが辛い以上にとても嬉しくてなんとか乗り越えることができました」

 それから5年、先輩についていくのに必死だった二人はコツコツと努力と経験を積み上げ「まだまだ未熟です」と謙遜するが、今ではチームを牽引する存在に。後輩も増え教える立場となり、視野はチーム全体へ、また今季に出演したオールスターゲームをきっかけにプロ野球チア界全体へと大きく広がった。

 そんな二人が今思う“プロ野球チア”の仕事の醍醐味、魅力とは?

「ファンと選手の架け橋となる存在だと思っていて、ファンのみなさんと一緒に、時には先頭に立って応援していけるのが醍醐味かなと思います。パフォーマンスを披露した時にスタンドから届く拍手や、笑顔になってくれている姿を見た時にやりがいを感じ、子供たちにファイターズガールになりたい! と言われた時には嬉しさを感じます。ファイターズダンスアカデミーでインストラクターもしているので、生徒がいつかファイターズガールになってくれたらいいなと思い、それも楽しみのひとつです」と、濱野さん。

 滝谷さんは「ファンの方といろんな感情が共有できるところがプロ野球チアの醍醐味かなと思います。プロ野球をより楽しく観戦してもらえるよう、ファンの方にとって身近な存在であり、夢や感動を届ける存在でもありたいです。チアとしてグラウンドで活動していること、たくさんの方に拍手をいただけた時、5年経った今でもいつも感慨深く感じます」

「ファイターズ、ダンス、地方イベントでの地元の方との交流……好きなことを仕事にできていることが原動力。生徒やファンの方からかけていただいた言葉に励まされ、もっと頑張ろう、もっと素敵なものを届けようと思い、5年間ここまでやってきました」と言う濱野さんと滝谷さん。全ての質問に丁寧にお答えいただく姿、言葉の端々にメンバーを思う気持ちが伝わってくることがとても印象的なお二人だった。

 プロ野球チアが主に活動する試合中のグラウンドは、選手たちの気迫、ファンの熱意、試合運営を裏で支える球団スタッフ……数えきれないほどたくさんの人の凄まじいエネルギーが渦巻く中心の場所。華やかでもあり、緊張感が絶えないグラウンドでのパフォーマンスは全て、チームの勝利のため。思いを込めてパフォーマンスをしたその先には心が動く瞬間が数えきれないほど訪れ、感じたことのない感情が込み上げてくる、とても素敵な職業だと感じている。

 踊ることが好き、エンターテイメントの世界で輝きたい、そんなあなたに「プロ野球チア」という職業にぜひ挑戦し、プロ野球界をさらに盛り上げていってほしい。
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文・池田紗里

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