選手の思いや、試合中とは異なる一面も見られるのがヒーローインタビュー。2022シーズンに生まれた涙あり、笑いありのヒーローインタビューを振り返っていく。
“ドラ1トリオ”が見せた頼もしさ
◇ 4月3日 平沢大河・松川虎生・佐々木朗希(千葉ロッテ)
4月3日の埼玉西武戦は、平沢大河選手、松川虎生選手、佐々木朗希投手の”ドラ1トリオ”によるヒーローインタビューとなった。
先制打を含む2安打2打点の活躍を見せた平沢選手は、2019年以来となる一軍でのヒットに「安心しています」とコメント。プロ初打点を挙げたルーキーの松川選手は、初めてのお立ち台でも、プレー同様1年目とは思えないほど堂々とした受け答えを見せる。
ZOZOマリンスタジアムでの初勝利を手にした佐々木朗希投手は、どのような意識でマウンドに上がったか問われると、「緊張したんですけど、松川が『全然大丈夫っしょ』と言ってくれたので、大丈夫かなと思ってマウンドに上がりました」と笑顔。後に完全試合を達成するバッテリーの信頼関係が伺える会話を明かした。
前代未聞! ヒーローインタビューの”前借り”
◇ 5月15日 杉谷拳士(元北海道日本ハム)
試合では代打出場で内野ゴロも、ヒーローインタビューに登場したのは、しゃけまるのグッズを頭と手につけた杉谷拳士氏。「全国の野球ファンのみなさま、北海道の野球ファンのみなさま、多分全員が何であいつだと思っていると思いますが、これから頑張りますのでよろしくお願いします!」と挨拶。インタビュアーの要求にも応え、しゃけまる姿で一周し、会場を沸かせる。
最後には、「ヒーローインタビューは前祝いということで。どうもありがとうございました」と異例のお立ち台を締めた。その約2週間後の巨人戦では、2打点の活躍で結果を残しヒーローに。「前回、無安打でヒーローインタビューの前借りをしたので、今回は死にもの狂いでお立ち台に来ました」と語り、”らしさ全開”のお立ち台で盛り上げた。
2019年ドラフト1位&2位コンビがほのぼのとした掛け合いで魅了
◇ 6月21日 宮城大弥・紅林弘太郎(オリックス)
この日、宮城大弥投手が力投を見せて今季6勝目、紅林弘太郎選手は決勝打となる本塁打を放つ活躍で、入団後初めて2人揃ってのお立ち台が実現した。
宮城投手は、チャンスでの紅林選手の打席について聞かれると「打つのかなと思いながらいつも見ていて、僕が先発のときはダブルプレーが多いので、『それだけは……』と思いながら見ていたんですけど、ヒット以上の結果を出してくれてありがたいです」とにっこり。一方の紅林選手は、宮城投手を援護できたことについて「そこはあまり意識していません」と淡白な受け答え。
お立ち台に上がった直後から顔を見合わせ、お互いが答えるたびにツッコミや笑顔を見せる姿からは、同級生コンビとして仲の良い2人の関係性が垣間見えるヒーローインタビューだった。
「私事ではないのですが……」から始まる”お願いインタビュー”
◇ 7月31日 辰己涼介(東北楽天)
試合を決める一打を放ち、お立ち台に上がった辰己涼介選手は、島内宏明選手の「打とうという気持ちで打席に立ちました」という言葉を真顔で復唱(?)するなど、自身のぺースを崩さない。
その後、「私事ではないのですが……」と話し始めると、夏の甲子園初出場を決めた母校の社高校、昨季途中にトレードで加入した伊藤裕季也選手の応援をファンに呼びかけ。最後に「ついでに楽天イーグルスの応援もよろしくお願いします」とまとめ、球場内からは笑いと拍手が生まれた。
自身初の2桁勝利。涙のヒーローインタビュー
◇ 9月11日 與座海人(埼玉西武)
埼玉西武・與座海人投手が5回無失点の投球で、自身初となる2桁勝利を達成した試合。ヒーローインタビューでファンからの祝福と期待のコメントが読まれると、その目には涙が。言葉を詰まらせながら、「本当にファンの皆さんの声援が力になっています。まだ終わりじゃないので、次に向けてしっかり全力でやっていきたいなと思っています」と口にした。
入団後、怪我などもあり順風満帆な道のりではなかった與座投手。しかし、結果を残して感謝の思いと決意を語ったお立ち台は、先発の柱としてまた一歩、歩みを進めた瞬間だった。
30歳で初めてのお立ち台。家族とファン、選手に見守られながら明るさを前面に
◇ 9月13日 奥村政稔(福岡ソフトバンク)
優勝争い真っ只中と結果が求められる中、埼玉西武戦で本拠地初先発を任されたのは福岡ソフトバンク・奥村政稔投手。3回無失点と好投し、30歳にして初めてお立ち台に上がると、持ち前の明るさでハツラツと答えていく。ファームで長い時間を過ごした苦労人は「ただただ嬉しい。またこんな気持ちになりたい」とかみしめながら、言葉を紡いだ。
スタンドから見守るご家族の目には、涙が見られた。昨年9月末に右肘の手術を受けた影響で、今季は育成選手として開幕を迎えることとなった奥村投手。怪我から復活し、また球場内を明るく照らす姿を待ち望みたい。
文・鈴木優菜
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