オープン戦の成績はシーズン順位にどれほど直結する?

パ・リーグ インサイト 藤原彬

2017.3.30(木) 00:00

千葉ロッテマリーンズ・有吉優樹投手(C)パーソル パ・リーグTV
千葉ロッテマリーンズ・有吉優樹投手(C)パーソル パ・リーグTV

3月26日に全日程を終えた今年のオープン戦は、千葉ロッテが13勝2敗3分で12球団トップとなる勝率.867を記録した。福岡ソフトバンク(10勝5敗3分)とオリックス(9勝5敗2分)が2、3位で次ぎ、埼玉西武(8勝5敗0分)と北海道日本ハム(11勝7敗2分)も「Aクラス」の5、6位で、パ・リーグ最下位の楽天(6勝9敗2分)でも全体順位は8位。セ・リーグ相手には6球団合計で46勝23敗10分と大きく水をあけた。

31日に開幕を迎える今年のペナントレースの行方を占う上で、オープン戦の内容は試金石となるが、実際にシーズン最終順位とはどれだけの結び付きがあるのだろうか。本番直前の戦いの重要性を考察してみる。

まず、2000年以降にパ・リーグで優勝を果たしたチームのオープン戦成績を見てみよう。

※()はオープン戦全体順位
2000年→ダイエー 8勝9敗3分 勝率.471(7位)
2001年→大阪近鉄 2勝9敗2分 勝率.182(12位)
2002年→西武 6勝9敗4分 勝率.400(9位)
2003年→ダイエー 10勝8敗0分 勝率.556(4位)
2004年→西武 4勝8敗1分 勝率.333(11位)
2005年→千葉ロッテ 7勝6敗1分 勝率.538(5位)
2006年→北海道日本ハム 8勝6敗2分 勝率.571(4位)
2007年→北海道日本ハム 5勝6敗4分 勝率.455(7位)
2008年→埼玉西武 8勝3敗2分 勝率.727(1位)
2009年→北海道日本ハム 10勝9敗0分 勝率.526(6位)
2010年→福岡ソフトバンク 7勝4敗2分 勝率.636(2位)
2011年→福岡ソフトバンク 8勝3敗2分 勝率.727(2位)
2012年→北海道日本ハム 10勝4敗2分 勝率.714(2位)
2013年→楽天 10勝7敗0分 勝率.588(4位)
2014年→福岡ソフトバンク 15勝2敗2分 勝率.882(1位)
2015年→福岡ソフトバンク 11勝5敗1分 勝率.688(1位)
2016年→北海道日本ハム 7勝8敗0分 勝率.467(8位)

上記したように17年間で11チームが勝ち越し。そして、全17年の成績を合算すると136勝106敗28分で、勝率は.561となり、シーズンに入ってこの数字を下回りながら優勝できたのは2000年のダイエー(.549)、2008年の埼玉西武(.543)、2010年の福岡ソフトバンク(.547)、2012年の日本ハム(.556)と4チームのみ。確率としては「オープン戦でもある程度の成績を収めたチームが優勝に近付く」と言える。

ただし、注意しなければならないのは、あくまで全体的にその傾向にあるというだけで、例外もそこそこ見られる点だ。極端なのが2001年の大阪近鉄で、オープン戦最下位ながらリーグ制覇を成し遂げた唯一のチームとなっている。打線は上記17チーム中最多の19本塁打をマークしたが、投手陣の防御率は同ワーストの7.30と壊滅的な数字だった。2000年以降の全チームで唯一となる、54奪三振を上回る59与四球を記録している。当然、下馬評は低かった。

この年の大阪近鉄は、開幕戦で「いてまえ打線」が5点のビハインドをはね返して乱打戦の末に10対9で逆転勝利を飾った。秋には、北川博敏選手がプロ野球初の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定弾」を放ち栄光に輝いている。前年最下位からの優勝がパ・リーグ初なら、リーグワーストの防御率4.98での優勝はプロ野球初。日本シリーズに敗れて画竜点睛とはならなかったが、あまりにもドラマチックな物語はオープン戦からスタートしていたわけだ。

対照的なのは、オープン戦首位の勢いそのままにリーグ優勝も果たした2008年の埼玉西武、2014、2015年の福岡ソフトバンクの3チームだ。いずれも日本一にまで到達しており、特に2014年の福岡ソフトバンクはともに12球団1位の防御率2.00、打率.302をマークするなど2000年以降の最高勝率.882をマークする強さを誇った。日本一連覇を達成する2015年にもオープン戦最高勝率だったのだから、この2年間は敵なしである。

ちなみに、今年のオープン戦で1992年以来となる首位に立った千葉ロッテは日本一に輝いた2005年は5位、2010年は10位という成績だった。12球団ベストの13勝2敗3分は、千葉ロッテのシーズン成績とどこまで関係してくるか。今季を楽しむ上でのポイントの一つになりそうだ。

前述のように傾向は発見できたが、リーグ優勝チームとそのオープン戦での成績の関係ははっきりと紐付けることはできない。たかがオープン戦なのか、されどオープン戦なのか。今年も、答えは目の前に迫ったシーズン143試合の戦いから見つけ出すしかない。

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パ・リーグ インサイト 藤原彬

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