有原航平、上沢直之、杉浦稔大ら先発陣が奮闘も…… 中継ぎ陣に課題【北海道日本ハムファイターズ2020:投手編】

2020.12.29(火) 12:00 パ・リーグ インサイト
北海道日本ハム シーズンレビュー2020 vol.1(C)パーソル パ・リーグTV
北海道日本ハム シーズンレビュー2020 vol.1(C)パーソル パ・リーグTV

 栗山体制9年目として昨季5位からの巻き返しを図った北海道日本ハム。しかし、今季も序盤から波に乗れず、53勝62敗5分の5位でシーズンを終えた。本記事は投手を中心とした前編、野手を中心とした後編に分けて、各選手にフォーカス。パーソル パ・リーグTVの特集動画「シーズンレビュー2020」とともに、北海道日本ハムの2020シーズンを振り返っていく。

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 チーム防御率は4.02でリーグ4位、失点は528でリーグ5位という成績で、どちらもリーグ3位だった昨季から悪化。それでも、奪三振数は昨季のリーグ5位からリーグ3位へ。また、昨季は143試合でわずか1完投(有原投手1)だったのに対し、今季は試合数が少ないなかでリーグトップの5完投(有原投手3、上沢投手1、バーヘイゲン投手1)と良化した数字も見られた。

チームトップの8勝を挙げた先発3本柱

 いずれもチームトップタイの8勝をマークした有原航平投手、上沢直之投手、バーヘイゲン投手が先発陣を支えた。なかでもエースとして期待されたのが有原航平投手だ。自身2度目の開幕投手を務めた今季は、序盤なかなか勝てない時期が続いたものの1年間ローテーションを守り切り、チームトップの132.2イニングを消化。『最多勝』のタイトルを獲得した昨季の大活躍には及ばずとも、8勝9敗、防御率3.46の成績をマークし、チーム唯一の規定投球回に到達。リーグ最多の3完投も記録し、イニングイーターとしての役割を全うした。

 上沢直之投手は、昨季6月に左膝に打球が直撃して以降、戦線離脱を余儀なくされていたが、傷が癒えた今季は無事に開幕ローテーション入り。8月11日から10月6日まで9試合連続でQSをマークするなど、その安定感は特筆すべきだろう。千賀滉大投手とのマッチアップとなった9月15日の福岡ソフトバンク戦では、両者ともに譲らない展開に。上沢投手は8回まで133球無失点、一方の千賀投手も8回まで149球を投じる壮絶な投げ合いを演じ、見事勝利を収めあげた。この試合に限らず、8月11日以降シーズン終了までの全登板で100球以上を投じており、8勝6敗、防御率3.06の数字以上にその貢献度は大きかった。

 ここに新たに加わったのがバーヘイゲン投手だ。デビュー戦となった6月25日に6回1失点で来日初勝利をマークすると、その後も1年間ローテーションを守り切り、8勝を挙げる活躍。150km/hを超える速球と変化の鋭いスライダー・カーブが武器で、111.2イニングに対し、115奪三振とイニングを上回る奪三振数で打者を翻弄した。コントロールの良さも魅力で、今季与えた四球数はわずか29。これは100イニング以上投げた15投手の中でリーグ3位という好成績だった。10月には29.2イニングで失点4、防御率1.21と圧巻の投球を披露しており、来季以降はより一層の成績向上が見込めそうだ。

ついに花開いた杉浦稔大。来季はブルペン起用も?

 この3人に続いたのが杉浦稔大投手。キャリアハイの7勝を挙げ、防御率も3.13の高水準で飛躍のシーズンとなった。昨季までは100球以下かつ間隔を空けての登板が続いていたが、今季は中6日での登板を解禁。7月30日には7.1イニング、111球を投じるなどローテーションの一角として成長した姿を見せた。夏場以降は少し調子を落とすと、シーズン終盤はブルペン要因として帯同。4試合4イニングを無失点で抑え、最終戦ではプロ初セーブもマークし、クローザー適正をのぞかせた。来季以降、杉浦投手の起用法はどうなるのか。道産子右腕の今後に注目が集まる。

己の働き場を築きあげた加藤貴之

 今季も独特な役回りでチームに貢献したのが加藤貴之投手だ。28試合に登板し、先発したのが7試合。最長イニングは5回だったが、ショートスターター、あるいは、ロングリリーフとしてコンスタントに2~3イニングを消化し、58回で4勝2敗、防御率3.26の好成績を残した。加藤投手にとっては「天職」ともいえるフル回転の立ち回りには、来季以降も期待ができそうだ。

 痛かったのが実績のある外国人投手2人が本来の調子でシーズンを戦えなかったことだ。来日3年目のマルティネス投手は、昨季故障で一軍登板なし。今季はリベンジを誓ったが、17試合でわずか2勝止まり。シーズン途中の9月には、チーム事情から抑えを任される時期もあったものの、本調子とはほど遠い内容だった。同じく3年目のロドリゲス投手は、昨季主にショートスターター後の2番手として貴重な役割を果たし、6勝を挙げたものの、今季は開幕直前の6月に左肘を手術。一軍に復帰したのは10月下旬と、なかなかチームに貢献できなかった。

ブルペン陣が成績低下。守護神候補の不調と離脱

 さらに誤算だったのがブルペン陣だ。昨季60試合に登板した石川直也投手を故障で欠いたなか、守護神候補筆頭だった秋吉亮投手が防御率6点台と苦しいシーズンに。また、昨季までブルペンを支えた公文克彦投手も本来の力を発揮できず、防御率は7点台。先発・中継ぎ問わず「ジョーカー」的役割が期待された金子弌大投手も防御率5点台と、ブルペン陣が軒並み昨季から成績を落としてしまった。

前人未到の350ホールド。宮西尚生の圧倒的存在感

 そんな中でも、変わらない安定感を誇っていたのが宮西尚生投手。開幕から勝ちパターンを中心に登板数を重ねると、8月12日には前人未到の350ホールドを達成。9月からはチーム事情でクローザーの座を務めることになった。当初は失点するシーンが目立ったものの、徐々にペースをつかみはじめ、9月22日以降シーズン終了まで14試合連続無失点。120試合の短縮シーズンながらルーキーイヤーから続く13年連続50試合登板をクリアし、自身の持つパ・リーグ記録をまたひとつ更新、防御率2.05、21ホールド8セーブをマークした。

苦しい台所事情のなかで奮闘したリリーバーも

 台頭を見せたのが2年目の福田俊投手だ。主にビハインドの場面で登板数を積み重ね、30試合に登板。プロ初勝利こそお預けになったものの、防御率3点台とブルペン陣を支えた。また、玉井大翔投手は49試合で21ホールド、堀瑞輝投手も45試合に登板するなど、シーズンを通して活躍を見せた。

吉田輝星、北浦竜次ら楽しみな若手も

 即戦力として期待されたドラフト1位ルーキー・河野竜生投手は、12試合に先発して3勝5敗、防御率5.07とプロの壁にはじかれた。それでも、60.1イニングを投げた経験値が来季の糧になるはずだ。2年目の吉田輝星投手は、一軍での白星こそ挙げられなかったものの、イースタン・リーグでは12試合で防御率2.56、イニングを上回る奪三振数を記録しており、確実に成長曲線を辿っている。

 また、高卒3年目の北浦竜次投手がイースタンで防御率1.74をマークし、『最優秀防御率』のタイトルを獲得。変則右腕として一軍で11試合に登板した鈴木健矢投手や、育成ながらイースタンでチーム最多の30登板を果たしている長谷川凌汰投手らにも期待が高まる。

勝利の方程式を確立して上位進出へ

 先発投手は3本柱+杉浦投手が一定の成果を挙げたものの、ブルペン陣が苦しんだ北海道日本ハム投手陣。上位に進出するためには、中継ぎの整備に加え、メジャーリーグへの移籍が決定したエース・有原投手の穴を埋めることが求められる。今季芽を出した若手たちが名を連ねるか。公文投手、金子弌大投手ら実績ある投手たちが意地を見せるか。2018年以来のAクラス進出へ、さらなる奮起に期待がかかる。

文・岩井惇

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