ローテーションの柱として、オリックスの3連覇に貢献
プロ9年目の今季、自身初の2ケタ勝利を達成した山崎福也投手。6月には4戦4勝の活躍で大樹生命月間MVP賞に輝くなど、安定した投球でオリックスのリーグ3連覇に大きく貢献。オフにはフリーエージェント(FA)権を行使し、セ・パ6球団による争奪戦の末に北海道日本ハムへの移籍を決断した。今回は、彼がどのようにして「勝てる投手」へと進化を遂げたのか探ってみたい。
リーグ屈指の制球力を持つ
今季の山崎投手を見ていくうえで、まず注目したいのが与四球率だ。昨季も2.12とリーグ平均より優れた数字だったが、今季はさらに1.66まで向上。登板した23試合のうち9試合で無四球ピッチングを展開するなど、持ち前のコントロールを発揮した。
ストライク先行のピッチングで投手有利なカウントに
四球が少ない要因として挙げられるのが、積極的にストライクを取りに行っていることだ。今季の初球ストライク率は64.6%と、パ・リーグで100イニング以上を投げた24投手中5番目の高さだった。全投球で見たストライクゾーンへの投球割合も、リーグ平均を上回る50.3%を記録。投手有利のカウントをつくり、ゾーンの中で打者と勝負するのが山崎投手のスタイルといえる。
多彩な変化球で打者を惑わす
しかし、山崎投手はストレートの球威で打者を押し込むタイプの投手ではない。単にストライクゾーン内に投球を集めるだけでは、痛打を浴びるリスクが大きくなってしまうだろう。そこでカギを握るのが変化球だ。かつてはストレート、チェンジアップ、スライダーの3球種で全体の9割近くを占めていたが、徐々にストレートの割合が減少し、代わってフォークやカットボールが増加。今季は4つの変化球が投球割合10%以上を記録した。これら4球種の球速は120~130キロの範囲におおむね収まっており、打者にとっては球種の予測や見極めが難しくなったと考えられる。
少ない球数で勝負するテンポの良さ
ストライクゾーンで勝負し、かつ打者に的を絞らせない投球によって、少ない球数で決着をつけることができる。打者1人あたり何球投じたかを示すP/PAは3.65と、プロ9年間で最少の数字となった。そんなテンポのいい投球に合わせるように打線も奮起し、9イニングあたりの援護点は前年の2.7から3.7に上昇。勝利を呼び込む投球で、11勝5敗と大きな貯金を生み出した。
新庄剛志監督は、来年4月2日の本拠地開幕戦で山崎投手に先発マウンドを託すことを明言した。チームにはオリックス時代もバッテリーを組んだ伏見寅威選手がいるだけに、コンビ復活も期待されるところだ。自身初となる規定投球回到達、そしてチームの躍進を目指し、背番号18は北の大地で腕を振る。
※文章、表中の数字はすべて2023年シーズン終了時点
文・データスタジアム編集部
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