万波中正が大ブレイク。若手や新戦力が活躍も、リーグワーストの94失策と課題を残す【北海道日本ハムファイターズ2023:野手編】
パ・リーグ インサイト
2023.12.22(金) 16:59
エスコンフィールド初年度、優勝を目指して挑んだ2023シーズン。北海道日本ハムファイターズは60勝82敗1分、勝率.423で2年連続の6位に終わった。本記事では投手編、野手編に分け、北海道日本ハムの2023シーズンを振り返っていく。
チーム打撃成績は昨季から横ばい。守備のミスも目立つ1年に
今季は投手陣が健闘した一方で、チーム打率.231(リーグ6位)、本塁打数100(4位タイ)、得点数464(5位)と野手は苦難の1年に。昨季の成績(打率.234、100本塁打、463得点)と比べても、数字は横ばいだった。
四球数は2022年の352個から、397個と多少改善が見られた。しかし、守備では94失策と、12球団で唯一の90個以上の失策を記録。ディフェンスは大きな課題が残った。
プロ5年目・万波中正の才能が開花。リーグ4位の25本塁打をマーク
今季の北海道日本ハムで最も存在感を放ったのが万波中正選手。昨季、100試合で14本塁打を記録した若きスラッガーが、攻守で躍動を続けて141試合に出場し、定位置を確立した。
5月は打率.267、7本塁打15打点で自身初の月間MVPに輝き、交流戦で打率.328、4本塁打を記録するなど、前半戦終了時点で15本塁打をマーク。選手間投票で自身初となるオールスターゲーム出場を果たすと、球宴史上23人目となる2試合連続本塁打を放ち、第2戦のMVPを受賞した。
7月は月間1本塁打に終わったが、打率.337の好成績を記録。8月に5本塁打を放ち、本塁打王のタイトルを射程圏内にとらえると、新庄剛志監督も1番打者として起用するなど、後押しした。
結果的には25本塁打と、1本差で本塁打王のタイトルには届かなかったが、自身初のベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を受賞。昨季打率.203も、今季は打率.265と打撃フォームの変更が功を奏し、躍進の1年を送った。
野村佑希は自己最多の125試合出場。初の規定打席&2桁本塁打にも到達
エスコンフィールド移転後でのチーム初本塁打はこの男だった。
昨季は故障の影響で93試合の出場にとどまった、野村佑希選手。今季は開幕から出場を重ね、自己最多の125試合に出場した。4月14日にエスコンフィールドチーム第1号を放つと、前半戦で8本塁打をマーク。
一方で打率は伸び悩み、7月は月間打率1割台に。7月14日に登録を抹消されたが、同28日に一軍へ復帰すると、8月は打率.301、4本塁打とすぐさま修正してみせた。最終的には自身初の規定打席に到達。打率.236、13本塁打の成績でプロ5年目のシーズンを終えた。
2年連続の規定打席に到達。若手中心の打線で存在感を示した松本剛
万波選手に次ぐ、134試合に出場した松本剛選手。2022年に打率.347で首位打者に輝いた巧打は、今季も健在だった。5月末時点で4度の猛打賞を記録するなど、打率.293と好成績を収めた。
交流戦では打率.222と状態を落としたが、リーグ戦が再開すると調子を上げ、7月は月間打率.325を記録。8月に再び不振に陥るも、9月は打率.329と盛り返し、最終的にはリーグ5位の打率.276、自己最多の134試合出場と、若手中心の打線の中で存在感を示した。
キャリアハイのシーズンに。竜から移籍してきた2人の捕手
中日から移籍してきた2人の捕手が、大きなインパクトを残した。来日6年目のマルティネス選手は開幕から出場を重ね、119試合で打率.246、15本塁打66打点と、中軸として躍動。自身初の規定打席にも到達、主に一塁手としての出場となったが、捕手としても伏見寅威選手の88試合に次ぐ、チーム2位タイの31試合で守備に就いた。
6月にトレードで移籍してきた郡司裕也選手は、7月にプロ初本塁打を放つなど、打率.311の好成績を残し、一気にブレイク。主に指名打者、一塁手として出場を続け、55試合、打率.254、3本塁打と、キャリアハイのシーズンを送った。
故障もあった清宮幸太郎、五十幡亮汰。上川畑大悟は自身初の再調整を経験
4月1日にサヨナラ打を放ち、エスコンフィールドでのチーム初勝利を呼び込んだ清宮幸太郎選手。4月20日時点で打率.288、1本塁打9打点、得点圏打率.583と好調な滑り出しも、左腹斜筋筋損傷により同22日に登録を抹消された。
6月半ばに一軍復帰、7月・8月に計8本塁打を記録したが、9月は打率1割台と苦しみ、99試合で打率.244、10本塁打、41打点の成績に終わった。
4月末時点で打率.218と不振だった五十幡亮汰選手は、5月5試合で打率.471と状態を上げた矢先、左太もも裏の肉離れで登録抹消。その後7月に一軍へ復帰するも状態は上がらず、9月半ばに再び故障で戦列を離れる。結果的には70試合で打率.228、キャリアハイの17盗塁という成績も、ケガに泣くシーズンだった。
上川畑大悟選手は遊撃手としてチーム最多の81試合に出場、二塁手としても同3位の26試合に出場するなど、開幕から出場を続けた。前半戦終了時点で打率.193と苦しむも、8月は月間打率.322をマーク。しかし、9月は8試合で打率.059と当たりが遠く、登録抹消されてシーズンを終えた。試合数こそ昨季を上回る108試合に出場したが、打撃成績は軒並みダウン。課題が残る1年を送った。
話題となった二刀流も。ルーキーたちは一定の活躍
5位ルーキーの奈良間大己選手は、開幕を二軍で迎えたが、打率.385と圧巻の成績を残し、4月11日に早くも一軍デビュー。その時は結果を残せず登録を抹消されたものの、以降も二軍では好成績を残し続け、7月末に3度目の昇格を勝ち取った。その後は抹消されること無く一軍に帯同し、シーズン通して65試合で打率.243、2本塁打15打点の成績を残している。
MLB帰りのオールドルーキー、加藤豪将選手は故障で出遅れた。5月下旬に一軍へ登録されると、31日に2打席連続本塁打をマーク。6月は21試合で打率.268と一定の成績を残したが、7月以降は当たりが少なくなり、スタメン出場の回数を減らす。最終的には62試合で打率.210、6本塁打16打点の成績だった。
「二刀流ルーキー」として話題を呼んだドラフト1位の矢澤宏太選手は、4月15試合で打率.244、1本塁打を記録する好調な滑り出し。しかし5月は打率1割台と苦しみ、6月に左手小指と右膝の靭帯を損傷して登録抹消。8月に再登録されるも結果を残せず、シーズンの大半をファームで過ごした。投手としては、リリーフで2試合に登板。2イニングで無失点と好投している。
若手中心の打線で上位進出へ。新庄剛志監督3年目のシーズンに注目
万波選手、野村選手がブレイクした一方で、故障や不振に泣いた選手も多かった2023シーズン。7月には13連敗を経験するなど、2年連続で6位に終わった。球場移転の影響もあってか失策もかさんだが、秋季キャンプで守備力の強化に取り組むなど、対策は進んでいる。
終盤には細川凌平選手、田宮裕涼選手など、若手が存在感を示し、伏見寅威選手、江越大賀選手といったベテランも控えているだけに、期待値は高い。打撃成績を向上させて上位進出なるか。新庄剛志監督3年目、エスコンフィールド2年目のシーズンに期待が高まる。
文・東海林諒平
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