復活を果たした打撃職人・角中勝也に、17年目のモデルチェンジがあった!?

パ・リーグ インサイト

千葉ロッテマリーンズ・角中勝也選手(C)C.L.M.
千葉ロッテマリーンズ・角中勝也選手(C)C.L.M.

プロ17年目でキャリアハイの本塁打数をマーク

角中勝也選手 年度別打撃成績(C)PLM
角中勝也選手 年度別打撃成績(C)PLM

 10月10日、レギュラーシーズン最終戦にしてパーソル CS パ行きの切符を手にした千葉ロッテ。躍進の立役者の1人といえるのが角中勝也選手だろう。ここ数年は打撃不振やケガなどで不本意なシーズンが続いていたが、今季は成績が軒並み向上。打席数は規定打席の約半数にあたる244でありながら、キャリアハイの9本塁打をマーク。OPSも首位打者に輝いた2016年の.877に次ぐ.861と見事な復活を果たした。

カウント別のスイング率で見る、積極性が増したアプローチ

角中勝也選手 年度・ストライクカウント別スイング率(C)PLM
角中勝也選手 年度・ストライクカウント別スイング率(C)PLM

 今季の角中選手のデータでまず変化が見られたのがカウント別のスイング率だ。これまで浅いカウントではボールを見ていく傾向にあったが、今季はファーストストライクを中心に、ストライクゾーンに来たボールに対してスイングをかける割合が上がっている。その影響もあって、1打席あたりの投球数を示すP/PAは3.86まで減少。これはリーグ平均に近い数字ではあるが、角中選手のキャリアでは最少の記録だ。粘り強いバッティングで相手投手に球数を投げせる打撃スタイルから一転、今季はある程度早い段階から勝負を仕掛けるアプローチに変化しているといえる。

多少窮屈になる内角球への対応にも変化

角中勝也選手 0・1ストライク時の年度・コース別スイング率(C)PLM
角中勝也選手 0・1ストライク時の年度・コース別スイング率(C)PLM

 続いてコース別の対応を見ていく。追い込まれる前はどのコースに対しても積極性が増しているが、中でも30%台を推移していた内角球に対するスイング率が大きく上昇していた。角中選手といえば、ホームベースにかなり近い位置に立って構えるのが特徴だ。その中で今季は、他の選手と比較して窮屈なボールとなるインサイドのストライクゾーンを果敢に振っていく姿勢が伺える。

これまでのスタイルを覆す引っ張りの意識

角中勝也選手 年度別の打球方向割合(C)PLM
角中勝也選手 年度別の打球方向割合(C)PLM

 そして内角のボールを捉えた際の打球方向に注目してみると、角中選手のアプローチの変化がより鮮明に見てとれる。レギュラーに定着した2012年以降、内角球をセンターから逆方向に打ち返す割合は35~50%と一定以上の数字を記録しており、特にここ2年はその傾向がより強くなっていた。しかし、今季は一転して左方向への割合が8.3%にまで激減。右方向への打球が7割近くを占め、インサイドの球を強く引っ張るというデータが顕著に出ている。

内角の克服が成績向上をもたらした

角中勝也選手 年度別内角打撃成績(C)PLM
角中勝也選手 年度別内角打撃成績(C)PLM

 直近2年は内角打率が1割台と苦しんでいたが、積極的なアプローチと強い引っ張りのスタイルに変えた今季は打率.311にまで改善。6本塁打と長打も大きく増える結果となった。今季本塁打を打った際によく口にした「ボディーターン」という言葉は、こうした内角球を引っ張る意識を表したものでもありそうだ。過去2度の首位打者を獲得するなど、角中選手が卓越したバッティング技術を備えていることはいうまでもない。そんなベテランの変化を恐れないモデルチェンジが、復活への道を切り開いたといえるだろう。

 今季は7月24日の福岡ソフトバンク戦で相手守護神・オスナ投手から自身初となるサヨナラ本塁打を放つなど、ここ一番での勝負強い打棒で幾度となくチームを救ってきた。10月14日からポストシーズンでの戦いが始まるが、2010年以来となる日本一に向けて進化を遂げたベテランのバットに期待したいところだ。

※文章、表中の数字はすべて2023年レギュラーシーズン終了時点

文・データスタジアム編集部

関連リンク

吉井理人監督「チャレンジャーのつもりで」パーソル CS パ 前日会見
「パーソル CS パ」が開幕。千葉ロッテと福岡ソフトバンクの注目選手を紹介
鴎VS鷹、ZOZOマリンでの対戦を振り返り!
「求められる100%以上を届けたい」M☆Splash!! YUKAさんの仕事の流儀

記事提供:

パ・リーグ インサイト

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE