チームに欠けた“2つの要素”を補う存在。森友哉の加入がオリックスにもたらすものとは?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

オリックス・バファローズ・森友哉選手(C)ORIX Buffaloes
オリックス・バファローズ・森友哉選手(C)ORIX Buffaloes

地元・大阪出身の森友哉選手にとっては、約12年ぶりの”古巣復帰”に

 11月16日、FA権を行使していた森友哉選手のオリックス加入が正式発表された。幼少期にオリックスジュニアの一員としてプレーした経験を持つ森選手にとっては、約12年ぶりの”古巣復帰”となった。

 森選手は埼玉西武の主力捕手として攻守にわたって活躍し、2018年からのリーグ連覇にも大きく貢献。FA戦線の目玉の一人だった森選手の加入は、オリックスにどのようなプラスをもたらすのだろうか。

 今回は、2022年のオリックスが残した打撃成績や現在のチーム事情に加えて、森選手が記録した各種の打撃指標を参考にしながら、森選手の加入が生む波及効果について考えていきたい。

若くして台頭を見せ、リーグ屈指の「打てる捕手」として活躍を続けてきた

 森選手がこれまで記録してきた、年度別成績は下記の通り。

森友哉選手 年度別成績(C)PLM
森友哉選手 年度別成績(C)PLM

 森選手は2013年のドラフト1位で埼玉西武に入団。高卒1年目から一軍で41試合に出場して打率.275、OPS.945という数字を残すと、翌2015年には20歳にして規定打席に到達。打率.287、OPS.825と打撃センスの高さを見せつけ、若くして主力の座に定着した。

 続く2016年は2年連続の規定打席こそ逃したものの、前年を上回る打率.292を記録。この2年間は捕手ではなく指名打者や外野手で起用されたが、2017年以降は捕手に復帰。同年は故障で38試合の出場にとどまりながら、打率.339、OPS.934という圧巻の数字を残した。

 2018年には捕手としてチーム最多の試合に出場し、自身初のベストナインを受賞。そして、2019年には完全に正捕手の座をつかみ、打率.329、23本塁打、105打点と打撃3部門全てで優秀な数字を記録。パ・リーグの捕手としては野村克也氏以来、54年ぶり2人目となる首位打者を獲得し、自身初となるリーグMVPの栄冠にも輝いた。

 2020年は打率.251と成績を落としたが、2021年はリーグ2位の打率.309を記録し、自身3度目となるベストナイン受賞も果たした。2022年は故障離脱もあって序盤戦は低調だったが、夏場以降は復調を見せた。最終的には打率.251と森選手にしてはやや不本意な数字となったが、守備の負担が大きい捕手としては十分に優れた打撃成績を残している。

安打数や打率に関しては、リーグでも上位に位置したが……

 次に、オリックスが2022年に記録したチーム全体の打撃成績を見ていきたい。

オリックス 2022年チーム打撃成績(C)PLM
オリックス 2022年チーム打撃成績(C)PLM

 チーム打率と安打数は、それぞれ福岡ソフトバンクに次ぐリーグ2位。長打率.377も同2位、出塁率.317は同3位と、主要な数字は軒並み一定以上の水準にあった。その一方で、得点数は4位、本塁打数は89本でリーグ最下位と、得点力と長打力には欠ける部分があった。

 打率と出塁率が示す通り、塁上に走者を出すことはできていた。そのうえ、リーグトップの犠打数が表すように、得点圏に走者を進める機会は十分に多かった。しかし、得点数を見る限りでは、そうしたチャンスメイクを得点に結びつけきれていないことは否めない。

打線の大黒柱である吉田正尚選手は、チーム内でも群を抜く貢献度を示していた

 続いて、今季のオリックスで規定打席に到達した打者の顔ぶれを見ていきたい。

オリックス 2022年規定打席到達選手(C)PLM
オリックス 2022年規定打席到達選手(C)PLM

 規定打席到達者は全部で5名。とりわけ、今シーズンのパ・リーグで2名しかいない3割打者のうちの一人だった吉田正尚は、OPS1.008とあらゆる面で高いパフォーマンスを発揮。打撃三部門全てで他を引き離してチームトップの数字を残し、打線の核として優勝の立役者の一人となった。

 仮に、その吉田正選手がポスティングによってMLBに移籍した場合、当然ながらその穴埋めは非常に厳しいミッションとなる。吉田正選手を除くと、規定打席到達者の中でOPSが.700台に達しているのは中川圭太選手ただ一人という事実が、チームにおける吉田正選手の存在の大きさを物語っている。

 森選手は2022年にやや不振だったとはいえ、OPS.718と捕手としては水準以上の数字を記録していた。通算打率.289、通算OPS.834という数字を残してきた森選手が期待通りの活躍を見せれば、オリックス打線にとっては大きな上積みとなりうる。

 また、森選手は捕手でありながらオフェンス面での貢献度が高い、という点も大きい。2022年は若月健矢選手が68試合で打率.281と活躍したが、通算打率.223、通算OPS.567と、元々は打撃が得意な捕手ではなかった。また、若月選手と共に主力捕手としてリーグ連覇に貢献した伏見寅威選手は、今オフにFA権を行使して北海道日本ハムに移籍している。

 球界屈指の「打てる捕手」である森選手の加入は、チームの打線に厚みをもたらすとともに、エースの山本由伸投手と共に2年連続で最優秀バッテリー賞を受賞した、若月選手の負担減にもつながるはずだ。先発投手によっては森選手がDHに入って若月選手と共存することも可能となるため、チームにとっても選手起用の幅が広がることは間違いないだろう。

得点圏打率と選球眼の両面で、現在のチームに欠けた要素を補いうる存在に

 ここまではオリックスの打撃面における課題を紹介してきたが、それを踏まえたうえで、森選手が残してきた年度別の指標を見ていきたい。

森友哉選手 年度別指標(C)PLM
森友哉選手 年度別指標(C)PLM

 通算打率.289に対して通算の得点圏打率が.318と、キャリアを通じて勝負強さを発揮している。2019年には得点圏打率.411という驚異的な数字を残し、直近の2022年にも得点圏打率が年間打率を.024も上回っている。決め手に欠ける部分があったオリックス打線において、勝負強い森選手の加入は大きな意義を持ちうる。

 また、四球を三振で割って算出する、選球眼を示す指標の「BB/K」にも注目だ。森選手は、打率が.300を超えているシーズンは優秀な水準に達し、打率が2割台中盤のシーズンは数字を落としている。この数字は森選手の調子を表すバロメーターといえるが、2021年には1.215という、非常に優秀な数字を記録していた点は特筆ものだ。

 それに加えて、キャリア通算の四球率は.116と一定以上の数字を記録。とりわけ、2021年は四球率がキャリアベストの.152に達し、IsoDも初めて.100を上回った。三振率も.125と自己最高の数字を記録しており、首位打者を獲得した2019年と比較しても、選球眼を含めた打者としての完成度は着実に高まっている。

 出塁率.447という圧倒的な数字を残した吉田正選手が抜けると、チャンスメイクの面でも大きな痛手となる。その点、森選手は年間出塁率.400超えを果たしたシーズンが3度存在し、通算出塁率も.374と高水準。2021年にはBB/Kにおいても素晴らしい数字を残しているだけに、大黒柱が抜けた穴を最小限にとどめてくれる可能性もあるだろう。

「奇数年に打率.300」の法則が続くならば、2023年は大活躍のシーズンに?

 優れた選球眼と勝負強さを兼ね備えた森選手の打撃は、まさに昨季のオリックスに足りなかった部分を補うものだ。また、2017年以降の森選手は奇数年に打率.300以上を記録しており、隔年で大活躍を見せる傾向にある。この法則が続くならば、2023年は好調のシーズンになるはず、という点も、縁起の良い要素の一つといえよう。

 他球団のマークも厳しくなる中でリーグ3連覇を達成するには、打線のさらなる奮起が不可欠だ。27歳にして豊富な経験と実績を備える森選手の加入は、あらゆる意味で非常に大きな“補強”となりうる。まだ伸びしろを残す好打者が地元・大阪でどんなプレーを見せてくれるか、ファンならずとも要注目だ。

文・望月遼太

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