その活躍でチームを変えた「ポストシーズンの鬼」。内川聖一の活躍を映像で振り返る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

内川聖一選手(C)パーソル パ・リーグTV
内川聖一選手(C)パーソル パ・リーグTV

生涯打率.302、通算2186安打を誇る、近年のNPBを代表する安打製造機だった

 東京ヤクルトの内川聖一選手が、2022年限りでNPBにおける現役生活を引退する。横浜、福岡ソフトバンク、東京ヤクルトの3球団で合計22年間にわたって現役を続け、生涯打率.302、歴代22位の通算2186安打という、抜群の実績を残した当代随一の安打製造機だ。

 10年間在籍した福岡ソフトバンクではキャプテンの重責も担い、チームの黄金時代形成に大きく貢献。とりわけポストシーズンでは抜群の勝負強さを発揮し、ここぞの場面でチームを救う一打を幾度となく放ち、ホークスに数多くのタイトルをもたらしてきた。

 今回は、そんな内川選手の球歴をあらためて紹介するとともに、福岡ソフトバンク時代に見せた印象に残るプレーや、節目の記録に到達した瞬間の数々を、パーソル パ・リーグTVの映像とともに振り返っていきたい。

右打者としてNPB史上最高打率、史上2人目の両リーグ首位打者という2つの快挙

 内川選手がNPBで記録した、年度別成績は下記の通り。

内川聖一選手 年度別成績(C)PLM
内川聖一選手 年度別成績(C)PLM

 2000年のドラフト1位で横浜(現・横浜DeNA)に入団し、若手時代からシュアな打撃で存在感を発揮。故障もあってレギュラー定着には時間がかかったが、プロ8年目の2008年にその才能が一気に開花。右打者としてはNPB史上最高となる打率.378を記録し、首位打者、最多安打、最高出塁率の3冠に輝く大ブレイクを果たした。

 その後も横浜の中軸として安定した成績を残し、2011年に地元・九州の福岡ソフトバンクに活躍の場を移す。移籍1年目には初挑戦のパ・リーグで打率.338という高打率を残し、史上2人目となるセ・パ両リーグでの首位打者という快挙を達成。2008年から2014年まで7年連続で打率.300以上を記録するなど、球界屈指の安打製造機として活躍を続けた。

 福岡ソフトバンクでは10年間の在籍で、5度のリーグ優勝と7度の日本一を経験。自身もクライマックスシリーズのMVPを3回、日本シリーズのMVPを1回受賞するなど、短期決戦での活躍ぶりは群を抜いていた。2018年には通算2000本安打も記録するなど、長年にわたって常勝軍団をけん引し続けた。

 2021年からは自身3球団目となる東京ヤクルトに移籍。達成まであとわずかに迫った通算200本塁打と1000打点への到達も期待されたが、一軍では結果を残せずに惜しくも達成ならず。10月3日に行われた引退試合では現役最終打席で通算2186本目の安打となる二塁打を放ち、文字通りの有終の美を飾ってNPBでの現役生活にピリオドを打った。

 ここからは、パーソル パ・リーグTVの映像をもとに、内川選手の活躍を振り返っていきたい。

通算1500安打(2014年7月11日)

1回表 ホークス・内川が史上116人目となる「通算1,500安打」を達成!! 2014/7/11 F-H

 レギュラーに定着したのはプロ8年目の2008年と比較的遅咲きながら、そこから2013年までの6年間で1013安打とハイペースで安打を記録。2014年には27歳という年齢で通算1500安打の大台に到達し、さらなる金字塔への期待も高まった。

CSファイナルでサヨナラ打(2015年10月14日)

【2015 CSファイナル初戦】内川聖一 劇的サヨナラタイムリー

 2015年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージ初戦。10回裏、一死満塁の状況で打席に入った内川選手は、低めに落ちる変化球へ巧みにバットを合わせる。その打球は狙いすましたかのようにライト前に落ち、値千金のサヨナラ打に。稀代の安打製造機が持つ打撃技術が詰まった一打が、CSを勝ち抜くための勢いをもたらした。

通算150本塁打(2016年4月27日)

【1回表】ホークス・内川 4号2ランは通算150号!! 2016/4/27 Bs-H

 内川選手は年間20本塁打を超えたシーズンこそ一度もないが、チーム事情に応じて4番を務めた時期もあるなど、単なるヒットメーカーにとどまらない長打力も持ち合わせた。4番に座って記録した通算150号となる本塁打は、まさに4番らしい力強さを示す打球だった。

通算300二塁打(2016年6月30日)

【1回裏】ホークス・内川 通算300二塁打は貴重な同点タイムリー!!

 鋭い打球を広角に打ち分けることを可能にするだけの打撃技術を持つ内川選手は、現役生活を通じて360本もの二塁打を記録してきた。通算300二塁打を達成したこの一打も、逆方向に力強く伸びる内川選手らしいバッティングだったといえよう。

CSで4試合連続ホームラン(2017年10月18日~21日)

《THE FEATURE PLAYER》頼れるキャプテン!! H内川 4試合連続弾で日本シリーズ王手!!

 通算3度のクライマックスシリーズMVPに輝いた内川選手のキャリアの中でも、2017年に見せた4試合連続本塁打、5試合全てで打点を記録という離れ業は出色だった。「短期決戦の鬼」と呼ばれた勝負強さをまざまざと見せつけ、2連敗からのCS突破の立役者となった。

通算2000本安打(2018年5月9日)

《THE FEATURE PLAYER》ついに出た!! H内川 通算2000本安打の軌跡を辿る

 内川選手は通算1500安打を達成してからも、順調に安打を積み重ねていった。通算1999本目の安打を記録して王手をかけてからは14打席連続無安打と苦しんだが、最後は磨き上げてきた右打ちで二塁手の頭上を越し、ついに通算2000本安打の金字塔にたどり着いた。

CS歴代最多となる通算10本目のホームラン(2019年10月7日)

【7回裏】CS男が魅せまくり!! ホークス・内川聖一 弾丸ライナーの一発

 2019年のクライマックスシリーズ第3戦。1対1の同点で迎えた7回に、内川選手はCS歴代最多となる10本目の本塁打を記録した。この一打が決勝点となってチームはファイナルステージに駒を進め、最終的には日本一まで駆け上がった。内川選手の記念すべき本塁打は、チームにとっても非常に大きな価値を持つものだった。

パ・リーグ史上初、一塁手として守備率10割でゴールデングラブ賞(2019年)

【7回表】ホークス・内川聖一 ファインプレーで相手の出塁を許さない!! 2019年10月06日

 若手時代は二遊間の選手として将来を嘱望されていた内川選手だが、短い距離の送球に課題を抱えていたこともあり、レギュラー定着後は外野手や一塁手としてプレー。そして、プロ19年目の2019年にはパ・リーグの一塁手では史上初となる、失策0、守備率10割でシーズンを完走。37歳にして、自身初のゴールデングラブ賞に輝くほどの円熟ぶりを見せた。

外野手として見事なビッグプレー(2012年8月28日)

【そこからアウトに!?】内川聖一がビッグプレーを披露

 2009年のWBCでは外野守備でもチームを救うなど、内川選手は外野手としてもたびたび好プレーを見せた。この場面ではヒット性の打球をスライディングで好捕しただけでなく、すぐさま一塁へストライク送球して併殺を完成させた。内野手の経験があるからこその好プレーに、内川選手が持つ優れた野球センスの一端がうかがえよう。

内川選手の加入は、チームを負のスパイラルから救うターニングポイントとなった

 卓越した技術による鮮やかな流し打ちだけでなく、短期決戦のような勝負どころでは狙いすました引っ張りで本塁打も放つ。ポストシーズンで見せた圧巻の活躍、そして現役通算の得点圏打率が.305という抜群の勝負強さは、状況に応じた打撃の引き出しが極めて多いという、内川選手が持つ驚異的な打撃技術にも支えられていたはずだ。

 2004年、2005年、そして2010年と、福岡ソフトバンクはリーグ戦を勝率1位で終えながらプレーオフで涙をのみ、日本シリーズに進出できなかったシーズンが3度もあった。しかし、内川選手が加入した2011年からはそうした負のスパイラルが払しょくされ、「常勝軍団」と呼ばれるほどに、ポストシーズンで無類の強さを誇るチームに成長を遂げていった。

 その過程において、ポストシーズンで抜群の勝負強さを示した内川選手が果たしてきた貢献は、計り知れないほどの価値があったことだろう。在籍10年間で数々の金字塔に到達した稀代のヒットメーカーは、まさに記録にも、記憶にも残る偉大な選手だった。

文・望月遼太

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