データに見る、打撃3冠を争う栗原陵矢・近藤健介・レイエス。気になる今後の展望は?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

左から栗原陵矢選手、近藤健介選手、レイエス選手【写真球団提供】
左から栗原陵矢選手、近藤健介選手、レイエス選手【写真球団提供】

栗原陵矢、近藤健介、レイエスの3名がしのぎを削る

 2026年のレギュラーシーズンも終盤戦に差し掛かり、個人タイトルをめぐる争いも佳境を迎えつつある。今季のパ・リーグでは栗原陵矢選手、近藤健介選手、レイエス選手の3名が打撃タイトルの主要三部門でランキング上位に入っており、今後の展開が注目される。

 今回は、今季のパ・リーグにおいて先述した3名の選手が記録している各種の指標をもとに、各選手の特徴や凄みについて紹介。それに加えて、各選手の月別成績について見ていくことによって、今後のタイトル争いの展望も行っていきたい。

※成績は9月3日時点

長打力に関する指標が飛躍的に向上し、選球眼に関しても改善が見られる

 栗原選手がこれまで記録してきた、年度別の指標は下記の通り。

栗原陵矢選手 年度別指標 ©PLM
栗原陵矢選手 年度別指標 ©PLM

 今季の長打率.552という数字は、キャリア平均の.456という数字を約1割上回る。それに加えて、長打率から単打の影響を省いた、いわば真の長打力を示すとされる「ISO」に関しても、今季は.288とキャリア平均の.195という数字を大きく超え、規定打席到達者の中で堂々のリーグトップという飛躍的な向上を果たしている。

 さらに、出塁率と打率の差を示す、選球眼を表す指標である「IsoD」も.096と、こちらも自己最高の水準で推移している。同じく選球眼やストライクゾーンの管理能力を示す「BB/K」という指標も.649とキャリア平均よりも1割以上高くなっており、長打力のみならず選球眼に関しても顕著な改善が示されている。

 その結果として、OPSもリーグ3位の.912という優れた数字を残しており、総じて強打者として申し分のない成績を残している。ホームランを1本打つのに必要な打数を示す「AB/HR」という指標もリーグ1位の13.26という数字に達しており、34本塁打、98打点でリーグトップに立っている理由が、各種の数字からもうかがえる。

主要三部門全てでランキング上位に

 近藤選手がこれまで記録してきた、年度別の指標は下記の通り。

近藤健介選手 年度別指標 ©PLM
近藤健介選手 年度別指標 ©PLM

 今季はリーグ2位の打率.303、同4位の25本塁打、同2位の92打点と、主要三部門すべてでランキング上位に入っている。本塁打は栗原選手に9本差とここから追いつくのはやや厳しい状況だが、それぞれ自身2度目の首位打者と打点王を獲得するチャンスは十分に残されていると言えよう。

 また、今季はリーグトップの出塁率.425を記録しており、2年ぶり5度目の最高出塁率のタイトル獲得に向けて視界良好だ。また、長打率に関してもリーグ3位の.550と非常に優秀な数字を記録しており、OPSはリーグ1位の.975と抜群の数字を記録。投高打低の傾向が続く中で、例年通りに極めてハイレベルな成績を残している点は特筆に値する。

 さらに、IsoDが.123、BB/Kが1.147と選球眼に関する指標はいずれもリーグ1位の数字を残し、今季も卓越した選球眼を随所で発揮している。AB/HRもリーグ4位の16.52とハイペースで本塁打を放っており、打者としてのトータルバランスが極めて優れていることが各種の数字からも見て取れる。

今季は確実性も大きく向上

 レイエス選手がこれまで記録してきた、年度別の指標は下記の通り。

フランミル・レイエス選手 年度別指標 ©PLM
フランミル・レイエス選手 年度別指標 ©PLM

 昨季は32本塁打、90打点で本塁打と打点の2冠王に輝いたが、今季はリーグ最多の140安打を放って打率もリーグ1位の.317と、自身3つ目のタイトル獲得に向けてヒットを量産。また、近藤選手と同様に、レイエス選手もリーグ2位の29本塁打、同3位の75打点と主要三部門全てでランキング上位に入っており、リーグ屈指の強打者として打線をけん引している。

 さらに、出塁率.379、長打率.571はいずれもキャリア最高の数字となっており、OPSも近藤選手に次ぐリーグ2位の.951とハイレベルな成績を記録。今季は確実性の大幅な向上が注目を集めている一方で、従来のパワーヒッターとしての持ち味も引き続き発揮されていることがわかる。

 今季のAB/HRは15.21と過去2シーズンに比べてやや悪化してはいるが、それでもリーグ3位と一定の数字を記録していることも、長距離砲としての実力の証明だ。IsoDこそ前年に比べて低下しているものの、BB/Kに関してはキャリア最高の.511という数字を記録していることからも、打者としての完成度は着実に高まっていると考えられる。

安定した成績を残してきたレイエスの不振が、今後にどう影響するか

 最後に、今回取り上げた3名の選手たちが2026年に記録した、各種の月別成績を見ていきたい。

栗原陵矢選手 月別成績 ©PLM
栗原陵矢選手 月別成績 ©PLM

 栗原選手は5月以降に4カ月続けてOPS.850以上を記録しており、5月には11本塁打・26打点、7月には9本塁打・21打点と固め打ちを披露した月も複数にわたって存在。シーズンを通じて本塁打と打点を着実に積み上げてきただけに、残る期間で再び固め打ちを見せる期間を生み出し、本塁打王と打点王のタイトルを盤石のものとしたいところだ。

近藤健介選手 月別成績 ©PLM
近藤健介選手 月別成績 ©PLM

 近藤選手は6月に月間打率.323、7月に同.342と高打率を残していることに加え、6月から2カ月連続でOPS1.000以上を記録。8月までOPS.860以上という安定感もさることながら、中盤戦以降に状態を上げている点も興味深い要素だ。8月は過去2カ月に比べるとやや状態を落としているが、終盤戦に入ってから再び好調期の圧倒的な打棒を見せられるか。

フランミル・レイエス選手 月別成績 ©PLM
フランミル・レイエス選手 月別成績 ©PLM

 レイエス選手は5月から3カ月連続で月間打率.310以上、OPS.890以上を記録しており、確実性の向上と打者としての優れた生産性を長期にわたって示してきた。8月は打率.256と不振に陥っているのが気がかりだが、今後復調を果たして縮まりつつあるリードを再び広げ、直近2年間で主要三部門のタイトルを全て獲得するという快挙を成し遂げられるかに注目だ。

タイトルをチームメイトで分け合う可能性も

 過去2シーズンのレイエス選手は長距離砲としての趣が強かったが、今季は生産性を維持しながら打率を大幅に向上させ、より隙のない打者となっている。こうした変化は、移籍後に巧打者からトータルバランスに優れた強打者へと成長を遂げた近藤選手とは対照的なものでもあるだけに、今季のタイトル争いをより興味深くするトピックの一つにもなっている。

 和製大砲として覚醒した栗原選手も加えた三つ巴のタイトル争いを勝ち抜くのは、いったいどの選手となるか。差が縮まった首位打者争いはまだ予断を許さず、打点に関しては福岡ソフトバンクのチームメイト2人が同成績でタイトルを分け合う可能性も十分にあるだけに、さまざまな面でシーズン最終盤まで目が離せない展開となりそうだ。

文・望月遼太

記事提供:パ・リーグ インサイト 望月遼太

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