
支配下登録期限を前に昇格を果たし、活躍を見せた投手は?
NPBでは、基本的に毎年7月31日に新規支配下選手登録の期限を迎える。支配下に昇格した直後にインパクトのある活躍を見せることは決して容易ではないが、過去には即座に貴重な戦力となったり、ポストシーズンでチームの勝利に貢献した選手たちも存在している。
今回は、直近10年間のパ・リーグにおいて新規支配下選手登録の期限間際に昇格を果たし、同年に一軍の舞台で活躍を見せた5名の投手について紹介。各投手のその後の奮闘についても見ていくとともに、今季昇格を果たした選手たちの躍進にも期待を寄せたい。(※記録は8月14日の試合終了時点)
宋家豪(東北楽天)

宋家豪投手は2015年オフに育成選手として東北楽天と契約し、来日2年目となる2017年7月31日に支配下登録を勝ち取る。レギュラーシーズンでの登板は5試合にとどまったものの10月に3ホールドを記録。クライマックスシリーズでは合計4試合に登板して失点したのは1試合のみ、2勝を挙げる活躍でチームのファイナルステージ進出にも大いに貢献した。
翌2018年には40試合の登板で防御率1.73と安定感抜群の投球を展開し、その後もリリーフ陣の主力として長きにわたって東北楽天を支え続けている。365試合に登板してNPB歴代29位、台湾人投手としては史上最多となる通算124ホールドを記録しており、在籍11年目を迎える今季もさらなる活躍と記録の上積みに期待したいところだ。
大竹耕太郎(福岡ソフトバンク→阪神)

大竹耕太郎投手は2017年の育成選手ドラフト4位で福岡ソフトバンクに入団し、プロ1年目の2018年7月29日に支配下登録へ移行。同年は一軍で主に先発として11試合に登板して3勝2敗、防御率3.88と一定の成績を残し、クライマックスシリーズや日本シリーズでは中継ぎとして登板を重ねるなど、重要な時期に貴重な左腕として幅広い起用に応えた。
翌2019年には17試合に登板して106イニングを消化し、5勝4敗、防御率3.82と先発陣の主力の一人として奮闘したが、2020年以降は投手陣の層の厚さに阻まれ登板機会が減少。2022年オフに阪神に移籍して以降は先発の一角に定着し、2023年から2年連続で2桁勝利を挙げて2度のリーグ優勝にも貢献。現役ドラフトの顕著な成功例の一人となっている。
福山博之氏(横浜・横浜DeNA→東北楽天)

福山博之氏は2010年のドラフト6位で横浜(現・横浜DeNA)に入団し、2013年に東北楽天に移籍。同年には22試合に登板して球団初の日本一メンバーの一員となると、移籍2年目の2014年から4年連続で60試合以上に登板して防御率2点台以下と安定した投球を披露。東北楽天ブルペンの柱の一人として、4年間で87ホールドを挙げる大車輪の活躍を見せた。
故障の影響で2019年オフに育成契約に移行したが、翌2020年の9月21日に再び支配下に返り咲く(※2020年はコロナ特例として9月30日まで期限延長のため)。同年には14試合に登板して喫した失点がわずかに1、防御率0.75と支配的な投球を見せ、その実力をあらためて証明。翌2021年にも24試合で防御率2.38と好投を続け、節目の通算100ホールドにも到達。大きなケガを乗り越え、NPBに確かな足跡を残した。
宇田川優希(オリックス)

宇田川優希投手は2020年の育成選手ドラフト3位でオリックスに入団。プロ2年目の2022年7月28日に支配下に昇格すると、19試合に登板して防御率0.81、奪三振率12.90、WHIP0.99を記録。ポストシーズンでも合計6試合に登板して無失点、日本シリーズでは5.2イニングで10奪三振とまさに圧巻の投球を見せ、支配下昇格からわずか数カ月でチームをリーグ優勝と日本一に導く原動力の一人となった。
2023年の開幕前に行われたワールド・ベースボール・クラシックの日本代表にも選出され、優勝メンバーの一員に。シーズン開幕後も46試合で24ホールドポイント、防御率1.77、奪三振率10.25と好投し、勝ちパターンの一角としてリーグ3連覇に大きく貢献。その後は故障に苦しんでいるが、ケガとの戦いに打ち勝って完全復活を果たしてほしいところだ。
澤田圭佑(オリックス→千葉ロッテ)

澤田圭佑投手は2016年のドラフト8位でオリックスに入団。プロ2年目の2018年に47試合で13ホールドポイント、防御率2.54と奮闘し、翌2019年には自己最多の19ホールドポイントを記録。層の厚いブルペンの中でも随所で存在感を放ったが、2022年はトミー・ジョン手術を受けて一軍登板を果たせず、同年オフに千葉ロッテと育成選手として契約した。
移籍1年目の2023年7月27日に支配下への昇格を果たすと、同年には17試合の登板で10ホールドポイントを挙げ、防御率1.08、奪三振率9.72とセットアッパーとして躍動。10月1日にはプロ初セーブを挙げ、クライマックスシリーズのファーストステージでは2試合の登板で無失点と重要な場面でも活躍を見せ、翌年以降もブルペンの貴重なピースとなり続けている。
今季も千載一遇のチャンスをつかみ、チームを勢いづける選手が現れるか
大竹投手、福山氏、宇田川投手、澤田投手の4名は支配下への昇格直後から一軍の戦力として活躍し、宋家豪投手もポストシーズンで大いに存在感を放った。支配下選手登録期限間際に支配下に昇格した選手にとって、残されたシーズンの試合数は決して多いとは言えない。しかし、そんななかでもチャンスを生かして躍進を遂げた選手は少なからず現れている。
今季の支配下登録期限間際に昇格を果たした選手たちの中から、残るシーズンならびにポストシーズンにおいてチームに貢献する存在がどれだけ現れるか。巡ってきたチャンスをつかんだ選手たちが一軍の舞台で躍動し、チームを勢いづけることに大きな期待を寄せたいところだ。
文・望月遼太