パシフィックリーグマーケティング(以下、PLM)は昨年12月13日、沖縄県・嘉手納野球場にて、ジャパンウィンターリーグ(JWL)との共同プロジェクトの一環として、ティーボールイベントを実施した。
会場には、沖縄県内の未就学児や学童保育に通う子どもたち約30名が参加。バットに触れたことのない子どもも多く、野球にとっては“最初の一歩”となる時間が流れた。
自由度の高いプログラムが生んだ「自然な笑顔」
この日は年齢や経験を限定せず、入退場も自由な形式で実施された。自由に楽しめる空間を作ったことで、最初は戸惑った表情を見せていた子どもたちも、自分のペースでボールを打ったり拾いに行ったりするなどそれぞれが楽しみ方を見つけて、バットやボールに馴染んでいった。
最後に行われた試合形式のティーボールでは、全員がボールを打ち、スタンドから見るだけだった人工芝の上を駆け回るなど、普段なかなか体験することができない“野球”を目一杯楽しみ、子どもたちだけでなく、周りで見守る大人たちも自然と笑顔に包まれた。

PLMが踏み出した「行動」としての一歩
PLMにとって本イベントは、今冬のJWL開催にあわせて始動した共同プロジェクトのなかでも、地域の子どもたちに野球に触れる機会を提供する取り組みとして位置づけられている。
企画を主導したPLMメディアライツ事業部 副部長の髙木隆氏は、「野球界に身を置くものとして、競技人口減少という課題に何かしら向き合うべきだと考えた」と語る。JWLが掲げる地域創生というテーマとも重なり、沖縄という地で現地の子どもたちに体験の場を提供することが、今回の企画につながった。
参加者が感じた「体験する野球」の価値
参加した保護者からも、前向きな声が聞かれた。4歳の息子と参加した母親の砂川優紀さんは、「時間に縛られず自由に参加できたことがありがたかった」と振り返る。グラウンドの中に実際に入る経験は初めてだったといい、「見るだけだった野球を体験として感じられたことが大きかった」と話した。
夫のボビー・プライスさんも、「年齢やレベル感に合った内容で、少人数だったからこそ自由に動けた」と語る。以前スタンドから観戦したことがある球場に、プレーヤーとして立てたことが、子どもにとって特別な体験になったという。

野球人口減少に向け、ティーボールが持つ「可能性」
本イベントは、NPO法人 ティーボール協会の協力のもと行われた。沖縄県連盟所属の仲里幸剛氏は、ティーボールについて「誰でもバットを振り、ボールが飛んだら走るという、シンプルな楽しさを大切にしている」と説明する。最後に行った試合ではルールを簡素化し、塁を回るごとに得点できる形式を採用。最初は消極的だった子どもたちも、必ず得点が入ることでより積極性が生まれ、最後には悔しがる子どもが出るくらい全力で楽しんでいた。
仲里氏は、PLMのようなスポーツビジネスを生業とする企業が関わる意義について、「周知や開催のハードルが下がり、現場としても動きやすくなる」と話す。こうした取り組みが、野球やベースボール型スポーツへの入口を広げていくことへの期待もにじませた。

次につながる「はじめの一日」
今回のティーボールイベントは、単発の体験にとどまらず、PLMにとっても次につながる第一歩となった。髙木氏は「この場で終わらせず、他地域や他団体との連携も含め、継続の形を模索していきたい」と語る。
野球を“見るもの”から“触れるもの”へ。嘉手納のグラウンドで生まれた小さなきっかけは、確かに次の可能性へとつながっていた。
文・岩国誠
