本塁打数が3桁に達した3チームがAクラスを占める結果に
2025年のパ・リーグでは、100本以上の本塁打を放った3チームがいずれもAクラスに入った一方で、本塁打が80本以下の3チームは全てBクラスに沈んだ。この結果は、投高打低の傾向が強まる現在のNPBにおいて、本塁打の数がチーム成績に及ぼす影響の大きさを示唆するものでもある。
今回は、チーム内で本塁打数トップ5に入った選手たちの顔ぶれを、パ・リーグ各球団ごとに紹介。それに加えて、試合数やOPS、本塁打を1本記録するまでに要した打数を表す「AB/HR」といった数字も併せて確認し、各選手の活躍ぶりをあらためて振り返っていきたい。
北海道日本ハムファイターズ

本塁打王の栄冠を手にしたレイエス選手は、リーグで唯一30本以上のホームランを記録した選手でもある。OPSも規定打席到達者の中ではただ一人.800超えを果たし、AB/HRも14.88と群を抜く数字を記録。タイトルを獲得するに相応しい、まさに他を圧倒する打棒を披露した。
万波中正選手もリーグ4位の20本塁打を記録し、AB/HRは規定打席到達者の中では3位とチームの主砲の一人として持ち前のパワーを発揮。水谷瞬選手も87試合の出場で12本塁打とハイペースでアーチを描き、昨季に続いて優れた打撃センスの一端を示した。
清宮幸太郎選手はリーグ最多の577打席に立って12本塁打を記録し、OPS.722と年間を通じてチームを支えた。郡司裕也選手も10本塁打に加えて打率.297、OPS.799と高い生産性を示し、ポストシーズンでは4番を務めるなど主軸としてファイターズの躍進に寄与している。
東北楽天ゴールデンイーグルス

ボイト選手はわずか67試合の出場で13本塁打を放ち、シーズン途中入団ながらチーム最多の本塁打数を記録。AB/HRは18.69と200打席以上に立った選手の中ではレイエス選手に次ぐ数字を残し、打率.300、OPS.882と本塁打以外の面でも好成績を記録。MLBで本塁打王に輝いた実力を大いに発揮してみせた。
浅村栄斗選手は5月24日に通算2000本安打の偉業を達成したが、打撃不振に陥って二軍での再調整も経験するなど苦しいシーズンに。それでも、9月に月間4本塁打を放つなど終盤戦には復調を見せ、チーム2位の9本塁打に加えてOPS.715と一定の成績を残した。
辰己涼介選手は不振による二軍落ちを経験しながら前年と同じ7本塁打を放ち、来日3年目のフランコ選手も101試合で7本塁打を記録。それに加えて、自身初の規定打席到達を果たして6本塁打を放った中島大輔選手の台頭は、今後に向けた明るい材料となっている。
埼玉西武ライオンズ

ネビン選手はリーグ3位の21本塁打に加えて、OPS.794は規定打席到達者の中ではリーグ2位、AB/HRは同4位と来日初年度から優れた生産性とパワーを発揮。それぞれリーグ3位の141安打、63打点と打撃各部門で好成績を残し、主砲として打線をけん引する活躍を見せた。
ルーキーの渡部聖弥選手はケガによる2度の離脱を経験したものの、チーム2位となる12本塁打を記録。一時は打率ランキングのトップに立つなど、序盤戦ではハイアベレージを記録して注目を集めたが、長打力という面でも一定以上の成果を残した点は特筆ものだ。
西川愛也選手は故障離脱がありながら10本塁打を放ち、OPS.704と一定の数字を記録。25盗塁を記録した俊足に加えて、長打力の面でも優れた能力を持つことを示した。古賀悠斗選手とセデーニョ選手も7本塁打を記録し、チーム全体が打撃不振に苦しんだ昨季からの変化を印象付けている。
千葉ロッテマリーンズ

ソト選手は2024年にチーム2位、リーグ4位となる21本塁打を記録したが、今季は13本塁打と数字を落とした。それでもチーム最多の本塁打を放って最下位に沈んだチームの中で存在感を発揮しており、外国人枠から外れる来季はバウンスバックを果たせるかに注目だ。
2024年にイースタン・リーグで本塁打と打点の2冠王に輝いた山本大斗選手は、7月までに10本塁打を放ち、一時は4番打者を務めるほどに飛躍。8月6日を最後に2カ月以上にわたって本塁打なしと終盤戦では壁にぶつかったが、将来に向けて期待を抱かせるシーズンを送っている。
山口航輝選手はわずか35試合の出場で7本塁打を放ち、AB/HRは15.14とレイエス選手に匹敵する数字を記録してみせた。ポランコ選手は故障もあって大きく成績を落としたが、高卒2年目の寺地隆成選手と、故障からの復活を期した池田来翔選手がそれぞれ5本塁打を放ったのはプラス材料だ。
オリックス・バファローズ

杉本裕太郎選手がチームトップの16本塁打を放ち、5年連続となる2桁本塁打を記録。OPS.758という数字は規定打席到達者の中ではリーグ4位、AB/HRは同5位といずれもリーグ上位の成績を残し、好不調の波こそあったものの、中心打者としてチームの復調を支えている。
頓宮裕真選手も打率.197という成績に終わった2024年の不振から脱却し、一塁手のレギュラーとしてチーム2位の13本塁打を記録。中川圭太選手も打率.284、OPS.746と優勝に貢献した2022年に匹敵する好成績を収め、自己最多タイの12本塁打と完全復活を果たした。
シーズン終盤まで首位打者争いを繰り広げた太田椋選手は、打率.283、OPS.710という好成績に加えて、本塁打数も自身初めて2桁に乗せる飛躍のシーズンに。紅林弘太郎選手も9本塁打に加えて打率.260、OPS.703と奮闘を見せ、多くの選手が一定以上の長打力を発揮していた。
福岡ソフトバンクホークス

昨季の本塁打王である山川穂高選手は打率.226と確実性を欠き、一時は二軍調整を余儀なくされるなど不振に。それでもリーグ2位の23本塁打を放ち、AB/HRも規定打席到達者の中ではレイエス選手に次ぐ数字を記録するなど、4度の本塁打王を獲得したパワーヒッターとして意地を示した。
野村勇選手はいずれも打率1割台に終わった過去2シーズンの不振を脱し、自己最多の12本塁打を記録してOPS.733、18盗塁と好成績を記録。プロ初年度に10本塁打・10盗塁を記録したパワーと俊足を蘇らせ、主力としてチームのリーグ優勝にも大きく貢献した。
近藤健介選手と栗原陵矢選手はいずれも故障の影響で戦線離脱を強いられたが、限られた出場機会で一定以上の本塁打数を記録して能力の高さを証明。最高出塁率のタイトルを獲得した柳町達選手は自己最多の6本塁打を放ち、長打力の面でも成長を垣間見せている。
来季もチーム内本塁打数トップ5の選手に要注目
北海道日本ハムはリーグで唯一2桁本塁打を放った選手が5名以上存在したチームとなり、オリックスも5位の紅林選手が9本塁打とそれに次ぐ数字を残した。福岡ソフトバンクも主力に故障者が相次ぐ中で上位5名が合計59本塁打を放っており、Aクラス入りした球団はいずれも一定以上の長打力を備えた選手を多く擁していたことが示されている。
2026年に各球団における本塁打ランキングのトップ5に入る選手たちは、いったいどのような顔ぶれになるのだろうか。上位進出につながる要素の一つとも考えられる、長打力を担保する存在となる選手の台頭に、来たる新シーズンも大いに期待を寄せたいところだ。
文・望月遼太
