福岡ソフトバンクの二塁手は、確固たるレギュラーが不在と言えるポジションの一つ。 2023年には7選手が出場し、出場試合数が100試合を超えた選手はいなかった。豊富な選手層で注目されるチームでは貴重とも言える「空きポジション」を争う期待の選手たちを紹介する。
すでに「二塁手一本」を宣言。牧原大成がついに定位置をつかむか
昨季、二塁手の開幕スタメンの座に就いたのは、牧原大成選手だった。開幕から6試合連続安打を記録するなどの活躍で、チームのスタートダッシュに貢献。しかし、4月下旬からはチーム事情もあって外野を守る機会が増え、二塁手としては途中出場を含めて44試合にとどまった。
牧原大選手といえば、複数の守備位置だけでなく、代走・代打もこなせる万能性がセールスポイント。一方で、絶対的な「定位置」と言えるポジションを持てていない。直近の5年間でも2度400打席に到達しているが、いずれもあとわずかに規定打席数までは届かなかった。本年はすでに、二塁手専念を公言している。ポジション争いを勝ち抜いて正二塁手の座をつかみとり、念願の規定打席到達となるか。
昨季最多出場の三森大貴は打撃力アップを目指す
三森大貴選手は、先発としてはチーム最多となる74試合に出場した。オープン戦での不調などにより開幕一軍を逃すも、4月中に一軍へと昇格すると、6月に月間打率.350を記録するなど急上昇。8月まで好調を維持し、シーズン中盤からはほとんどの試合で先発出場を果たしている。昨シーズン、最もレギュラー二塁手に近かった選手だと言える。
牧原大選手とは対照的に、今季は特定の守備位置にこだわることなく出場機会を求めていく考えだが、出場場所として有力なのは二塁手となるだろう。オフの間は、「飛ばせる打者」を目標にトレーニングを積む。武器である長打力にみがきがかかれば、自身初となる2桁本塁打も見えてくるはずだ。
二塁手専念なら面白い存在に? 周東佑京&川瀬晃
外野手としての出場が主だった周東佑京選手にも、二塁手としての出場機会があった。昨年は自己最多の114試合に出場し、自身2度目の盗塁王を獲得。9・10月には育成出身野手では初となる月間MVPにも輝くなど、さらなる飛躍へと期待がかかる。
川瀬晃選手も、ユーティリティプレイヤーとして二塁を守ることのできる選手の一人だ。昨年はチーム内で3番目に多く二塁手の守備に就き、無失策と堅実な守備を披露した。安打数や打点等、こちらも複数の指標でキャリアハイを更新しており、ブレイクのきっかけとしたい。
周東選手は外野手、川瀬選手は遊撃手と、他のポジションでの出場が有力視されているが、仮に二塁手専念となれば、レギュラー奪取となる可能性は十分にある。
ここまで見てきたように、福岡ソフトバンクの正二塁手の座をねらう選手は多数存在する。ほかにも、ルーキーイヤーとなった2022年に10本塁打をマークするなど、非凡な長打力を発揮した野村勇選手や、高卒3年目ながらすでに一軍の舞台を経験している川原田純平選手らが急成長し、レギュラー争いに割って入るかもしれない。
二塁手を自身の「定位置」とする選手があらわれるのか、シーズンがはじまってもポジション争いは継続していくのか。キャンプインを目前に、福岡ソフトバンクの二塁手争いから目が離せない。
文・吉村穂乃香
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