2023シーズンのパーソル パ・リーグはオリックス・バファローズが86勝53敗4分、勝率.619の成績で3連覇を果たした。

　オリックスはシーズン序盤から千葉ロッテ、福岡ソフトバンクと上位争いを展開。7月に首位の座をつかむと、8月は今季最長8連勝を含む16勝7敗2分と独走体制に。8月26日に中嶋聡監督の就任後初となる優勝へのマジックナンバー「24」が点灯し、9月20日に満員の本拠地・京セラドーム大阪で3年連続15回目の優勝を決めた。

　今回は2023シーズンの特集として、今回は3連覇の原動力となったオリックス野手陣を回顧する。

チーム打率.250はリーグトップ

　昨季のチーム三冠王である吉田正尚選手がボストン・レッドソックスに移籍し、この穴を埋められるかどうかが、3連覇への鍵となっていた。チーム打撃成績を見ると、打率.250、1194安打、109本塁打、1766塁打、長打率.369、OPS.680は、いずれもリーグトップで昨年より向上している。

　個人タイトルでは頓宮裕真選手が自身初の首位打者を獲得。紅林弘太郎選手はキャリアハイの打率.275をマークし、頓宮選手とともにベストナインに初選出された。

　そのほか個人記録では育成ドラフト4位で入団した茶野篤政選手が、3月24日に支配下登録され、NPB史上初となる育成1年目で開幕戦にスタメン出場。6月1日には満塁の場面でNPB第1号を放ってみせた。また、森友哉選手は8月22日埼玉西武戦で通算1000試合出場、9月10日千葉ロッテ戦で通算1000安打を達成している。

森友哉と頓宮裕真が強打者の穴を埋める

　ここからは今季のオリックス打線の象徴的存在となった森選手と頓宮選手をピックアップ。

　森選手は埼玉西武からFAで今季からオリックスに加入した。3月31日の開幕戦はいきなり古巣との対戦になったが、1点ビハインドの9回裏2死から同点ソロの活躍。4月25日北海道日本ハムで2本塁打含む3安打4打点をたたき出すなど、4月は月間打率.321、OPS.1.007。5月は骨挫傷、7月は筋挫傷による離脱もあったが、8月と9月にそれぞれ8試合連続安打を記録している。

　若月健矢選手が先発マスクをかぶる日はDHでスタメンを張った森選手。8月には7年ぶりに外野で起用されるほど、その勝負強い打撃はオリックス打線に欠かせないものに。移籍1年目は110試合出場、113安打18本塁打64打点、打率.294、OPS.893。2年ぶり4度目のベストナインにも選出され、期待に応えてみせた。

　昨年初めて2桁本塁打を記録した頓宮裕真選手。右足筋損傷で開幕一軍に間に合わなかったが、4月28日から7試合連続安打を記録すると、5月17日から再び7試合連続安打。確実性がアップしたバッティングを披露し、6月上旬には「パ・リーグ唯一の3割打者」としても話題に。

　6月は本来の長打力も加わって7本塁打、打率.372の月間成績で初めて月間MVPを受賞する。7月4日東北楽天戦では初回に満塁弾を放つなど、自身最多の1試合6打点と爆発。9月に疲労骨折で無念の離脱となってしまったが、プロ入り後最多となる113試合出場、123安打16本塁打49打点とキャリアハイを更新し、打率.307で初の首位打者に輝いた。

日本一奪還へ、巧打者が加入する「2024年オリックス打線」に期待

　森選手と頓宮選手を打線のコアとして紹介したが、中川圭太選手は135試合、12本塁打55打点はいずれもキャリアハイだ。4月に8本塁打と好発進した杉本裕太郎選手は5月に負傷で離脱し、さらに夏場は成績不振に。それでも9月には快音が戻って優勝のカウントダウンに貢献すると、パーソル CS パ でも打率.429でMVPの活躍だった。

　若月選手は捕手として森選手を上回る92試合に出場し、山本由伸投手と3年連続で最優秀バッテリー賞を受賞。宗佑磨選手はゴールデン・グラブとベストナインに3年連続選出されている。

　攻守で抜け目がないオリックスに来季から西川龍馬選手（前広島）が加入する。西川選手は今季セ・リーグ2位の打率.305を記録した巧打者。中川圭選手以外の外野のレギュラーが定まりきらなかったチームにとって、貴重な戦力となることは間違いない。

　リーグ4連覇そして日本一奪還を目指す2024年のオリックス。チーム内での競争がさらに活発化し、より頼もしいチームとなりそうだ。

文・菊地綾子

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