2020年のドラフト1位で福岡大大濠高からオリックスに入団した山下舜平大投手。2年目までは二軍で実戦経験を積み、3年目の今季はオープン戦で好成績をマーク。一軍未登板ながら開幕戦のマウンドを任されると、6回途中1失点と堂々たるピッチングを披露した。今回はそんな山下投手の投球スタイルについて、ここまでの一軍登板から探っていきたい。(※文章、表中の数字はすべて2023年5月16日終了時点)
少ない球種で打者を圧倒
まず球種別投球割合を見てみると、投球の6割をストレートが占めている。変化球はカーブとフォークの2球種のみで、近年の先発投手としては少ない。7回無失点の好投を見せた4月23日の西武戦では、全102球のうちストレートとカーブだけで98球を数えた。フォークはプロ入り後に習得した球種で、投球割合こそ少ないものの、いまだヒットを許していない。
打者をねじ伏せる剛速球。高めのボールが効果的
次は、最も投球割合の高いストレートに焦点を当ててみよう。ここまでストレートの平均球速は154.3キロを記録しており、これはパ・リーグでストレートを100球以上投じた先発投手のなかで、ロッテ・佐々木朗希投手に次ぐ2番目の速さ。同僚の山本由伸投手、西武・平良海馬投手といったパ・リーグを代表する剛腕たちをも上回るスピードボールが山下投手の強みだ。
ストレートの使い方を投球の高低に注目して見てみると、半分以上を高めのゾーンに投じていることが分かる。そして高めの球は奪空振り率16.8%と、リーグ平均を大きく上回る数字をマーク。球威を存分に生かし、打者をねじ伏せている。
直球主体で追い込み、縦の変化球で三振を奪う
ストレートだけでなく、変化球のカーブとフォークもすでに一級品だ。2ストライクに追い込むまでは投球の6割以上が直球だが、追い込んだ後は逆に変化球が半分以上を占めている。カーブ、フォークともに落差が大きいため空振りを狙いやすく、特にフォークは2ストライク時の奪空振り率29.7%を記録。決め球として効果的なボールになっており、最初に紹介した被打率.000という数字もうなずける。
追い込んだ後の被打率は.111と、リーグ内でも上位の数値を記録。カウントによって配球を大きく変えることで、少ない球種で打者を封じることに成功している。
開幕投手を務めた後はコンディション管理のため登板間隔を空けつつ、ここまで5試合に登板して3勝、防御率1.21と圧倒的なピッチングを続けている山下投手。今後も先発陣の中心として、チームをけん引する投球に期待したい。
文・データスタジアム編集部
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