6年ぶり5回目の開催となるWBCの開幕が間近に迫り、侍ジャパンをはじめとして大会参加各国においては続々と本戦に臨む選手たちが発表されつつある。現在パ・リーグ球団に所属する外国人選手たちも例外でなく、自国の代表として招集される可能性がある状況だ。そこで、今回は日本以外の国で出場するパ・リーグでプレー中の外国人選手たちを中心に紹介していく。
台湾代表
1次ラウンドが初の自国開催となるプールAの台湾代表では、現在パ・リーグ球団に在籍している選手が4人選出された(そのうち、張奕投手は右肩炎症のため代表離脱)。
まずは、埼玉西武・呉念庭選手だ。呉選手は2021年にキャリアハイとなる130試合の出場で打率.238、10本塁打をマークし、初のオールスター出場と規定打席到達を果たした。昨季は前年を下回る94試合の出場で打率.227、5本塁打にとどまったものの、得点圏ではキャリア最高となる打率.292を記録し、内野でも遊撃を除く3つのポジションで守備に就く働きを見せた。チャンスに強く、複数のポジションでプレー経験のある呉選手は代表に必要不可欠な存在となるだろう。
また、今季で8年目を迎える東北楽天・宋家豪投手は2大会連続で選出となった。通算248試合に登板するなど、安定した活躍で東北楽天のブルペンに欠かせない存在となっている宋投手。昨季も必勝リレーの一角を担い、54試合に登板して4勝2敗20ホールド、防御率2.61の好成績を残した。前回のWBCは育成選手ながら参加しており、ベスト4となった強豪オランダ代表を相手に先発するも、3回1/3を4失点と悔しい結果に。今大会でも台湾代表は1次ラウンドからオランダ代表と対戦することになっている。前回のリベンジを果たせるか。
そして、かつてCPBLで打率4割、三冠王の輝かしい実績を残していた北海道日本ハム・王柏融選手は意外にもWBC初選出となった。NPBでは2021年こそ95試合の出場で9本塁打、48打点をマークするも、昨季はわずか15試合、打率.063と来日後最低の成績に終わった。来日5年目となる今季は育成契約に移行する。支配下再昇格を果たすためにも、開幕前の今大会でシーズンへ弾みをつけたいところ。
キューバ代表
同じくプールAのキューバ代表ではパ・リーグ球団所属選手が2人参戦。福岡ソフトバンク・モイネロ投手は2大会連続での選出となった。53試合に登板した昨季はチーム事情から初めて守護神を任されると、24セーブを記録。キャリアハイとなる防御率1.03もマークし、4年連続となる防御率1点台をクリアした。前回のWBCでは計3イニングを投げて7奪三振を挙げるなど片鱗を見せ、その後の福岡ソフトバンク入団へ弾みをつける舞台ともなった。NPB屈指のリリーバーとして臨む今大会でも、圧巻の投球を見せられるか。
そして今季から北海道日本ハムでプレーすることとなったA.マルティネス選手はWBC初参加となる。これまでは中日に5年間在籍しており、外国人で唯一の捕手登録の選手としても一時話題となった。昨季は打力を生かすべく外野手に挑戦すると、自己最多となる82試合に出場し、打率.276、8本塁打、24打点と、キャリア最高の成績を残した。今大会では本職の捕手ではなく内野手として招集されており、定評のある打力に加えて内野守備にも注目だ。
コロンビア代表
アリゾナで行われるプールCのコロンビア代表では埼玉西武・ヘレラ投手が予備ロースターに選出された。ヘレラ投手は昨季5月に育成選手として入団した25歳。ファームでは10試合の登板で4勝2敗、防御率2.90の成績をマークした。今季の支配下入りも期待されているだけに、シーズン前の今大会を飛躍の足がかりとしたいところだ。
今大会は多くのパ・リーグOBも参加
今大会では過去にパ・リーグでプレーしていた外国人選手たちも多く参加している。台湾代表では、2015~20年まで千葉ロッテでプレーし、「チェンチェン大丈夫」のフレーズでも親しまれた陳冠宇投手(登録名:チェン・グァンユウ)、2016年に埼玉西武でプレーしていた李振昌投手(登録名:C.C.リー)が選出された。
キューバ代表は、昨季まで福岡ソフトバンクでプレーしていたデスパイネ選手、グラシアル選手が揃って選出。デスパイネ選手は4大会連続の参戦となる。2018年に千葉ロッテでプレーし、走り打ちが代名詞となったサントス選手も選ばれた。そして、今大会からキューバから亡命していた選手の代表参加が許可されることに伴い、2017年に北海道日本ハムでプレーしていたドレイク選手もメキシコ国籍ながら初招集されることとなった。
さらに同じくプールAのオランダ代表では、2020~21年まで福岡ソフトバンクに在籍していたバレンティン選手が3大会連続で代表入り。今大会を最後に現役を退く意向を示しているだけに、東京ドームで行われる2次ラウンドで日本のファンの前に凱旋し、自身最後となる舞台で有終の美を飾ることはできるのだろうか。
また、プールCでは昨季、千葉ロッテで中継ぎ陣の一角を担ったゲレーロ投手がコロンビア代表に。メキシコ代表では、昨季までオリックスでプレーしていたバルガス投手、同じくオリックスに2019年に在籍していたメネセス選手がそれぞれ選ばれている。
監督やコーチを務めるパ・リーグOBたち
さらに、監督やコーチでも多くのパ・リーグOBが名を連ねている。台湾代表の投手コーチには、埼玉西武とオリックスの2球団で計14年間プレーし、2018〜20年まで埼玉西武の二軍投手コーチも務めた許銘傑氏。
オランダ代表は1994年に千葉ロッテでプレーしたヘンスリー・ミューレンス氏が監督として3大会連続で指揮を振るう。また、2013〜14年に東北楽天でプレーし、球団初のリーグ優勝・日本一にも貢献したアンドリュー・ジョーンズ氏も、前回に引き続きベンチコーチとしてサポートする。
プールCではコロンビア代表監督として、2005〜06年に福岡ソフトバンクでプレーしたホルベルト・カブレラ氏が就任。マイアミで行われるプールDでも、前回本大会初出場ながら躍進したイスラエル代表に、2014年に東北楽天に在籍したケビン・ユーキリス氏が打撃コーチとして加わっている。
パ・リーグ所属選手、OBたちの働きに注目
このように、現在パ・リーグでプレー中の選手、もしくはプレー経験のあるOBが多く参加している大会となっていることが見て取れるだろう。6年ぶりに行われる野球世界一をかけた大会でパ・リーグを経験し、国を背負って戦う外国人たちに注目してみてはいかがだろうか。
文・和田信
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