復調の兆しを見せる今シーズン

8年間在籍した広島からオリックスへ加入し、2年目を迎えた西川龍馬選手。FA移籍初年度の昨季は打率.258に終わるなど、思うような結果を残せなかったが、今季は開幕からヒットを量産。広島時代の輝きを取り戻し、ここまで打線をけん引する活躍を見せている。今回は西川選手の昨季のデータを振り返りつつ、開幕から好調をキープしている要因を探っていく。
ストレートに対して抜群の強さを見せる

今季好調である要因として注目したいのが真っすぐへの対応力だ。昨季はストレートに対してリーグ平均とほぼ同じ打率.259にとどまっていたが、今季はストレート打率.405と堂々のリーグトップ。移籍前年の2023年は同.333をマークしており、もともと真っすぐに強いタイプではあったが、今季は例年以上にストレートを安打にできている。では、なぜここまでストレートに対して好成績を残せているのか、打席でのアプローチに目を向けてみよう。
移籍後はスイング率が増加

球種別のスイング率を見てみると、移籍を境にストレート、変化球ともにその割合がアップ。広島時代の2023年まではストレートのスイング率が40%台前半だったものの、オリックスに移籍した24年以降は50%前後となっている。ここ2年は、真っすぐに対して意識的にスイングをかけていることがうかがえる。
ストライクゾーンへの投球を積極的にスイング

ストレートに対するスイング率を増やした西川選手だが、昨季はボール球にまで手を出すことが多かった。ストレートのボールゾーンスイング率は前年の27.0%から昨季は37.0%へと大幅に上昇。“悪球打ち”を得意とする西川選手でも、昨季のボールゾーン打率は.206と結果に結びついていなかった。しかし、今季はボールゾーンスイング率が減少傾向にあり、それに対してストライクゾーンスイング率は大幅にアップした。67.4%はプロ入り以来最も高い割合となっており、ストライクゾーンでのストレート打率は驚異の.480をマーク。ボール球を見極め、ストライクゾーンに来た球を積極的にスイングしようという姿勢が好成績につながっているのだ。
150km/h以上の速球にも対応

また、昨季は150km/h以上のストレートに対して打率1割台と低迷。コンタクト率もリーグ平均を下回る77.3%と空振りも多かった。しかし、今季はここまでコンタクト率84.9%と改善されており、打率.304を記録するなど、スピードボールに対しても好成績をマークしている。
プロ入り10年目の今シーズン、5月20日の試合で通算1000試合出場を果たすと、25日のソフトバンク戦ではストレートを捉えた一発で通算1000安打を達成した西川選手。節目の年に見据える先は、2年ぶりのリーグ制覇、さらには日本一だ。覇権奪還を誓う背番号7は、チームの勝利のために今後もヒットを積み重ねる。
※文章、表中の数字はすべて2025年5月29日終了時点
文・データスタジアム