“ライオンズ”というチーム名同士のつながりで始まった埼玉西武と台湾プロ野球・統一ライオンズとのコラボイベントも、今年で10年を迎えた。2016年に西口文也監督が統一ライオンズの臨時コーチを務めた関係もあり、今年は特段、縁を感じさせるイベントになった。
コラボイベントは日台の球場それぞれで行われ、埼玉西武ライオンズの「レオ」、「bluelegends」が台北ドームを、統一ライオンズ公式ダンスパフォーマンスチーム「Uni-girls」と、マスコット「LION」「YINGYING」がベルーナドームを訪問してコラボダンスをしたほか、台湾開催では西武ライオンズOBで台湾球界に在籍経験もある石井丈裕氏、渡辺久信氏がゲストとして登場。台北ドームでのトークショーや始球式で試合を盛り上げた。
特に、Uni-girlsとbluelegendsの両球場での活躍は、ライオンズだけでなく日台プロ野球界の架け橋となっていることだろう。今回、来日したUni-girls4名に話を聞いた。

・Maggieさん(@_maggie_chen)/ファッション担当 5年目
・斐棋(フェイチー)さん(@feichi1124)/5年目(コラボイベントには昨年も参加)
・芮絲(ロイース)さん(@han.yang830)/ファッション担当 6年目(コラボイベントには6年前も参加)
・MINAさん(@wutsaimi)/ダンス担当 7年目
台湾チア人気の4人がベルーナドームの観客を魅了
4月11日〜13日に台北ドームで行われたコラボイベントは、首位・統一ライオンズと2位・味全ドラゴンズという好カードの後押しもあり大盛況となった。Uni-girlsたちも口々に、「一緒にできて楽しかった」「とても新鮮だった」と話す。

「(普段は台南を本拠地にしているので)今回、台北ドームで行われたのは特別なことでした。オープニングダンスを一緒に踊ったのですが、一番印象に残ったのは、bluelegendsの皆さんがいつもフレンドリーで、かわいくて、プロフェッショナルだということです」(MINAさん)
「私たちのレパートリーに『エイエイ・オーエイ』という人気の応援があり、チアがマイクを持って先導するのですが、それを彼女たちにもやってもらいました。楽しそうでしたね(笑)。このコラボを通じて、彼女たちに台湾野球の魅力を感じていただくことができたと思います。日台のパフォーマーには大きな違いがあり、日本ではイニングとイニングの合間がメインの活動となりますが、台湾では毎イニング応援し、そこに選手も参加しなければなりません。それをとても新鮮で興味深いと感じてもらえているのが伝わってきましたね」(芮絲さん)

「Uni-girlsとのコラボも、台湾への渡航も今回が初めてでした」というbluelegends・Kotonoさんも話す。
「ファンの方々もUni-Girlsさんの応援の振付を覚えて、一緒に踊ってスタンドを盛り上げている姿が、球場の一体感を生み出していてとても感動しました! 小さなお子さんのファンもイニング間に一緒に踊ってくれていて、とても印象に残りました」
(bluelegends・Kotonoさん)

この約3週間後の4月30日と5月1日には、Uni-girlsたちがベルーナドームを訪れた。試合前のステージで、『TRAIN-TRAIN』と球団応援歌『吠えろライオンズ』をbluelegendsとともに踊り、続けて『制霸天下』と、台湾代表チームでも使用され『台湾尚勇』とも呼ばれる『統一尚勇』を披露。さらには試合のイニング間にも登場し、試合前に『Ultra soul』、5回に『大玉転がしリレー』、7回に『吠えろライオンズ』を踊るという、まさに大車輪の活躍だった。彼女たちに思い出深かったことを聞くと、芮絲さんは試合前、Maggieさんはイニング間のエピソードを話してくれた。



「30日は試合前のステージで、bluelegendsさんのパフォーマンスを見て、連続で何曲も踊っていたので、すごいなと感心しました。それから楽天イーグルスのチア(東北ゴールデンエンジェルス)とのコラボパフォーマンスも見ることができたので、すごく新鮮だなと思いました」(芮絲さん)
「イニングの合間に行われたトレインダンスで、外野側でパフォーマンスをしていたので、曲が終わった瞬間に内野側に一刻も早く戻らなければならず、とにかく走り続けました。私は一生懸命走っているつもりなのですが、担当者から『もっと早く走って!』と合図されてしまい(笑)。かなり印象的でした」(Maggieさん)

今回のUni-girls日本遠征を知った日台のファンも、彼女たちの国境を超えたチャレンジを熱烈に後押しした。
「西武球場前駅を出たところに、巨大な寄せ書きの横断幕が掲げてあったんです。ファンが手書きしてくれて8時間かけて作ったのだとか。日本のファンがお菓子や花束を贈ってくれたこともありました」(斐棋さん)
「(斐棋さんの言葉に頷きながら)台湾のファンが日本人のファンのためにトレーディングカードを配り、『これがMaggieさんです』『これがMINAさんです』 と紹介してくれたそうです」(MINAさん)


ここまでファンの熱が高いのは、各々が日頃からインスタグラムなどのSNSを活用し、日々の活動や特技、個性を発信していることも関係している。球場に行けば会えるという点で、インフルエンサーやアイドルよりもずっと身近な憧れの存在が、Uni-girls彼女たちなのである。
bluelegendsのプロフェッショナルイズムを感じたビクトリーセレモニー
「パフォーマ―目線で、『bluelegendsのここがプロフェッショナル!』と思った点は?」 と尋ねると、試合後のビクトリーセレモニーでのパフォーマンスの様子を挙げた。
「非常に重いLEDの旗を持って行っていたパフォーマンス。しかもみんな両手だけで持っているのに表情は変わらず笑顔で、本当にプロフェッショナルだなと感心しました」(MINAさん)
「そうそう! 絶対に重いと思うのに! どんな状況でも元気よくパフォーマンスしていることを尊敬しています」(芮絲さん)
一方、bluelegendsのKotonoさんにもUni-girlsから刺激を受けたところを聞いてみた。
「それぞれのメンバーが『どうしたらファンの方々に喜んでもらえるか』を常に考えて行動している姿が本当にすばらしいと感じています。ひとりひとりが自分の個性やキャラクター、最先端のトレンドをうまく取り入れながら、絶え間なくファンサービスをしていて、そのバリエーションの豊かさは日々の研究の成果なのだと思いました。私も、自分のパフォーマンスにおける“魅せ方”をもっと研究していきたいと、強く刺激を受けました」(bluelegends・Kotonoさん)
このように相互に刺激を与える統一ライオンズと埼玉西武の交流は、今年で10年を迎えたが、次の10年に向けて彼女たちはどういったビジョンを持つのか。将来的になりたいUni-girlsの姿についてMINAさんはこう語る。
「もしできたら日本のさまざまなダンススタイルにチャレンジしてみたいですし、(bluelegendsのメンバーが披露しているような)アクロバットに興味があります。それほどbluelegendsのパフォーマンスは感動的だったのです」(MINAさん)
たくさんの刺激と経験をお土産に、台湾へ帰った彼女たち。今季終了後にはWBCも控えており、台湾チアは再び日本のメディアでもクローズアップされるだろう。“かわいいだけじゃない”、実力も兼ね備えた彼女たちの魅力を今一度知っておきたいところだ。