逆方向への長打が真骨頂 太田椋の飛躍は猛牛打線復活のシンボルとなるか

パ・リーグ インサイト

2025.4.20(日) 18:00

オリックス・太田椋選手 【写真:球団提供】
オリックス・太田椋選手 【写真:球団提供】

打撃面で成長を示した昨季

太田椋選手 年度別成績 ⓒデータスタジアム
太田椋選手 年度別成績 ⓒデータスタジアム

 2018年ドラフト1位でオリックス・バファローズに入団した太田椋選手。プロ入りからここまでは故障の多さに苦しんだ面もありながら、着実に地力をつけていき、6年目の24年シーズンには一軍を主戦場とするまでに成長した。その昨季は開幕一軍の座を勝ち取ると、自己最多の91試合に出場。369打席に立って打率.288、6本塁打、40打点をマークするなど、これまでとは違う姿を印象づけている。本稿では、そんな太田選手の打撃の特徴についてデータで見ていきたい。

速球に対する強さはリーグトップクラス

2024年パーソル パ・リーグ 150キロ以上のストレート打率ランキング ⓒデータスタジアム
2024年パーソル パ・リーグ 150キロ以上のストレート打率ランキング ⓒデータスタジアム

 昨季の太田選手が記録したシーズン打率.288という数字は、300打席以上に立ったパ・リーグ42選手の中で第6位となる好成績だ。彼がリーグ上位の高打率を残すことができた要因のひとつとして、ストレートに対する強さが挙げられる。昨季のストレート打率は.339と3割を超えており、特に150キロ以上のスピードボールに対してリーグ2位の打率.359をマークしている点が速球への強さを物語っている。

以前と比べて広角に打球を飛ばすように

太田椋選手 打球方向割合 ⓒデータスタジアム
太田椋選手 打球方向割合 ⓒデータスタジアム

 打撃の特徴として紹介するもうひとつが、打球方向の変化だ。昨季は右打者である太田選手にとって引っ張り方向にあたるレフトへの打球割合が減少。キャリアで初めて30%を下回り、代わってセンターから逆方向への打球が中心となった。以前も決して極端なプルヒッターというわけではなかったが、好成績を残した昨季は逆方向を意識したバッティングを続けていたと考えられる。

ストレートを逆方向、変化球を引っ張り方向に打ち分ける

太田椋選手 2024年の球種別安打方向割合 ⓒデータスタジアム
太田椋選手 2024年の球種別安打方向割合 ⓒデータスタジアム
太田椋選手 2024年の球種別長打方向割合 ⓒデータスタジアム
太田椋選手 2024年の球種別長打方向割合 ⓒデータスタジアム

 引き続き打球方向に着目しつつ、次はどのように安打を放っていたのかを見ていこう。安打の打球方向をストレートと変化球で分けると、ストレートを逆方向、変化球を引っ張り方向に打ち分けるという傾向が現れる。前述の通り、昨季の太田選手はストレートに対して高打率を残しているが、それは主にセンターから逆方向への打球によって生み出されたものというわけだ。また、この傾向は長打に限定するとより顕著となる。速球に振り遅れて単にライトへ「飛んでしまっている」というわけではなく、しっかりと強い打球を「飛ばしている」ため、逆方向へ長打を放つことができるのだろう。

逆方向へ長打を放つ打撃が太田選手の真骨頂

2024年パーソル パ・リーグ 逆方向の長打率ランキング ⓒデータスタジアム
2024年パーソル パ・リーグ 逆方向の長打率ランキング ⓒデータスタジアム

 昨季記録した計25本の長打のうち10本をライトへ放っており、逆方向に打球を飛ばした際の長打率.587は、昨季のリーグ内で3番目に高い数値であった。さらに、10本中8本はストレートを捉えたもの。この速球を逆方向へはじき返して長打にする打撃が太田選手の真骨頂といえるだろう。6月5日の横浜DeNA戦でジャクソン投手の156km/hの剛速球を、あるいは9月6日の北海道日本ハム戦で田中正義投手の152km/hの真っすぐをライトスタンドに運んだ一発は、彼の昨季のバッティングを象徴するワンシーンだ。

 高卒6年目として迎えた昨季、磨いてきた自慢の打棒が一軍で通用することを証明した太田選手。ただ、チームとしては打撃陣の不振が響いてリーグ4連覇を逃したシーズンでもあった。今季は自身のレギュラー定着を狙うのはもちろんのこと、ペナント奪還に挑む1年となる。その滑り出しは順調そのもので、3月には「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」のメンバーに選出され、プロ入り後初めて代表戦の舞台を経験。レギュラーシーズンでは開幕からスタメン出場を続け、好調な打撃で首位を走るチームを支えている。さらなる飛躍を予感させる若武者は、果たして猛牛打線復活のシンボルとなるのだろうか。その活躍ぶりに今後も注目していきたい。

※文章、表中の数字はすべて2025年4月13日終了時点

文・データスタジアム

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逆方向への長打が真骨頂 太田椋の飛躍は猛牛打線復活のシンボルとなるか