セ・リーグファンも要注目!交流戦期待の、パ・各球団で躍動する若手たち

パ・リーグ インサイト 望月遼太

2019.6.3(月) 14:00

オリックス・バファローズ 山本由伸投手(C)パーソル パ・リーグTV
オリックス・バファローズ 山本由伸投手(C)パーソル パ・リーグTV

 6月4日から、「日本生命セ・パ交流戦 2019」が開幕する。現在のパ・リーグは、首位から5位までが3.5ゲーム差と混戦模様が続いている。セ・リーグでは近本光司選手(阪神)、村上宗隆選手(東京ヤクルト)、床田寛樹投手(広島)といった若手の活躍が目立っているが、パ・リーグの各球団においても生きのいい若武者が数多く台頭してきている。

 そこで、今回はパ・リーグ各球団から1人ずつ、一軍で活躍中の若手をピックアップ。20代前半の若さで各球団の主力に定着しつつある選手たちの経歴を、あらためて紹介していきたい。

北海道日本ハム・渡邉諒選手

2019年成績:44試合 152打数36安打 4本塁打20打点 0盗塁 打率.237

 東海大甲府高校から2013年のドラフト1位で入団した24歳。プロ入りから4年間は本領を発揮しきれなかったが、5年目の昨季、60試合で7本塁打を放つ活躍を見せて二塁手のレギュラー筆頭候補に。今季は開幕前の2月に負ったケガの影響で出遅れたが、4月初旬に戦列に復帰してからは力強いバッティングを武器に先発出場を続けている。

 東海大甲府高校といえば、特に中日ファンにとっては今季大ブレイクを果たしつつある高橋周平選手の出身校としておなじみだろう。2学年上の高橋選手は渡邉選手にとって憧れの存在だったといい、今季はともにレギュラーとして活躍中。交流戦において、プロの舞台での“直接対決”が実現する可能性も大いにありそうだ。

楽天・辰己涼介選手

2019年成績:38試合 117打数29安打 1本塁打10打点 6盗塁 打率.248

 立命館大学から2018年のドラフト1位で入団したルーキー。大学時代から走攻守の三拍子が揃った外野手としてプロのスカウトから注目を集めており、プロ入り後もオープン戦で打率.303と実力を発揮。開幕後は厳しさを増した攻めの前に二軍での再調整を強いられる時期もあったが、5月8日の福岡ソフトバンク戦では昨季の最多セーブ受賞者・森唯斗投手から逆転サヨナラ打を放つなど、プロの舞台でも徐々にその存在感を増しつつある。

 同じくルーキー外野手として阪神で活躍している近本光司選手は、辰己選手にとって社高校時代の2年先輩にあたる。近本選手が社会人野球を経たことで、プロ入りが同じタイミングとなったのもなにかの縁か。先述した高橋選手・渡邉選手のケースと同様に、甲子園で実現する可能性がある先輩・後輩の“直接対決”も、交流戦における楽しみな要素の一つとなるだろう。

埼玉西武・今井達也投手

2019年成績:9試合 4勝5敗 57.1回 43奪三振、防御率4.40

 作新学院高校時代にエースとして夏の甲子園で全国制覇を達成し、2016年のドラフト1位で埼玉西武に入団。2年目の2018年、交流戦から先発陣の一角に加わり、防御率4.81と調子の波は激しいながらも5勝をマーク。チームのリーグ優勝にも貢献し、クライマックスシリーズでも先発を務めるなど貴重な経験を積んだ。

 プロ入り3年目の今季、開幕第2戦の先発を任されたという事実が、首脳陣が21歳の右腕にかける期待の大きさを物語っている。今季は交流戦前の時点ですでに4勝をマークしており、5月5日の楽天戦で完封勝利を挙げたように好調時には手の付けられない投球を見せる。ローテーションの軸への飛躍を期す若獅子が披露する、しなやかなピッチングに要注目だ。

千葉ロッテ・岩下大輝投手

2019年成績:8試合 1勝1敗 44.1回 38奪三振、防御率2.44

 星稜高校から2014年のドラフト3位で入団した22歳。プロ1年目にトミー・ジョン手術を経験し、その後は椎間板ヘルニアの手術も受けるなど、相次ぐ故障に悩まされてきた。それでも二軍で着実に成長を続け、2018年7月に一軍デビューを飾る。150km/hを超える速球を武器に一時は勝ちパターンにも加わったが、徐々に打ち込まれる試合が増えてきたこともあり先発へ転向。10月5日には6回無失点の好投を見せ、待望のプロ初勝利も記録している。

 今季は序盤戦から先発陣の一角に加わり、勝ち星こそ伸び悩んでいるが安定したピッチングを続けている。今季からは「岩下の新生姜」で知られる「岩下食品」が名前つながりで球団の公式スポンサーになるなど、まさに今売り出し中の右腕。先発転向後も力強い速球と落差のあるフォークを軸に活躍する若き本格派は、初めて対峙するセの強打者たちを相手にどんな投球を見せるだろうか。

オリックス・山本由伸投手

2019年成績:8試合 3勝2敗 58.2回 50奪三振、防御率1.38

 都城高校から2016年のドラフト4位で入団した20歳。ルーキーイヤーの2017年に先発として一軍デビューを果たしたが、翌2018年は快速球と鋭く落ちるフォークを武器に中継ぎとして大ブレイク。54試合に登板してパ・リーグ2位の36ホールドポイントを記録し、20歳の若さにしてパ・リーグのファンに対して強烈なインパクトを残した。

 リリーフとして実績を残した山本投手だが、前年まで主力投手として活躍した金子弌大投手(北海道日本ハム)と西勇輝投手(阪神)が揃ってチームを離れたこともあり、今季は先発に再転向。シーズン初登板の4月3日の福岡ソフトバンク戦で8回途中まで無安打投球を披露するなど、その防御率が示す通りの圧倒的な投球内容を披露している。現在のパ・リーグで最も勢いのある投手のひとりといっても過言ではない剛腕の投球は、ファンならずとも必見だ。

福岡ソフトバンク・大竹耕太郎投手

2019年成績:9試合 2勝2敗 61回 39奪三振、防御率2.07

 早稲田大学から2017年の育成選手ドラフト4位で入団した23歳。ケガの影響でドラフトの指名順位は下がったが、2年生の時点で名門・早稲田大学の主戦投手を務めた逸材だった。プロ入り後は故障も癒え、二軍で22試合に登板して8勝負けなし1セーブ、防御率1.87の好成績を残して7月末に支配下登録を勝ち取る。8月頭からは一軍の先発陣にも加わって3勝をマークし、持てる能力の高さをプロの舞台でも示した。

 今季はオープン戦で防御率2.57とアピールに成功して開幕ローテーション入りを果たすと、開幕後も9試合中8試合でクオリティスタート達成、そのうち6試合は2失点以内と安定感抜群の投球を披露。打線と噛み合わずに勝ち星こそ2勝にとどまっているものの、千賀滉大投手とともに先発陣の軸となっている。その投球スタイルから母校の大先輩・和田毅投手とも比較される若き左腕は、自身初となる交流戦でも持ち前の頭脳的な投球術を見せられるか。


「パーソル パ・リーグTV」では、パ・リーグ主催の交流戦54試合に加えて、交流戦期間中は巨人と阪神の主催ゲーム18試合も生中継で配信予定だ。近い将来、球団を背負って立つかもしれない若き才能の躍動に、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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