圧倒的な奪三振能力が武器に
7月17日の千葉ロッテ戦で2つの三振を奪い、シーズン初登板から26イニング連続奪三振のNPB新記録を樹立した福岡ソフトバンクのダーウィンゾン・ヘルナンデス投手。来日1年目の昨季はわずか1試合の登板に終わったが、今季は4月下旬に一軍へ合流すると、ここまで34試合に登板。13ホールドを挙げるなど、ブルペン陣を支える活躍を見せている。そんなヘルナンデス投手の持ち味といえば圧倒的な奪三振能力だろう。
ここまで34イニングを投げて54個の三振を奪っており、奪三振率は14.29をマーク。パ・リーグの奪三振率ランキングでは2位以下に大差をつけてトップに立っている。今回のコラムでは、NPBの歴史に名を刻んだベネズエラ人左腕が、どのようにして三振の山を築いているのか見ていきたい。
スピードボールで打者と勝負するスタイル
持ち球はストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップの4球種。ストレートの割合が非常に高く、直球主体のピッチングであることが分かる。84.7 %という割合は今季10イニング以上投げている投手のあらゆる球種の中で最も高く、ストレートに大きな自信を持っていることがうかがえる。そのストレートは平均球速151.0キロをマークしており、NPBの左腕としてはトップクラスのスピードボーラーだ。
決め球は投球の約半数を占める高めのストレート
ストレートの使い方としては高めのゾーンに投げ込むのが特徴で、投球の約半数を高めに投じている。表で示したように、打者を2ストライクに追い込んだ後は特にその傾向が強く、割合は追い込む前と比べて約10ポイント高い69.5%まで上昇する。追い込んだ後は捕手が中腰で構えるケースも多く見られ、意図的に高めのゾーンへストレートを集めていると考えられる。
ヘルナンデス投手のストレート奪空振り率は16.2%で、ストレートを100球以上投じている投手の中でリーグ第1位だ。奪空振り率を高低別に分けて見ると、真ん中から高めのゾーンでリーグ平均を大きく上回っており、高めでは平均の2倍以上の数値を記録。一般的にストレートは低めよりも高めの方が空振りを取りやすい球種であるが、抜群の球威も相まって非常に効果的なボールとなっている。
リリーフ投手でありながら、ここまでストレートで奪った三振の数はパ・リーグで2番目の48個。そして、そのうち38個を高めのゾーンで奪っている。自身の武器であるストレートを最も効果的なゾーンに投げ込むことで、奪三振を量産しているのだ。
今季はホールドシチュエーションでも起用されるなど、パ・リーグの首位を独走するチームに欠かせない存在となっているヘルナンデス投手。冒頭で紹介した連続イニング奪三振は8月に入って途切れたものの、最終的には29イニングまで記録を伸ばした。今後も自慢のスピードボールで打者を圧倒していくことだろう。チームが4年ぶりにリーグの頂点に立つその日まで、鷹の剛腕リリーバーは意気揚々と腕を振る。
※文章、表中の数字はすべて2024年8月16日終了時点
文・データスタジアム
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