シーズン前半戦のロングラン最速は誰か? 三塁打到達時間TOP5

パ・リーグインサイト キビタキビオ

2024年3月29日~6月30日 3塁到達最速は?©PLM
2024年3月29日~6月30日 3塁到達最速は?©PLM

ホームランにはない“持続的魅力”のある三塁打が熱い

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 プロ野球はいよいよ後半戦に突入した。パシフィック・リーグは、福岡ソフトバンクが2位以下に10ゲーム差前後引き離して首位を独走する状況が続いている。

「もう、リーグ優勝は決まったようなもので、ペナントレースは……」などと、思うなかれ!

 まだまだ大逆転の可能性はあるし、千葉ロッテ、北海道日本ハム、東北楽天の3チームが僅差で競り合う2位争いも白熱中。5位のオリックス、6位の埼玉西武も“熱パ”の炎をシーズン終盤まで灯し続けてくれることを期待している。

 そんな熱いゲーム展開にあって、攻守の雰囲気を一気に変える威力があるのが三塁打だ。ホームランの場合、打った瞬間にその場が「わーっ」と盛り上がる。それは確かに楽しい。だが、次の打者になると、走者もいなくなり、花火のあとのようなリセット感がある。

 ところが、三塁打のときは、塁上に走者がいればみなホームに還って盛り上がるだけでなく、走者なしでも1本出れば、その後も「なにか得点になりそう」という機運が高まる。次の打者への応援に熱がこもる持続力があるのが、独特の魅力だ。

 そんな三塁打を、開幕から6月30日までの間で、誰よりもスピーディーに達成させたのはどんな選手だろうか? 3塁到達タイムトップ5を、第5位から順番に見ていこう。

シーズン前半戦レギュラーに定借した水野達稀(北海道日本ハム)が初のランクイン

 トップバッターとして5位に入ってきたのは、プロ入り3年目で開幕スタメンを勝ち取った水野達稀選手(北海道日本ハム)による11秒20というタイムだ。

 昨年までは守備や走塁での役割がメインだった水野選手だが、今季は課題だった打撃がレベルアップ。昨年まで通算でも1本しかなかった三塁打は、今季だけですでに7本(8月1日現在)と飛躍的に量産している。

 入賞した11秒20をたたき出したときは、バットの芯でとらえた打球がセンターの頭上をはるか越える飛球となり、余裕のスタンディングスライディングで3塁へ到達している。

 しかし、6月21日に走塁で負傷してしまい、翌日から一軍登録を抹消。ファン投票で選ばれていたオールスターも出場を辞退し、治療・再調整に専念している。早い一軍復帰が待たれるところだ。

今季のパ・リーグでもっとも“旬”の男。水谷瞬(北海道日本ハム)が4位入賞

 続いて4位に入ったのは、11秒13というタイム。今シーズンのパ・リーグで「もっとも売り出し中」といっても過言ではない水谷瞬選手(北海道日本ハム)が記録した。

 昨季オフ、現役ドラフトによって福岡ソフトバンクから北海道日本ハムへ移籍し、今シーズンの交流戦で一気に打棒が爆発したその身体能力はハンパなものではないことは、誰の目にも明らかだろう。

 身長193cm、体重99kgという大柄な体格をキレッキレに操作できる俊敏性も素晴らしく、三塁打はロングランとはいえ、通常なら左打者が総ナメになるはずのこのランキングにも割って入ってくるあたりは、驚異の一言だ。そして、走っている映像を見てもらえば、さらにそのすごさがわかる。

 どうだ、この迫力は!? 幅広いストライドのうえに、地面を力強く蹴り込むようなド迫力の跳躍。3塁に到達後、胸を両手で太鼓叩きして雄叫びを上げる姿は余興にしても、水谷選手の速さと力強さを象徴する光景としては、むしろうってつけのシーンであった。

生き残りをかけた定位置争い激化の埼玉西武外野陣から、西川愛也が好タイムで3位

 現在、最下位に低迷する埼玉西武で、希望の光が差し込むかのように11秒05というタイムをたたき出したのは西川愛也選手。プロ入り7年目となる期待され続けてきた選手がようやく実力を発揮して、いきなり3位入賞を果たした。

 西川選手の持ち味は、左右に打ち分ける技術と俊足である。11秒05を記録した打撃はまさにそれを象徴するようなプレーと断言していいだろう。

 低く鋭く飛んだ打球がぐんぐんと伸びて、ライトのやや左側後方へ越えていく。フェンスに当たったクッションボールが勢いよく返ってきたため、ライトは比較的素早く捕球し、カットマンに向けて送球することができた。その送球が高く抜けてしまい、後方の第2カットマンがフォローする形となり、若干もたつく幸運はあったが、西川選手はそのときすでに迷うことなく2塁ベースを通過。トップスピードに乗って、まさに“球よりも早く”3塁ベースへ滑り込んでいた。

 現在、埼玉西武は得点力不足が一番の泣きどころになっている。その中で、西川選手をはじめとして、鈴木将平選手、蛭間拓哉選手、岸潤一郎選手、巨人から移籍してきた松原聖弥選手に、奥村光一選手や長谷川信哉選手なども含めた外野のレギュラー争いが激化している。

 西川選手は、今回ランクインしてきたような三塁打がもっと増えれば、その中から頭ひとつ抜け出すことができるだろう。

3塁到達ランキングの常連、源田壮亮(埼玉西武)が貫禄の2位

 そして、そんな西川選手を上回る好タイムを出している先輩が、同じ埼玉西武に存在していた。11秒01で堂々2位の源田壮亮選手である。源田選手は、この3塁到達ランキング常連中の常連で、毎年のように顔を出している。

「この打席ではこういう打球を打って三塁打を狙う!」と最初から決めいたかのように、打った瞬間から全力で走り出すと、迷うことなく2塁ベースをかけ抜け、減速することなく3塁ベースにたどり着く。

 守備のもたつきがあって楽勝でたどり着く三塁打ではない。際どいタイミングをかいくぐり、並の選手なら2塁で止まるところを“3塁まで奪い取ってしまう”のが、源田選手の三塁打最大の魅力だ。

 今季は開幕当初、打撃の調子が上がらず、打率も2割台前半に甘んじていたが、交流戦後は徐々にヒットの数が増えて、打率.250を超えてくるところまで復調してきた。目下、リーグ最下位からの巻き返しを果たすためにも、源田選手の好タイムによる三塁打がますます出てくれることを願ってやまない。

番外編:“最遅”3塁到達タイムと、速すぎて計測できなかった? レアケースも

 さて、ここからはおなじみの番外編を紹介しよう。

 一つは、このランキングとは真逆となる「一番タイムの遅い三塁打」というケース。記録したのは千葉ロッテのソト選手で、14秒20というタイムだった。

 ライトに高々と上がったフライがZOZOマリンスタジアム独特の強い海風に押し戻され、ライン際に落ちると、高く弾んだボールをライトが後逸! フェンスの方へ転々とする間にソト選手が3塁を狙ったというシーン。

 2塁を回ったソト選手も半信半疑という感じのなか、3塁への送球が走るソト選手を追い越してアウトのタイミングとなったが、サードがショートバウンドを捕球できず、かろうじてセーフに。滑り込んだソト選手も苦笑いの最遅三塁打となった。

 そして、番外編のもう一つは、周東佑京選手(福岡ソフトバンク)による「計測不能?」というケース。今や、日本一の俊足選手といってもいい周東選手が、今回はランキングに入ってこなくて「どうしたのかな?」と思いきや、その可能性のあった三塁打のシーンで、あまりに高速で3塁に到達してしまったため、カメラがその動きについてこられず、ベースに触れる瞬間を撮り逃がしてしまったというオチだった。ああ、もったいない!

 でも、“パテレ”さん! この瞬間は、現地の多数あるカメラ映像がすべて見られる有料会員特典の「マルチアングル」を駆使して見られるようにしてほしかったなあ……(笑)。

 2塁到達、3塁到達、あるいは内野安打になったときの1塁ベース到達の瞬間は、リアルタイムの中継では走者ではなく、カットマンや送球を断念した内野手など、守備側の選手が画面に抜かれて、今回のように計測できないことが多いのです。今後は、こういったシーンでぜひ「マルチアングル」の機会を増やしていただけるようご検討いただけることを願っております(結構切実です)。

常に全力疾走で三塁打を狙う1位のあの選手に、もはやいうことなし

 さあ、いよいよ栄えある第1位である! 2024年シーズン前半の三塁打で3塁到達タイムがもっとも速かったのは誰だったか?

 なんと、すでに2位に入っていた源田選手がそれを上回る記録で1位を獲得していた。10秒75という、今回唯一の10秒台で、“ひとり1、2フィニッシュ”である。これは手放しで称賛するべきだろう。

 源田選手の三塁打走塁の魅力については、2位のときに語りつくしてしまったので、正直なところ、もう言うことはない。若い頃は俊足を武器にしていた選手が、30歳を過ぎた頃から走ることへの関心が薄れていくケースもあるなかで、今年31歳の源田選手が走塁に対するあくなき姿勢を崩していないことが素晴らしいと思う。

 シーズン後半戦は、この源田選手の走りをさらに上回る記録が出てくるだろうか? 現在のパ・リーグには、同じくらいのポテンシャルを持つ選手が各球団に数人は存在する。そういった選手が新たにランキング入りしてくれることを期待して、楽しみに待っている。

文・キビタキビオ

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パ・リーグインサイト キビタキビオ

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