チームの将来を左右する、二軍で躍動する選手たちの顔ぶれは?

パ・リーグ インサイト 望月遼太

東北楽天ゴールデンイーグルス・古謝樹投手【写真:球団提供】
東北楽天ゴールデンイーグルス・古謝樹投手【写真:球団提供】

一軍だけでなく、二軍においても数多くの熱戦が繰り広げられている

 各球団の一軍ではリーグの覇権を争う熾烈な戦いが繰り広げられているが、イースタン・ウエスタンの各リーグにおいても、チームの将来を担う選手たちが毎日のように切磋琢磨を続けている。

 今回は、パ・リーグ各球団において、二軍のシーズン序盤戦で活躍を見せている選手たちの顔ぶれを紹介。近い将来に一軍の戦力になる可能性を秘めた若き逸材や、復調を示している実力者たちについて見ていくとともに、各選手の今後の活躍にも期待を寄せたい。(成績は5月4日の試合終了時点)

北海道日本ハム

 畔柳亨丞投手が19.1イニングで防御率1.40、田中瑛斗投手が19イニングで防御率1.42と、2名の若手がポテンシャルの一端を示している。リリーフでは今季から古巣に復帰した鍵谷陽平投手が、7試合で防御率1.08を記録。

 打者では清水優心選手が打率.337、OPS.939と活躍。主力として一軍で活躍した経験を持つ両選手が本来の実力を発揮できれば、上位争いを繰り広げるチームにさらなる選手層の厚みが加わることだろう。

東北楽天

 ドラフト1位ルーキーの古謝樹投手が、42イニングで防御率0.86、奪三振率8.14と見事な投球を見せている。近い将来の一軍デビューに向けて順調にステップを踏んでいるだけに、慢性的に先発左腕が不足しているチームとしても大きな期待を寄せたいところだ。

 さらに、ベテラン左腕の辛島航投手が27イニングで防御率1.67と安定した投球を見せ、リリーフでは宮森智志投手と伊藤茉央投手がいずれも防御率1点台と好投。一軍の舞台で一定の実績を残してきた投手たちが好調を維持している点は、今後のシーズンにおける頼もしい要素だ。

 野手では安田悠馬選手が32試合で打率.294、渡邊佳明選手が26試合で打率.297とそれぞれ活躍を見せており、打撃センスを活かしてチームの助けとなりたいところだ。さらに、高卒4年目の入江大樹選手も30試合で打率.280、出塁率.342と存在感を発揮しており、今季中に一軍デビューを果たす可能性も大いにありそうだ。

埼玉西武

 高卒3年目の羽田慎之介投手が27イニングで防御率0.33と圧倒的な投球を展開し、一軍デビューに向けて視界良好となっている。同じく高卒3年目の育成選手・菅井信也投手も、26イニングで防御率2.08、奪三振率12.46、K/BB9.00という驚異的な数字を記録し、支配下登録に向けて猛烈なアピールを見せている。

 プロ1年目の昨季はリリーフで活躍した青山美夏人投手は、今季は二軍で30イニングを防御率1.80と先発として奮闘。また、昨季は2試合の一軍登板で防御率0.82と好投した渡邉勇太朗投手も24イニングで防御率1.50を記録し、一軍の先発陣に割って入るチャンスをうかがっている。

 野手ではルーキーの村田怜音選手が10試合の出場ながら打率.310と結果を残しており、一軍の起爆剤となれる可能性を秘めている。さらに、山野辺翔選手が打率.298、出塁率.420と好成績を残し、山村崇嘉選手も打率.286を記録。いずれも一軍昇格時には結果を残しきれなかったものの、今後も好調を維持してチャンスを待ちたいところだ。

千葉ロッテ

 石川歩投手が3試合を無失点、河村説人投手も11イニングで防御率1.64と、故障明けの両投手が好成績を残している。また、古谷拓郎投手も11イニングで防御率1.64と復調の兆しを見せており、各投手が支配下への復帰に向けてこのまま好調を維持できるかに注目だ。

 リリーフでは東妻勇輔投手が7試合で防御率1.29、奪三振率9.00、K/BB7.00と抜群の数字を残し、前年同様に貴重な中継ぎとして活躍する準備を整えている。さらに、オリックスから移籍した吉田凌投手も9試合に登板して無失点、奪三振率8.00、K/BB8.00と、支配下昇格に向けてまさに完璧な投球を続けている。

 野手では、ドラフト1位ルーキーの上田希由翔選手が打率.270に対して出塁率.386と、優れた選球眼を発揮している。また、池田来翔選手も19試合で4本塁打、打率.293、OPS.814と奮闘。両選手ともに一軍では苦戦を強いられたが、再昇格に向けて好調を維持していきたいところだ。

オリックス

 山崎颯一郎投手はコンディション不良もあって一軍の奪三振率が2.45と調子を崩していたが、二軍では10試合に登板し、防御率2.70、奪三振率9.00を記録。このまま着実に復調を続け、ブルペンの柱としてリーグ優勝に大きく貢献した昨季の状態に近づきたいところだ。

 それに加えて、入団2年目の育成選手・入山海斗投手が前年に続いて抑えを務め、11試合で5セーブ、防御率1.64と奮闘。また、現役ドラフトで中日から移籍した鈴木博志投手も21.1イニングで防御率2.11という成績を残し、先発としてのポテンシャルを示している。

 打者ではドラフト1位ルーキーの横山聖哉選手が、16試合で打率.328と非凡な打撃センスを披露。期待の大器が順調なプロ生活のスタートを切った点は、今後に向けた明るい材料だ。また、育成選手の山中尭之選手が13試合で2本塁打、打率.282、OPS.862と活躍を見せ、支配下昇格に向けて大きくアピールしている。

福岡ソフトバンク

 ドラフト4位ルーキーの村田賢一投手が、25イニングで防御率0.34と抜群の安定感を示している。さらに、三浦瑞樹投手が25イニングで防御率1.08、前田純投手が26イニングで防御率1.73と、2名の育成左腕が好投を見せている点も非常に楽しみな要素といえよう。

 野手では、柳町達選手が30試合で打率.375、出塁率.465、OPS.934と、まさに抜群の数字を残している。今季は川村友斗選手が台頭を見せているが、昨季に主力として116試合に出場した柳町選手が好調を維持して一軍復帰を果たせば、チームの層はさらに厚くなることだろう。

 さらに、昨季は一軍で打率.263とブレイクの兆しを見せた井上朋也選手が、今季は二軍で27試合に出場し、打率.303と好成績を記録。そして、今季から育成契約に移行した佐藤直樹選手が25試合で打率.333、出塁率.429、OPS.929と見事な数字を残し、打撃面における進歩を垣間見せている。

二軍における各選手の奮闘は、チームにとっても大きな上積みとなりうる

 プロの舞台で早くもポテンシャルを発揮している期待のルーキーや、一軍でのブレイクが待たれる若手の活躍は、ファンにとっても心躍る要素となる。それに加えて、支配下登録を勝ち取るためにアピールを続ける育成選手や、一軍復帰を狙う中堅・ベテランの選手たちが見せる奮闘も、チームにとっては貴重な上積みになりうる重要なポイントだ。

 はたして、今回取り上げた選手たちの中から、一軍の舞台においても存在感を発揮する選手がどれだけ現れるだろうか。一軍における各チームの戦いぶりだけではなく、チームの将来を担う存在が集う二軍における各選手の躍動にも、ぜひ目を向けてみてはいかがだろうか。

文・望月遼太

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