ポスティングシステムを利用してアメリカ・メジャーリーグへの挑戦を表明していたオリックス・山本由伸投手。移籍先が日米で注目されるなか、12月22日にドジャースとの契約合意が報じられ、日本時間28日には入団会見が行われた。
山本投手が現在、日本を代表する投手であることは言うまでもない。2016年ドラフト4位でオリックスに入団し、プロ7年で通算70勝29敗、防御率1.82。2度のノーヒットノーランに、3年連続パ・リーグMVP&投手4冠…… と文字だけでも圧倒されてしまう。
そんなエースが2024年からメジャーリーグへ戦いの場を移すにあたり、これまでのパ・リーグでの登板から、あらためて見たくなる試合を3つ選んでみた。なお、今回あえてノーノー達成試合やポストシーズンでの登板は選外としている。
2021年6月11日 自身最多15奪三振!
山本投手といったら、やはり奪三振。そこでまず、2021年6月11日の広島戦を挙げたい。
初回、先頭・羽月隆太郎選手を3球三振に仕留めると、2回表の4番・鈴木誠也選手(現シカゴ・カブス)から6者連続三振と完ぺきな立ち上がり。その後も三振の山を築き、7回を終えたところで相手のスタメン選手全員から三振を記録する。しかも、安打はおろか出塁すらさせない。
ところが8回表、山本投手は先頭の鈴木選手に初安打を許し、パーフェクトピッチングが途切れると、連打で無死1、2塁に。すると、このピンチでエースのギアが上がった。會澤翼選手、小園海斗選手をストライク先行で追い込み、フォークで空を切らせる。そして代打・菊池涼介選手からこの日15個目の三振を奪い、広島打線をねじ伏せた。
8回を投げて113球、被安打2、無四球無失点でチームを勝利に導いた山本投手。1試合で奪った三振「15」はポストシーズンを含めて自身最多となっている。
2018年5月1日 貴重!? 抑え・山本由伸のプロ初セーブ
「関西ダービー」となった2023年の日本シリーズ。第1戦に先発した山本投手が、2勝2敗で迎えた第5戦にベンチ入りしたが、このとき「中継ぎ・山本由伸は懐かしいな」と感じた人もいるのでは。
3年連続で沢村賞に選出されたように「先発完投型」「本格派投手」である山本投手。しかし、さかのぼることプロ2年目の2018年はセットアッパーを任されており、54試合32ホールド1セーブ、防御率2.89の成績を残している。
ここではリリーフ時代の2018年から、プロ7年で唯一のセーブを挙げた5月1日の埼玉西武戦をピックアップしよう。
初回に安達了一選手の適時二塁打で3点を先制したオリックス。その後も追加点を挙げ、4対2で迎えた9回表。本来であれば、当時抑えを務めていた増井浩俊氏の出番だが、増井氏が3日連続で登板していたため、ここまで好救援を続けていた山本投手に託された。
19歳の守護神代理は、強力打線の中軸を2奪三振含む3者凡退でぴしゃり。肝が据わった姿は今に通じる。
2020年9月22日 山本由伸と千賀滉大が投げ合い、吉田正尚が打つ
最後に紹介するのは「パ・リーグ究極の投手戦」とも言われた、山本投手と千賀滉大投手(現ニューヨーク・メッツ)の投げ合いだ。
そもそも山本投手と千賀投手の対戦は2020年の4試合のみ。初対決となった8月11日は山本投手が2被弾、千賀投手も満塁弾を打たれるまさかの打撃戦。2度目の対戦は、7回2安打9奪三振無失点の千賀投手に軍配。翌週は山本投手が7回2安打無失点とやり返し、3度目にして初めて投げ勝った。
そして現時点で国内ラスト対決となっている2020年9月22日。初回は両者、無失点の立ち上がりだったが、2回表にオリックスの4番・吉田正尚選手(現ボストン・レッドソックス)が千賀投手から先制ソロを放つ。
早々と均衡が破れたが、試合は息詰まる展開に。山本投手は3回裏、1死1、3塁の場面を併殺で切り抜けると、5回からは3イニング連続で3者凡退。7回118球3安打7奪三振無失点の力投を見せる。一方、千賀投手も追加点は許さず。山本投手より1イニング長く投げ、8回121球5安打9奪三振1失点と意地を見せた。
試合はオリックスが完封リレーで1点を守りきる結果に。エースによる投手戦を制した山本投手が勝利投手となった。
2024年は大谷翔平とワールドシリーズ制覇を目指す
ドジャースに入団した2024年は、侍ジャパンでともに世界一を経験した大谷翔平選手とチームメイトになってワールドシリーズ制覇を目指す。「ドジャース・山本由伸」と世界の強打者たちとの真っ向勝負が今から楽しみだ。
文・菊地綾子
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