盤石の投手陣と、吉田正尚の穴を全員で埋めた野手陣。オリックス優勝の歩みを振り返る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

パーソル パ・リーグ3連覇を果たしたオリックス・バファローズ(C)パーソル パ・リーグTV
パーソル パ・リーグ3連覇を果たしたオリックス・バファローズ(C)パーソル パ・リーグTV

独走で優勝を果たしたオリックスだが、開幕前は決して“大本命”ではなかった

 9月20日、オリックスがパーソル パ・リーグ3連覇を達成した。2021年と2022年はマジックが点灯しないまま優勝を果たしたが、今季は8月にマジックを点灯させ、独走状態を保ったまま歓喜のゴールテープを切る、まさに盤石と呼べる戦いぶりで優勝を飾った。

 しかし、今季のオリックスは必ずしも開幕前から大本命とみなされてはいなかった。チームの大黒柱だった吉田正尚選手のMLB挑戦と、昨季は0ゲーム差の2位に終わった福岡ソフトバンクが大型補強を敢行したことが重なり、オリックスの苦戦を予想する声も少なからず存在したためだ。

 それでも、チーム一丸となって熾烈な優勝争いを勝ち抜いた過去2年間と同様に、今季も全員野球で苦境を跳ね返し、チーム力を落とさずに戦い抜いた。今回は、先発投手、リリーフ投手、野手陣という3つのセクションにおいて、とりわけ印象に残る活躍を見せた選手たちを紹介。3連覇を果たしたチームの歩みを、あらためて振り返っていきたい(成績は9月20日の試合終了時点)。

勝ちを計算できる左右のエースに加えて、山崎福投手もキャリアハイの白星を記録

 今季のオリックスにおいて、優勝が決定した時点で4試合以上に先発登板していた投手たちの顔ぶれは以下の通り。

オリックス 主な先発投手の2023年投手成績(C)PLM
オリックス 主な先発投手の2023年投手成績(C)PLM

 山本由伸投手は今季も圧巻のピッチングを続け、9月9日には2年連続となるノーヒットノーランを達成。勝利数・勝率・防御率がリーグ1位、奪三振数がリーグ2位と、3年連続となる投手4冠の獲得も射程圏内に捉えるなど、不動のエースとして力強くチームをけん引した。

 左のエース・宮城大弥投手も3年連続の2桁勝利を達成し、防御率も現時点でキャリアベストの数字を記録。勝ちを計算できる左右の両輪の存在は、チームの安定した戦いぶりにもつながっていた。また、同じく左腕の山崎福也投手も、例年通りに先発として安定感のある投球を披露。自己最多の9勝を記録するなど、充実のシーズンを送って先発陣を支えた。

 山岡泰輔投手は先発として勝ち星に恵まれず、シーズン途中にリリーフに配置転換。しかし、その後は安定感抜群の投球を披露し、自身初めて投球回以上の奪三振を記録。セットアッパーとして新境地を開拓し、これまでとは異なる役割で優勝に貢献を果たした。

開幕投手に抜擢された山下投手と、後半に台頭を見せた東投手もブレイク

 実績ある投手たちの活躍に加え、今季のオリックスでは若手の台頭も多く見られた。プロ初登板で開幕投手に抜擢された山下舜平大投手はその後も快進撃を続け、8月下旬に故障離脱するまでに9勝を記録し、防御率も1.61。21歳の若さにしてブレイクを果たし、近未来のエース候補としてのポテンシャルを大いに示した。

 それに加えて、育成出身のプロ6年目、東晃平投手の成長も特筆ものだ。中継ぎを務めた開幕当初は結果を残せなかったが、7月30日に先発として一軍に復帰してからは7試合で6勝0敗と大活躍。防御率1.71と出色の安定感を発揮し、終盤戦で大きなインパクトを残した。

若手投手たちがさらなる成長を見せ、前年以上に盤石のリリーフ陣を構成

 続いて、リリーフ陣の成績を見ていきたい。今季のオリックスで、10試合以上にリリーフ登板した投手たちの顔ぶれは下記の通り(先発の表に記載した、山岡投手とワゲスパック投手は除く)。

オリックス 主なリリーフ投手の2023年投手成績(C)PLM
オリックス 主なリリーフ投手の2023年投手成績(C)PLM

 山崎颯一郎投手は勝ちパターンに定着した前年の勢いそのままに、チームトップの52試合に登板して27ホールドを記録。防御率1.05、奪三振率10.45と支配的な内容で打者をねじ伏せ、チーム事情に応じて臨時のクローザーも務めた。優勝が決まった試合で胴上げ投手を務めたという事実が、今季の貢献度の高さを物語ってもいるだろう。

 阿部翔太投手と宇田川優希投手は2022年にセットアッパーとして目覚ましい活躍を見せたが、今季の前半戦ではともに安定感を欠く投球が目立った。それでも、シーズンが深まるにつれて徐々に状態を上げていき、防御率は揃って1点台まで向上。今季もブルペンに欠かせないピースとしてフル回転し、幾度となくチームのリードを守った。

 さらに、前年は新人ながら16試合で5ホールドを挙げた小木田敦也投手が、今季は登板機会を倍以上に増加させ、防御率も前年の3.14から2.44に大きく改善。優勝を決めた9月20日の試合では2.1回を無失点に抑えて勝利投手となるなど、大きく成長を遂げている。

クローザーの平野佳投手を筆頭に、実績組の活躍・復調も

 クローザーの平野佳寿投手は体調不良などによる離脱もありながら26セーブを挙げ、防御率1.22と過去2シーズンを上回る安定感を示した。リーグ3連覇に大きく貢献しただけでなく、現時点で日米通算250セーブまであと3つに迫っている。今季中に大台に到達する可能性も大いにあるだけに、今後の登板にも要注目といえよう。

 同じく大ベテランの比嘉幹貴投手も31試合で防御率2.25と、今季もきっちりと自らの仕事を果たした。さらに、14年目の山田修義投手が防御率1.21を記録して前年の不振を払拭し、唯一に近いリリーフ左腕として随所で貴重な働きを見せた。また、2021年の優勝に貢献した吉田凌投手も防御率2.93と復調を果たし、ブルペンにさらなる厚みを加えている。

頓宮選手の大ブレイクに加え、森選手や茶野選手がチームに新たな風を吹き込んだ

 最後に、野手陣の活躍についても振り返っていきたい。今季のオリックスで40試合以上に出場した野手の成績は、下記の通りとなっている。

オリックス 主な野手の2023年打撃成績(C)PLM
オリックス 主な野手の2023年打撃成績(C)PLM

 中川圭太選手はチーム最多の126試合に出場し、2年連続で規定打席に到達。自身初の2桁本塁打を記録するなどパンチ力も増し、センターの守備でもたびたび好プレーを披露。得点圏打率.336と中軸に相応しい勝負強さも発揮し、名実ともにチームの柱へと成長しつつある。

 また、紅林弘太郎選手はキャリアハイの打率.268を記録し、課題の打撃面で長足の進歩を見せた。宗佑磨選手は打撃成績こそ例年に比べてやや低下したが、例年通りに三塁のレギュラーとして攻守にわたって奮闘。杉本裕太郎選手も調子の波は大きかったものの、86試合で14本塁打と、持ち前のパワーを随所で発揮して存在感を見せた。

 過去の優勝に貢献してきた面々の活躍に加えて、なんといっても大きかったのが頓宮裕真選手の覚醒だ。現時点でリーグ1位の打率.307を記録するなど、課題だった確実性が大きく向上。16本塁打、OPS.862と持ち前のパワーも維持されており、打線の中軸を担う強打者へと飛躍を遂げた。

 そして、育成出身のルーキー・茶野篤政選手もシュアな打撃で序盤戦の打線をけん引。夏場以降は調子を崩したものの、1年目から91試合に出場して攻守で存在感を示した。また、その茶野選手に疲れが見えた夏場には、同じく育成選手として入団したセデーニョ選手が大活躍。両者ともに年齢的にもまだ若いだけに、さらなる成長も期待されるところだ。

 そして、新加入の森友哉選手がもたらしたインパクトも特大だった。故障による2度の離脱がありながら、打率.291、16本塁打、OPS.878とハイレベルな成績を記録。主力捕手として2連覇に貢献した若月健矢選手との共存もスムーズに進み、打撃面でチームに大きなプラスをもたらす、まさに優勝に直結する的確な補強となった。

盤石の投手陣と全員野球の野手陣。まさにチーム力で勝ち取った栄冠だ

 リーグトップの防御率2.63という数字が、オリックス投手陣の盤石ぶりを端的に物語る。それに加えて、チーム本塁打数もリーグ最下位だった昨季の89本から、13試合を残した時点でリーグトップタイの99本へと増加。今シーズンに20本塁打以上を記録している選手は一人もいないことを考えれば、まさに全員野球で課題を克服したということだ。

 先発・リリーフ共に抜群の層を誇る投手陣と、球界屈指の好打者が抜けた穴を全員でカバーした野手陣。リーグ連覇を達成した過去2年間を上回る完成度を誇った今季のオリックスの戦いぶりは、まさにチーム力の勝利と形容できるものだった。

文・望月遼太

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