野球ファン誰もが口ずさめる名曲『野球場へゆこう』誕生秘話

パ・リーグ インサイト

2021.1.29(金) 19:00

アンサンブル・コノハのメンバー
アンサンブル・コノハのメンバー

 2004年にNPBオフィシャルソングとして発表された『DreamPark〜野球場へゆこう〜』。プロ野球好きの方なら各球場、または野球中継などで「だからーぼーくたちみーんな♪」のメロディーを一度は耳にしたことがあるはず。このたび2020年バージョンとして新しくカバーされ、9月2日にリリースされた。

『DreamPark〜野球場へゆこう〜』CDジャケット
『DreamPark〜野球場へゆこう〜』CDジャケット

 長年愛され歌い継がれる、野球への愛がたっぷり詰まった名曲はどのように誕生したのだろうか。この曲を制作した株式会社グリオの代表取締役社長中村三郎さん、2020年バージョンの歌唱を担当している「アンサンブル・コノハ」のメンバー・中村萌子さんにお話をうかがった。

ーー『DreamPark〜野球場へゆこう〜』はどのような経緯で誕生したのでしょうか?

中村三郎さん「2001年にイチロー選手がマリナーズへ行ったことで、MLBの情報が盛んに日本に入って来ました。グリオはそもそも音楽制作会社ですが、当時、テレビ局の依頼でプロ野球の開幕式など音楽で演出するイベントの企画制作もしており、その時のテレビ局の担当プロデューサが、『MLBでは、どこの球場でも7回になると『Take me out to the ball game』を歌っている。日本のプロ野球にも球団、球場関係なく野球が好きなみんなで歌う曲があればいいな』と話され、私も野球が好きなのでそのような曲を作りたいと思ったのが原点です」

ーーセブンス・イニング・ストレッチで歌われる『Take me out to the ball game(邦名:私を野球に連れてって)』は子どもも口ずさめるような簡単な歌詞とメロディーですね。耳に残ります。

三郎さん「そうなんです。そんな『Take me out to the ball game』に負けない歌を作ろうと、“みんなの野球に対する想い”で“親しみやすいヒット曲”を作るプロジェクトを立ち上げ、野球が好きなヒットメーカーたちを集めて制作チームを結成しました。作曲は、当時グリオの代表作家で、渡辺真知子の『かもめが翔んだ日』や、少年隊の『仮面舞踏会』を作曲した船山基紀さんと古本鉄也さんが担当し、作詞をSMAPやKinki Kidsなどの数々のヒット作を手がけた森浩美さんにお願いしました。彼が書いた歌詞の『100マイル(160km)のストレート』はメジャーを意識したものです。メインの歌い手はシンガーソングライターの鈴木雄大さんにお願いし、船山さん、古本さん、私の子どもたちの合唱も加えました」

ーー曲を制作するにあたって、どのようなことを重要視しましたか?

三郎さん「当時、文部省(現・文部科学省)が親子の会話のキャッチボールを推奨していたことから、野球場で親子が一つになることも意識しました。アーティストのための歌ではなく、野球のための歌を作るためにできる限り権利に関する縛りを取り除き、野球の普及のために活用できる権利環境を整えることが重要だと考えました。そのため、自分たちですべての制作費を負担し、作詞作曲を手がける。原盤権・出版権も自社で持ち、管理するなどを徹底しました」

ーーそれはずいぶん思い切りましたね。

三郎さん「タイアップなど関係ないので、企画優先で作品をつくることができました。2001年にレコーディングした後は、曲の認知度をげるためにNPBや選手会に曲を聴いていただいたり、各球場に音源を送ったりと曲のPR活動に務めて、ついに2004年にNPB公認を受けてCD発売が決まったのです」

ーー今回、どのようなきっかけでリメイクを決めたのでしょうか?

三郎さん「コロナ禍で球団や審判団、NPBなどからこの歌についての問い合わせが増えたことで、今回のリメイクを決めました。チアに合わせてテンポをよくし、掛け声を加えました。実は、2004年の『野球場へゆこう』の合唱に参加していた子どもの1人が、今回歌唱している「アンサンブル・コノハ」の中村萌子なんです」

ーー三郎さんのお子さんである萌子さんは、2度目の参加だったわけですね。萌子さんの成長が歌声を通じて感じられます。最後に萌子さんからプロ野球ファンにメッセージをお願いします。

中村萌子さん「アンサンブル・コノハのメンバーはみんな野球が大好きです。旧バージョンはもちろん、新バージョンも親しんでもらい、この歌が次の世代にも受け継がれて、野球が愛されることを願います」

 野球ファン100万人による大合唱が夢だとお話しされた中村さん。コロナ禍でプロ野球も厳しい状況下に置かれた昨シーズンだったが、「どんな時代もいつも ひかり勇気あふれてる」という歌詞のとおり、プロ野球は私たちにたくさんの笑顔を届けてくれた。感動を共有する機会が減った今だからこそ、この歌詞が心にしみるのだ。2020年がスポーツイヤー(のはず)だったために、アスリートの応援歌として作られたカップリング曲『輝きのとき』も収録されている。アンサンブル・コノハの素敵なハーモニーで奏でられた新バージョン『DreamPark〜野球場へゆこう〜』を、ぜひご家庭でも聴いてみてほしい。

インタビュー・池田紗里

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