2年連続で開幕投手を務めたエースの穴埋めは、チームにとっても急務
2025年まで9シーズンにわたって埼玉西武でプレーした今井達也投手が、2026年からMLBのアストロズに活躍の場を移す。2023年から3年連続で2桁勝利を記録し、2年連続で開幕投手を務めた今井投手の移籍は、先発ローテーションに大きな空きが生じることを意味する。
今回は、将来的に今井投手が抜けた穴を埋めることができる可能性を秘めた、埼玉西武の投手を紹介。各投手がこれまで見せてきた活躍と、指標面での特徴について確認するとともに、エースの移籍によって生じたチャンスを活かすことに期待を寄せたい。
平良海馬投手

プロの舞台で残してきた過去の実績を考えれば、平良海馬投手は今井投手の穴を埋める最有力候補と呼べる存在だろう。平良投手は2019年に一軍デビューを果たしてから4シーズンにわたってリリーフとして登板を重ね、2020年から3シーズン続けて防御率1点台以下の数字を記録。2020年には新人王、2022年には最優秀中継ぎ投手のタイトルも手にしている。
それに加えて、2020年から2022年まで3年連続で奪三振率10.00以上と抜群の数字を残し、勝ちパターンの一角として支配的な投球を展開。2020年と2021年の与四球率はともに4点台と制球面が課題だったが、2022年には与四球率も2.81と大きく改善。若くして球界を代表するリリーフ投手の一人へと成長を果たし、マウンドで圧倒的な存在感を示した。
先発に転向して臨んだ2023年には150イニングを投じて規定投球回到達を果たし、11勝7敗、防御率2.40と好成績を記録。奪三振率9.18と投球回を上回る奪三振数を記録し、長いイニングを投げた場合も高い奪三振力を維持できることを示した。与四球率3.30と制球面でも大崩れせず、先発としての適性も十二分に高いことを証明するシーズンを送った。
翌2024年も先発として開幕ローテーション入りを果たし、5試合に登板した時点で防御率1.42と安定した投球を見せていた。しかし、5月以降は故障による長期離脱を余儀なくされ、8月の復帰後はチーム事情に応じてリリーフに再転向。2つの役割をこなしながら防御率1.66と好成績を残し、マルチな才能の持ち主であることをあらためて証明している。
2025年は年間を通じてクローザーとして登板を重ね、31セーブを挙げて自身初となる最多セーブのタイトルを獲得。防御率1.71、奪三振率9.06と投球内容も優秀で、リーグ屈指の好投手であることをあらためて示した。先発への再転向が見込まれている今季も2023年と同様の好投を披露できれば、今井投手が抜けた穴を最小限にとどめることも可能なはずだ。
菅井信也投手

菅井信也投手は2021年の育成選手ドラフト3位で埼玉西武に入団し、高卒3年目の2024年途中に支配下契約を勝ち取る。同年には一軍で5度の先発を含む8試合に登板し、7月15日のオリックス戦では7回7奪三振無失点の好投でプロ初勝利をマークした。
同年は防御率5.25と一軍の壁に直面したものの、奪三振率8.25、与四球率3.75といずれも一定以上の数字を記録し、高いポテンシャルの一端を示している。翌2025年はオープン戦で2試合に登板して8イニングを無失点と好投を見せ、自身初の開幕ローテーション入りを果たした。
開幕後も先発の一角として登板を重ね、6月12日の時点で5勝と序盤戦はハイペースで白星を積み重ねた。7月以降の一軍登板は3試合にとどまったものの、11試合で5勝5敗、防御率3.58と前年からの大きな成長を示し、来季以降のさらなる躍進に期待を持たせるシーズンを送った。
試合ごとの投球回はシーズン初登板で記録した6イニングが最長と体力面で課題を残すが、22歳の若さで一軍の舞台において存在感を残した点は頼もしい要素だ。投げるスタミナを身に着け、前年に比べて低下した奪三振率と与四球率を再び向上させることができれば、プロ5年目の今季は先発左腕として大ブレイクを果たす可能性も大いにあるはずだ。
篠原響投手

篠原響投手は2024年のドラフト5位で埼玉西武に入団。プロ1年目の2025年は二軍で16試合に登板して8勝を挙げ、73.2イニングを投げて防御率2.20と好成績を記録。与四球率1.59と抜群の制球力を発揮し、高卒ルーキー離れした安定感を見せて二軍の先発陣を支えた。
9月7日には先発として一軍デビューを飾り、9月26日には自身2度目の先発マウンドを踏んだ。2試合とも5回を投げ切れずに4失点と苦しんだが、奪三振率10.29、与四球率2.57と
指標面では優れた数字を記録。三振を四球で割って求める「K/BB」も4.00と、優秀とされる3.50という水準を上回っており、苦しい投球の中でも高いポテンシャルの一端を示した。
被打率.441、被BABIP.519と一軍では多くの痛打を浴びたことが示す通り、今後は一軍の強打者たちに力負けしない球の質を磨くことが求められそうだ。しかし、一軍と二軍の双方で示した高い制球力と、一軍で残した抜群に高い奪三振率を併せ持つ点は非常に有望であり、将来のチームを背負って立つ可能性を秘めた大器としての期待も高まっている。
過去の埼玉西武においては、涌井秀章投手が高卒2年目の2006年に12勝を挙げてブレイクを果たし、翌年の最多勝獲得につなげたという例が存在する。同じく高卒2年目を迎える篠原選手も早期の台頭を実現させ、チームの投手陣を支える存在となれるか。
過去の例と同様にMLBに挑戦したエースの穴を埋め、チームを躍進に導けるか
埼玉西武では過去にもエースのMLB挑戦に伴い、後継者の育成が急務となったケースが存在した。2006年オフに松坂大輔氏がMLBに移籍した際には、涌井投手の成長と岸孝之投手の入団によって「平成の怪物」が抜けた穴をカバーし、2年後の2008年には日本一の栄冠を勝ち取っている。
2018年オフに菊池雄星投手がMLBに移籍した際には、今井投手と高橋光成投手の成長に新加入のザック・ニール氏の活躍が重なり、翌2019年にはリーグ連覇を成し遂げている。埼玉西武は過去の例と同様に今井投手が抜けた穴をカバーし、チームの躍進につなげられるか。今回取り上げた3投手がこれから見せる投球は、ファンならずとも要注目だ。
文・望月遼太
