長期の複数年契約はアリ?ナシ? 過去の大型契約から見える活躍を続ける難しさ

Full-Count

2018.12.28(金) 07:10

浅村栄斗(左)は4年契約で東北楽天に、丸佳浩は5年契約で巨人に移籍※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)
浅村栄斗(左)は4年契約で東北楽天に、丸佳浩は5年契約で巨人に移籍※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)

今オフはFAの丸が巨人と5年契約、浅村が4年契約を結ぶ

 年の瀬が近づき、プロ野球の契約更改のシーズンもそろそろ終わりに向かっている。今年活躍して年俸が上がった人、下がった人と悲喜こもごもの光景が繰り広げられ、主力選手や補強した戦力と大型契約を結んだ球団も多かった。

 2年連続で日本一となった福岡ソフトバンクでは主力の中村晃外野手と今宮健太内野手が来季からの4年契約を締結。FAで埼玉西武から東北楽天へ移籍した浅村栄斗内野手も4年契約を結び、広島から巨人へ移籍した丸佳浩外野手は5年契約の大型複数年契約となった。

 これまでのNPBの歴史を振り返っても、5年以上の複数年契約は、それほど多くない。いずれもチームリーダーや精神的な支柱としての役割を期待するもの、FA移籍で獲得したもの、国内や海外FAによる流出防止などの意味合いとなる。球団から寄せられた大きな期待に選手は応えることができたのだろうか。これまで5年以上の長期契約を結んだ主な日本人選手は次の通りとなる。

○福岡ソフトバンク・松中信彦
2005年 132試合483打数152安打46本塁打121打点 .315
(7年契約)
2006年 131試合447打数145安打19本塁打76打点 .324
2007年 123試合440打数117安打15本塁打68打点 .266
2008年 144試合538打数156安打28本塁打92打点 .290
2009年 126試合448打数125安打23本塁打80打点 .279
2010年 79試合238打数56安打11本塁打35打点 .235
2011年 88安打266打数82安打12本塁打36打点 .308
2012年 65試合136打数30安打4本塁打13打点 .221
※5年目以降は年俸見直し

○横浜・三浦大輔
2002年 19試合4勝10敗0セーブ 119.2回 防3.23 
6年契約
2003年 15試合5勝5敗0セーブ 101.1回 防4.09
2004年 22試合6勝8敗0セーブ 144回 防4.25
2005年 28試合12勝9敗0セーブ 214.2回 防2.52
2006年 30試合8勝12敗0セーブ 216.2回 防3.44
2007年 28試合11勝13敗0セーブ 185.1回 防3.06
2008年 21試合7勝10敗0セーブ 144回 防3.56

○巨人・清原和博(FA)
1996年 130試合487打数125安打31本塁打84打点 .257
5年契約
1997年 130試合462打数115安打32本塁打95打点 .249
1998年 116試合384打数103安打23本塁打80打点 .268
1999年 86試合263打数62安打13本塁打46打点 .236
2000年 70試合216打数64安打16本塁打54打点 .296
2001年 134試合467打数139安打29本塁打121打点 .298

○東京ヤクルト・古田敦也
1998年 132試合491打数135安打9本塁打63打点 .275
5年契約
1999年 128試合483打数146安打13本塁打71打点 .302
2000年 134試合496安打138安打14本塁打64打点 .278
2001年 121試合441打数143安打15本塁打66打点 .324
2002年 120試合420打数126安打9本塁打60打点 .300
2003年 139試合509打数146安打23本塁打75打点 .287

○阪神・片岡篤史(FA)
2001年 106試合401打数102安打16本塁打62打点 .254
5年契約
2002年 120試合425打数97安打11本塁打46打点 .228
2003年 110試合334打数99安打12本塁打55打点 .294
2004年 46試合88打数18安打3本塁打7打点 .205
2005年 50試合57打数12安打1本塁打7打点 .211
2006年 50試合91打数15安打1本塁打7打点 .165

丸と同じ巨人と5年契約を結んだ陽岱鋼は2021年まで契約を残す

○中日・井端弘和
2008年 106試合408打数113安打5本塁打23打点 .277
5年契約
2009年 144試合569打数174安打5本塁打39打点 .306
2010年 52試合180打数47安打0本塁打16打点 .261
2011年 104試合376打数88安打1本塁打29打点 .234
2012年 140試合489打数139安打2本塁打35打点 .284
2013年 100試合326打数77安打1本塁打1打点 .236

○中日・荒木雅博
2008年 130試合538打数131安打4本塁打28打点 .243
5年契約
2009年 140試合582打数157安打2本塁打38打点 .270
2010年 136試合579打数170安打3本塁打39打点 .294
2011年 135試合543打数143安打2本塁打24打点 .263
2012年 129試合510打数128安打3本塁打31打点 .251
2013年 105試合338打数75安打0本塁打19打点 .222

○中日・森野将彦
2008年 96試合358打数115安打19本塁打59打点 .321
5年契約
2009年 144試合546打数158安打23本塁打109打点 .289
2010年 144試合547打数179安打22本塁打84打点 .327
2011年 142試合508打数118安打10本塁打45打点 .232
2012年 124試合434打数108安打6本塁打50打点 .249
2013年 134試合399打数114安打16本塁打51打点 .286

○阪神・鳥谷敬
2014年 144試合550打数172安打8本塁打73打点 .313
5年契約
2015年 143試合551打数155安打6本塁打42打点 .281
2016年 143試合449打数106安打7本塁打36打点 .236
2017年 143試合488打数143安打4本塁打41打点 .293
2018年 121試合220打数51安打1本塁打22打点 .232
2019年 ?

○巨人・陽岱鋼
2016年 130試合495打数145安打14本塁打61打点 .293
5年契約
2017年 87試合330打数87安打9本塁打33打点 .264
2018年 87試合253打数62安打10本塁打37打点 .245
2019年 ?
2020年 ?
2021年 ?

 NPB史上最長の7年契約を結んだ松中、5年契約で阪神に移籍した片岡は徐々に成績が下落した。6年契約の三浦は契約3年目と5年目に2桁勝利をマーク。5年契約の清原は故障に悩まされて成績を落としていったが、5年目に移籍後最高の成績を残した。ある程度続けて、成績を残したのは古田。井端、荒木、森野の中日勢も継続して数字を出していたが、5年目には成績が落ちた。来季が最終年となる鳥谷は4年目の今季に成績が大きく落ち、2021年まで契約が残る陽岱鋼は移籍後、まだ好成績は残せていない。

 FA選手を獲得するための大型契約や、実績をあげた選手に対する待遇改善や流出阻止のための手段として、球団は複数年契約を切り札の1つとする。だが、契約期間中に選手としてのピークを過ぎてしまうことも多い上に、それまでの実績と同等以上のパフォーマンスを求められるため、選手が立ち向かうハードルは一気に高くなる。

 今オフは、丸以外にもFAとなった浅村栄斗、西勇輝が4年契約の長期契約を結び、来季FA権取得予定の福岡ソフトバンクの中村晃と今宮健太も新たに変動制4年契約を結んでいる。果たして、長期大型契約組が来季どのような成績を残すか、注目が集まる。

(Full-Count編集部)

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