東北楽天勢が上位を占拠、北海道日本ハム近藤や鷹・中村晃らも優秀…BB/Kで計る貢献度【パ編】

Full-Count 広尾晃

2018.12.4(火) 07:20

東北楽天・藤田一也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
東北楽天・藤田一也※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

選球眼がいい「つなぐ」打者、長打が多く四球を選ぶ打者は高数値

 打撃にはさまざまなスタイルがある。四球を選ばず初球から打つ選手を「積極打法」と評価する考え方もあるが、一般的には、好球必打で三振が少なく四球が多い選手の評価が高い。

 BB/Kは、打者の四球数÷三振数で導き出される。この数値が大きい打者は三振が少なく四球が多い、優秀な打者だということができる。

 パ・リーグで100打席以上立った打者62人のBB/Kランキング。

○上位10傑

1藤田一也(楽)1.20(18四球15三振)
2島内宏明(楽)1.04(47四球45三振)
3銀次(楽)1.02(48四球47三振)
4近藤健介(日)0.97(87四球90三振)
5福田周平(オ)0.94(31四球33三振)
6吉田正尚(オ)0.9324(69四球74三振)
7西川遥輝(日)0.9320(96四球103三振)
8中村晃(ソ)0.88(60四球68三振)
9秋山翔吾(西)0.802(77四球96三振)
10鈴木大地(ロ)0.800(44四球55三振)

 BB/Kは1を上回れば非常に優秀だ。東北楽天勢が上位に来る。

 この数値が高い打者には2つの傾向がある。1つは選球眼が良く、好球必打の巧打者。つなぐ打者が多い。東北楽天の藤田はその典型だ。また北海道日本ハムの近藤もその1人だろう。

 一方で、長打が多く投手に警戒される打者は、敬遠にはならなくてもストライクが少なく、四球が増えていく。このランキングではオリックスの吉田正尚がこれに当てはまる。

 埼玉西武の秋山翔吾などは、このふたつの要素を共に持ち合わせていると言えよう。BB/Kの数値が高い打者は、出塁率が高く、貢献度が高いのは間違いないところだ。

2000本安打直前で大スランプの内川、BB/Kの数値に不調ぶり表れる

 反対にBB/Kが低い選手を下から5人挙げると、

59内川聖一(ソ)0.28(9四球32三振)
60上林誠知(ソ)0.26(30四球117三振)
61牧原大成(ソ)0.24(8四球33三振)
62横尾俊建(日)0.20(9四球45三振)
63若月健矢(オ)0.09(7四球80三振)

 当代最高の右打者と言われる福岡ソフトバンク内川は早打ちで四球は少ないが、三振が少ない打者でもあった。2012年には567打席でわずか36三振、四球も31と少なかったが、BB/Kは0.86だった。しかし今年は296打席で32三振する一方、わずか9四球。BB/Kは0.28だ。

 今年の内川は、2000本安打目前の5月に大きく調子を崩した。安打を打ちたいあまりか、本来ならば手を出さない球も打っていた。そうした調子の下落が、BB/Kの数値にも表れている。

 内川の同僚、上林と牧原もBB/Kの数値は低い。早打ちということだ。今後に期待が集まる打者だが、飛躍のためにはBB/Kの数値を上昇させることが必要になるだろう。今季、長距離打者として売り出した北海道日本ハムの横尾も同様だ。

 オリックスの若月は伊藤光から正捕手の座を奪ったが、打者としての評価は低い。下位打線ではあるが、もう少し打撃に粘りが必要だろう。BB/Kという指標は、あくまで一つの指標に過ぎないが、この数値の変化は打者の進境を知る一つの手がかりではある。来季もこの数値に注目したい。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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