苦しいチーム状況の中で、大きな勝利を手に入れた。楽天が30日、オリックスに逆転勝ちを決め、連敗を3で止めた。9回2死まで追い詰められたが、2死1,2塁で聖澤選手が左中間に逆転の2点適時二塁打。「あと1アウトで負けてしまうという厳しい場面。打ったらヒーローになれるとプラス思考に考えて打席に立ちました」。けが人続出の中で、経験豊富な男が期待に応えた。
この3連戦前、11勝1敗と得意にしていたオリックスに連敗して迎えた一戦。終盤までリードを許し、9回、抑えを任された黒木投手の前に中川選手、三好選手がともに空振り三振で崖っぷちに追い詰められた。だがここから首位チームの集中力を見せつけた。嶋選手、この日から戦列に復帰した茂木選手が2者連続四球。そして、聖澤選手だ。カウント2-1から高めの直球をはじき返した。代走の福田選手が二塁からかえり同点。さらに一走の茂木選手も間に合って一気に試合をひっくり返した。大騒ぎの楽天ベンチ。「茂木がホーム踏んだ瞬間はうれしかった」と、聖澤選手も笑顔を見せた。
2012年の盗塁王も31歳。今季ここまで2盗塁だが、首脳陣の評価は高い。毎年のようにし烈な外野手争いが行われる中、レギュラーから外れても一軍の戦力として存在感を見せてきた。ペゲーロ選手、岡島選手といったレギュラー陣が負傷離脱し、今後は出場機会が増えそうだ。
ペゲーロ、岡島両選手のほか、後半戦のチーム状況はまさに野戦病院。藤田選手、今江選手も離脱し、安定感抜群だった抑えの松井裕投手が左肩の炎症で登録を抹消された。早期復帰は厳しい見通しで、月曜以外すべて試合が組まれている地獄の8月を、守護神抜きで戦わなければならない。そんな左腕の登録抹消の日から3連敗。対照的に2位の福岡ソフトバンクは着実に勝利を重ね、ゲーム差なしに迫られるなど、まさに負の連鎖が拡大しようとしていた。
だがこの日、前半戦の快進撃を支えた茂木選手が6月19日以来の復帰。聖澤選手も「2年目なんですけどすごい頼りになる。これからもっと茂木は活躍してくれると思う」と、後輩を頼もしそうに語った。
もちろん、この1勝で大きく変わることはない。離脱した選手がすぐに戻ることはないし、8月1日からは好調の3位・埼玉西武との3連戦が待つ。「これからもっともっと厳しい戦いが待っていると思いますが、ファンの皆さんと選手ともに、優勝目指して頑張っていきましょう」と、聖澤選手はヒーローインタビューで呼びかけた。大量離脱でいきなり楽天に襲い掛かった正念場。ここで踏ん張れるかどうかが、リーグ制覇の大きなポイントとなる。
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