ローテーションの一角が空くことは、他の投手にとってはチャンスでもある
佐々木朗希投手の米球界挑戦によって、来季の千葉ロッテは先発陣の柱の一人が抜ける公算が大きくなっている。2024年は故障離脱がありながら10勝5敗、防御率2.35という成績を記録した佐々木投手の穴を埋めることは決して容易ではないが、ローテーションの一角が空くという事実は、他の投手たちにとってはチャンスが拡大することも意味している。
今回は、2025年の千葉ロッテにおいて躍進が期待できる3名の若手投手を紹介。「令和の怪物」の抜けた穴をカバーする可能性を秘めた投手たちの顔ぶれを見ていくとともに、各投手の新シーズンにおける活躍にも期待を寄せたい。
中森俊介
中森俊介投手は明石商業高校から、2020年のドラフト2位でプロ入り。1年目は二軍での登板もなく基礎固めに専念し、プロ2年目の2022年に二軍で公式戦デビュー。同年は故障の影響で6試合の登板にとどまったものの、20イニングを消化して防御率0.90と好成績を残して才能の片鱗を示した。
3年目の2023年にはリリーフとして開幕から一軍戦力となり、4月5日にはプロ初勝利をマーク。4月16日の時点で防御率5.79と苦しんで二軍での再調整を経たものの、二軍では41.1イニングで防御率2.61と好投。8月の再昇格後は一軍での投球内容も向上を見せ、最終的には2試合の先発を含む13試合の登板で3勝を挙げ、防御率3.54と一定の成績を残した。
2024年は6月12日に先発としてシーズン初登板し、5.2回を投げて2失点と奮闘。2度目の先発となった6月26日にも5.2回を1失点と好投を見せ、先発としての初勝利をマークした。シーズン全体では5試合の登板で防御率2.63だったものの、先発登板した4試合に限れば防御率2.14とさらなる好成績を示しており、2025年のさらなる躍進が期待されるところだ。
田中晴也
田中晴也投手は日本文理高校から、2022年のドラフト3位でプロ入り。プロ1年目の2023年は中森投手と同じく身体づくりに重点を置きつつ、8月10日に二軍で公式戦初登板を果たす。同年は二軍で5試合に登板して8イニングをわずか1失点に抑え、防御率1.13と早くも非凡な能力を発揮した。
2年目の2024年は二軍で12試合に登板して52.2イニングで53奪三振を記録し、防御率2.73、奪三振率9.06と優秀な投球内容を示した。一軍でも6月1日の阪神戦でプロ初登板・初先発を果たし、5回6奪三振無失点と堂々たるピッチングを展開してみせた。
2試合目の先発となった7月3日の試合では5回5失点ながら自責点は0と不運な投球となったが、打線の援護もあってプロ初勝利を記録。7月14日の試合では5回4失点でプロ初黒星を喫したものの、シーズン最終登板となった9月16日の試合では5回無失点と好投。4試合の先発登板で防御率1.80と素晴らしい数字を残し、今後の成長に期待を持たせる1年を送った。
高野脩汰
高野脩汰投手は出雲商業、関西大学、日本通運を経て、2022年のドラフト4位でプロ入り。大卒社会人でのプロ入りとあって即戦力としての働きが期待される中で、1年目の2023年は7試合に登板。登板機会こそ少なかったものの、防御率1.64と優れた数字を記録した。
2024年は二軍で17試合に登板して6勝を挙げ、74イニングを投じて防御率3.65と先発としての適性を示した。一軍でも2度の先発を含む6試合に登板して防御率3.68と一定の数字を残しただけでなく、奪三振率9.82、与四球率2.45、K/BB4.00と、指標の面では十二分に優秀な成績を残してみせた。
2024年の千葉ロッテでは、小島和哉投手、メルセデス投手、カイケル投手といった、打たせて取る投球を持ち味とする先発左腕がチームを支えていた。奪三振能力が高い左腕である高野投手はひときわ異彩を放つ存在となり得る。現在20歳の田中晴投手と22歳の中森投手は、年齢を考えてもチームの未来を担う可能性を持つ大器と呼べる存在だ。また、現在26歳の高野投手も十分に伸びしろを残しているだけに、各投手の成長には大きな期待を寄せたい。
文・望月遼太
◇ 後編『佐々木朗希の退団で、より大きな役割を担う2名のベテラン投手をチェック』はこちら
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