今季のパ・リーグでも輝きを放てるか。センバツ優勝投手の現在地

パ・リーグ インサイト

2024.3.18(月) 17:00

福岡ソフトバンク・東浜巨投手 ※写真は2023年時 【写真:球団提供】
福岡ソフトバンク・東浜巨投手 ※写真は2023年時 【写真:球団提供】

 本日3月18日から始まった春の風物詩、選抜高校野球大会(センバツ)。全国から地区ごとの大会の結果を参考に32の出場校が選ばれる。今年も1月26日に出場校が発表され、早くも野球ファンの注目を集めている。

 そんなセンバツだが、優勝を果たした瞬間、マウンドに立っていた優勝投手がパ・リーグの舞台にもいる。一大会に一人しかいないセンバツ優勝投手という勲章を持つ3人の選手たちの現在地を確認したい。

2008春 福岡ソフトバンク・東浜巨

 沖縄尚学高校で2008年春の選抜高校野球にて優勝を果たした。

 高校1年次夏からベンチ入り。2年秋大会でセンバツ出場を決めると、初戦の聖光学院高校戦で自己最速の147km/hを投げ、完封勝利を挙げると、続く3回戦は1失点完投。準々決勝は中継ぎでマウンドに上がり、膝に打球が直撃するというアクシデントに見舞われるが、翌日の準決勝では2失点完投勝利を飾った。迎えた決勝の聖望学園高校戦でも完封勝利。5試合41イニングでわずか3失点と圧倒的な成績を残す。9年ぶり2度目の頂点に輝き、紫紺の優勝旗を沖縄に持ち帰った。

 沖縄尚学高校を卒業後、亜細亜大学へ入学すると、通算22完封のリーグ記録を達成するなどさらに成長。その活躍が認められ、3球団競合の末福岡ソフトバンクに入団した。2016年にローテーションに定着すると、翌年の2017年、最多勝に輝くなど日本一に貢献。2019年に怪我で離脱などするも、長年ホークスの屋台骨としてチームを支え、2022年にはノーヒットノーランを達成した。

 昨季は17試合に投げ防御率4.52、6勝7敗。例年通りの成績は残せなかった。来季は34歳となるが老け込むにはまだ早い。今季はベテランでありながら鷹の先発ローテーションを支えるフル回転が求められる立場。アクシデントに見舞われてもめげない不屈のメンタルで復活を遂げたい。

2015春 埼玉西武・平沼翔太

 敦賀気比高校で2015年春の選抜高校野球にて優勝を果たした。

 敦賀気比高校で2年生から投手を中心に活躍する。2014年の夏の全国高等学校野球選手権大会で2年生ながら3試合で完投勝利し、ベスト4に進出。その名を全国にとどろかせる。2015年選抜高校野球では、全試合に4番・投手で出場し、完投した。1回戦は1安打完封勝利すると、準々決勝では本塁打を放ち投打でチームを牽引。準決勝では、前年度夏の甲子園で敗れた大阪桐蔭高校を相手に完封で11対0の圧勝でリベンジを果たす。決勝は雨という難しいコンディションの中、1失点完投し、福井県勢初優勝を飾った。

 2015年ドラフト会議で内野手として北海道日本ハムにドラフト4位で指名される。当時の監督である栗山英樹氏からは「投打二刀流」も期待されていた。2年目にはプロ初安打を放ち、翌年には自己最多の73試合に出場するもレギュラーは奪えず。2021年夏に埼玉西武にトレードで移籍した。その後は高いユーティリティ性に活路を見出し、今季はキャリアで2番目の67試合に出場。苦しい状況は続いているが、強豪校相手にリベンジを果たしたあの春のように大きく飛躍し、移籍4年目のシーズンで地位を確立したい。

2013春 千葉ロッテ・小島和哉

 浦和学院高校で2013年春の選抜高校野球にて優勝を果たした。

 浦和学院高校で1年夏から甲子園に出場。1年秋からエースナンバーを背負った。秋の関東大会では埼玉西武・高橋光成投手擁する前橋育英高校、オリックス・若月健矢選手擁する花咲徳栄高校を破って優勝を果たし、選抜高校野球へ出場を決める。1回戦は完封勝利を挙げると、準々決勝は7回を1安打に抑えてみせた。決勝は、8安打を浴びるも粘りの投球で9回1失点にまとめ、2年生ながら優勝投手に輝く。この大会では通算で3完投し、42回3失点と圧倒的な成績を残した。

 卒業後は早稲田大学に進学し、大学日本代表に選ばれるなど実績を積み重ね、2018年のドラフト3位で千葉ロッテに入団。ルーキーイヤーから先発で経験を積みプロ初勝利をつかむと、2年目の2020年から先発ローテーションに定着し続けている。パーソル CS パ進出を争うレギュラーシーズン最終戦でも7回無失点のピッチング。吉井監督からの信頼も厚く、2年連続となる開幕のマウンドを託される予定だ。

春の頂点から更なる高みへ

 特別な選手が多くいたとしても勝ち続けるのは至難の業。そんなトーナメントを勝ち上がり、チームで優勝を果たした栄光は、時に重荷になるかもしれない。そんなプレッシャーに打ち勝ち、聖地で見せたあの春以上の輝きを見せられるか。今回紹介した3人はいずれも飛びぬけた成績で甲子園を制した。今は各々抱える事情や立場は異なるが、高校時代に見せた才能をいかんなく発揮し、さらに大きな栄光をつかみたい。春の頂点に輝いた男たちに注目だ。

文・山岡雄一郎

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