70勝68敗5分で2位に着けた千葉ロッテ。負けたら4位転落の状況で迎えた2023シーズン最終戦、4位・東北楽天を相手に勝利を収め、3位・福岡ソフトバンクと「0」差の2位でシーズンを終えた。
本記事では、投手編、野手編に分け、千葉ロッテの2023シーズンを振り返っていく。
打撃成績は改善も、ポジションを固定できず守備のミスが目立つ
レアード選手、マーティン選手の両助っ人が球団を離れ、その穴を埋める形でポランコ選手を獲得。昨季137試合に出場した高部瑛斗選手もけがで離脱したが、岡大海選手、藤原恭大選手、角中勝也選手らが出場試合数を伸ばし、打線を支えた。
結果的にはチーム打率.239(リーグ4位)、100本塁打(同4位タイ)の成績。四球数は昨季の433から453に、長打率も.342から.354と微増、昨季の95併殺から79併殺に減少と改善がみられた。
一方でリーグワースト2位の83失策を記録。ポジションを固定できなかったことも影響し、ミスが目立った。
球団では1986年・落合博満氏以来の『本塁打王』が誕生
今季の千葉ロッテで最も存在感を放ったのがポランコ選手。昨季は巨人に所属、138試合で24本塁打を記録した助っ人が、125試合の出場で26本塁打をマークした。
5月末時点で36試合に出場して打率.181、6本塁打20打点と打撃不振に苦しんでいたが、6月に月間打率.348を記録。7月は月間打率.233に終わったが、8月に月間打率.294、8本塁打を放ち、2年連続の20本塁打に到達する。
9月以降に6本塁打を記録し、球団では1986年の落合博満氏以来となる『本塁打王』のタイトルを獲得。自身初のベストナイン(指名打者)も受賞するなど、打率.242、26本塁打75打点と、新天地で期待に応える働きを見せた。
安田尚憲、山口航輝、藤原恭大は出場数キャリアハイ
安田尚憲選手、山口航輝選手、藤原恭大選手。期待の若手たちが、キャリアハイの出場試合数を記録した。
安田選手は、5月末時点で打率.282、5本塁打17打点と好調な滑り出し。6月に月間打率1割台と数字を落とすも、7月は月間打率.273を記録した。しかし、8月、9月は打率1割台、1本塁打と大不振に。ブロッソー選手の加入で守備位置が固定されなかったのも影響したのか、数字を大きく落とした。最終的にはキャリアハイの122試合に出場。打率.238、9本塁打、43打点の成績でシーズンを終えた。
昨季、102試合の出場で16本塁打と、ブレイクの兆しを見せた山口選手。今季は自己最多の115試合に出場し、打率.235、14本塁打、57打点の成績だった。開幕から打撃不振に苦しんでいる中、4月末に左大腿二頭筋損傷で離脱。5月末に復帰すると、以降は出場を重ね、自身初の規定打席に到達した。
藤原選手も自己最多の103試合に出場。打率.238、3本塁打、21打点、5盗塁と伸び悩んだ印象だが、期待の若手たちがシーズンを通して戦ったことは来季以降大きなプラスとなるだろう。
岡大海、角中勝也。ベテランの活躍がチームを支える
若手たちが出場を重ねる中、2人のベテラン外野手がチームを支えた。
プロ10年目の岡大海選手は、109試合に出場して打率.282、キャリアハイの7本塁打をマーク。シーズン途中からスタメン出場の機会が多くなり、自己最多の372打席に立った。出塁率.371、チーム2位の50得点と躍動。オフには国内FA権を行使せず3年契約での残留を決めている。
プロ17年目の角中勝也選手は、86試合の出場で打率.296の成績。5月末時点で打率.196も、6月以降は3割近い打率をマークし、8月は15試合で打率.419の大暴れ。9月以降も状態を維持してキャリアハイの9本塁打を放つなど、存在感を示した。
14年目、38歳の荻野貴司選手は、けがの影響で50試合の出場に留まるも、後半戦に入ると、8月以降は39試合出場。打率.240、1盗塁の成績に終わったが、年齢を感じさせないプレーを披露した。
石川慎吾、友杉篤輝ら新戦力が躍動
今季途中にトレードで巨人から移籍してきた石川慎吾選手。移籍後すぐに一軍昇格を果たすと、7月は12試合で打率.516と圧巻の成績を残す。8月は打率.207と苦しんだが、9月以降は3割台の打率をマーク。得意とする左投手に対しては打率.373、対右投手も打率.313を記録するなど、左右を問わず打撃で存在感を示した。
ドラフト2位ルーキーの友杉篤輝選手は、開幕一軍入りを果たし、一軍に帯同。7月には10試合で打率.417をマークするなど、藤岡裕大選手と併用で遊撃手として出場を重ねた。8月以降は成績を落としたが、最終的には64試合で打率.254と一定の成績を残した。
藤岡裕大はキャリアハイの打率.277をマーク。中村奨吾はチーム最多の137試合に出場
藤岡裕大選手は、出場試合数は93試合にとどまったが、キャリアハイの打率.277をマーク。リーグ7位タイの54四球を選び、出塁率.389と、数多くの好機を演出し、併用ではあったが、チームトップの88試合で遊撃のポジションを守った。パーソル CS パファーストステージ第3戦では、10回裏に同点3ランを放ち、ファイナルステージ進出へ導いた。来季からは、背番号「7」を背負って戦う。
中村奨吾選手は、チーム最多の137試合に出場も、規定最下位の打率.220と打撃不振に苦しむ1年に。5月に月間打率.338の成績を残したが、数字が思うように伸びなかった。来季は万全の状態でシーズンに臨み、期待通りの活躍を見せたい。
佐藤都志也はチーム捕手最多の103試合に出場。田村龍弘も前年の2試合から大幅増
今季の千葉ロッテで、最も多く捕手のポジションを守ったのは、4年目の佐藤都志也選手。103試合中92試合で捕手のポジションを守り、盗塁阻止率はリーグ4位の.319。捕手として存在感を示した。打撃成績は打率.218、4本塁打、22打点と伸び悩んだが、今季の経験が生きていくことは間違いないだろう。
そんな佐藤都選手を支える形で、田村龍弘選手が78試合、うち76試合で捕手のポジションに就いた。昨季は2試合の出場に終わっていたが、今季は一軍に帯同。打率.166と打撃では苦しんだが、盗塁阻止率は佐藤都選手に次ぐ.300と、11年目のベテランがチームを支えた。
来季の野手争いは激化。吉井理人監督2年目のシーズンで優勝なるか
今季は若手や新戦力の活躍が目立った千葉ロッテ。和田康士朗選手も自己最多の113打席に立ち、打率.265をマーク、現役ドラフトでは埼玉西武から愛斗選手を獲得するなど、来季は外野手争いの激化が予想される。
内野手では茶谷健太選手が79試合で打率.284、池田来翔選手はけがで離脱したが、5月は打率.373と、その実力を示した。ドラフト1位で指名した上田希由翔選手も加わり、内野手争いもおもしろくなりそうだ。
2020年からの4シーズンで3度2位に着けている千葉ロッテ。若手が経験を積み、助っ人も活躍、ベテランも確かな実力でチームを支えるなど、選手層は着実に厚くなっている。2005年以来の優勝へ、激しい定位置争いを勝ち抜くのはどの選手となるか。
文・東海林諒平
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