リーグ優勝を果たしたオリックスが、シーズン2位の千葉ロッテを迎え撃つ構図に
10月16日の試合結果により、「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルステージ」の対戦カードが決定。レギュラーシーズンを制したオリックスが、ファーストステージを勝ち上がった千葉ロッテを本拠地・京セラドーム大阪で迎え撃つ構図となった。
今回は、両チームの主力選手がレギュラーシーズンにおける京セラドーム大阪での公式戦で残した成績と、対戦相手とのカード別成績を紹介。ファイナルステージにおける両チームの“相性”について、各選手が残した数字をもとに探っていきたい。
先発・リリーフともに、主力投手は概ね本拠地で好投を見せていた
オリックスの主力選手たちが、今シーズンに京セラドーム大阪で記録した成績は下記の通り。
エースの山本由伸投手は、13試合で8勝4敗、防御率1.42、奪三振率8.90と素晴らしい成績を記録。また、自身初の2桁勝利をマークした山崎福也投手は、防御率こそシーズン全体の数字(3.25)とほぼ同じながら、9試合で5勝1敗と勝率の高さが際立っている。
京セラドーム大阪で防御率1.09と抜群の安定感を示していた山下舜平大投手の離脱は痛いが、後半戦に台頭した東晃平投手も5試合で2勝0敗、防御率2.25と安定感のある投球を披露。宮城大弥投手は8試合で防御率3.38と、シーズン防御率(2.27)よりも1点以上悪化しているが、総じて先発陣はホームで好投を見せていたといえよう。
リリーフ陣に目を向けると、宇田川優希投手が10ホールド、防御率1.89、奪三振率9.47と躍動。阿部翔太投手も13ホールドに加え、シーズン防御率(2.70)よりも優秀な数字を記録した。さらに、山崎颯一郎投手も12ホールド・5セーブを挙げ、奪三振率11.48と本拠地で抜群の投球内容を示している。
さらに、シーズン途中からリリーフに回った山岡泰輔投手が防御率2.55、奪三振率9.63を記録。2年目の小木田敦也投手も防御率2.73と活躍し、貴重な左腕の山田修義投手は防御率0.51と驚異的な数字を残した。そして、比嘉幹貴投手が防御率2.00、抑えの平野佳寿投手が防御率0.95と、大ベテラン2名も慣れ親しんだ球場で流石の投球を見せている。
紅林選手と頓宮選手は本拠地で大きく成績を伸ばし、他の主力選手も活躍していた
野手では紅林弘太郎選手が打率.323とシーズン打率(.275)を上回る数字を記録し、今季の首位打者・頓宮裕真選手も打率.333、出塁率.401と大活躍。また、長距離砲の杉本裕太郎選手とセデーニョ選手も揃ってシーズン打率を上回る数字を残し、森友哉選手が京セラドーム大阪だけで8本塁打を放っている点も見逃せない。
若月健矢選手とゴンザレス選手は打率1割台と低調だったが、森選手、中川圭太選手、宗佑磨選手はレギュラーシーズンと遜色ない打率を記録するなど、主力選手の中に本拠地を苦手とする選手は少ない。投打ともにホームで成績を落とす選手が少ないこともあり、本拠地開催の恩恵は大きいと言えよう。
ノーヒットノーランを達成したエースを中心に、投手陣は盤石の相性を誇る
次に、オリックスの主力選手が2023年の千葉ロッテ戦で残した成績を見ていきたい。
山本投手は28イニングで失点がわずかに2という数字に加え、9月9日の試合ではノーヒットノーランを達成するなど、まさに相手打線を圧倒している。山崎福投手は6試合で防御率4.06とやや相性が悪いものの、東投手は2戦2勝、防御率2.13と好相性を示している。
また、宮城投手は対千葉ロッテの防御率が2021年は4.88、2022年が同6.62と、マリーンズ打線を大の苦手としていた。しかし、2023年は1.06と一転して圧倒的な投球を見せ、ついに天敵を克服してみせた。こうした相性の変化も、チームにとっては大きなプラスだ。
さらに、宇田川投手、阿部投手、山田投手、比嘉投手の4名が防御率0.00と、まさに完璧な相性を示している。さらに、山岡投手と山崎颯投手は防御率0点台、小木田投手と平野佳投手も防御率1点台と盤石で、主力のリリーフ陣はほぼ付け入る隙を与えていなかった。
相手投手陣を苦手とする主力選手も多いなかで、中軸を担う3選手に期待がかかる
打線では中川圭選手が打率.348、頓宮選手が打率.366と、打線の中軸2名がハイアベレージを記録。また、杉本選手は2021年に千葉ロッテ戦だけで13本塁打を放ったが、今季も打率.322、4本塁打と活躍。大舞台で再び相性の良さを示し、チームを勝利に導きたいところだ。
その一方で、紅林選手、宗選手、森選手、若月選手、ゴンザレス選手といった主力選手が千葉ロッテ投手陣を苦手としている点は気がかりだ。そんな中で、カード別の打率がレギュラーシーズンを上回っている、野口智哉選手、セデーニョ選手、宜保翔選手の3名が、インパクトを残せるかにも注目だ。
敵地で苦しんだ先発投手が多いが……
続いて、千葉ロッテの主力選手の京セラドーム大阪での成績を確認しよう。
シーズン最終戦とファーストステージ第3戦でともに無失点の好投を見せた小島和哉投手だが、京セラドーム大阪では2試合で防御率7.15と打ち込まれている。また、メルセデス投手と美馬学投手も防御率5点台と、先発陣に相性が悪い選手が多いのは気がかりだ。
その一方で、西野勇士投手は1試合で8回無失点、佐々木朗希投手は3試合で防御率1.71と、頼もしい先発投手も2名存在。西野投手は中10日の登板が基本だったシーズン中よりも登板間隔が短くなり、佐々木朗投手も万全のコンディションではないものの、先発の頭数事情を鑑みてもファイナルの終盤戦に先発する可能性は大いにあり、両投手の投球がシリーズ突破のカギを握る可能性はありそうだ。
リリーフ陣では、東妻勇輔投手、坂本光士郎投手、西村天裕投手、澤村拓一投手、澤田圭佑投手の5名が防御率0.00を記録。抑えの益田直也投手も防御率2.25と一定以上の数字を残しているだけに、ファーストステージ同様に早めの継投に動き、リリーフ陣をフルに生かす戦い方を選択する可能性はありそうだ。
躍動を見せた3名の右打者が、強力な投手陣を攻略する突破口となるか
打線では、中村奨吾選手、ポランコ選手、安田尚憲選手、山口航輝選手と、多くの主力選手が低打率にあえいだ。また、好打者の角中勝也選手と石川慎吾選手もシーズン全体に比べて打率を落としており、今季は京セラドーム大阪を苦手にしていた打者が多いのは確かだ。
そんな中で、荻野貴司選手が打率.364、茶谷健太選手が打率.353、岡選手が打率.333と、3名の右打者が好成績を記録している。オリックスには宮城投手、山崎福投手と2枚の先発左腕が存在するだけに、敵地と相性の良い選手たちが突破口を開けるかに注目だ。
リリーフ陣は奮闘を見せており、継投策がポイントに
最後に、千葉ロッテの主力選手が今季のオリックス戦で残した成績を紹介する。
小島投手、メルセデス投手はともに防御率5点台、美馬投手は防御率4点台。京セラドーム大阪だけでなく、オリックス打線そのものを苦手とする先発投手が多いだけに、5試合で防御率2.23と相性の良かった種市篤暉投手の故障は大きな痛手となっている。
西野投手、佐々木朗投手の2名はカード別成績でも好成績を記録しているだけに、やはり両投手が先発する試合をチームの勝利に繋げられるかがポイントだ。さらに、リリーフ陣では坂本投手を除く、ほぼ全ての主力投手が一定以上の投球を見せた点も明るい材料だ。
カード別の成績においては、一定以上の数字を記録する選手が少なくない
野手ではポランコ選手と山口選手が打率1割台中盤と、本塁打が期待できる選手が揃って苦しんだ点は懸念材料だ。しかし、先述した荻野貴選手、茶谷選手、岡選手の3名はオリックスとの相性そのものが良好で、藤原恭大選手も打率.262とシーズン打率を上回る成績を残している。
また、敵地を苦手としていた角中選手と石川慎選手も、対戦打率は一定以上の水準に達している。そして、ファーストステージ第3戦で劇的な同点3ランを放った藤岡裕大選手も、球場別・カード別ともに打率.260台と極端に苦手としているわけではない。大逆転でファイナルの切符を勝ち取った勢いそのままに、強力投手陣を打ち崩せるか。
大舞台でも相性の良さを生かし、チームを日本シリーズに導く選手が現れるか
今回と同じ顔合わせとなった2021年のファイナルステージでは、オリックスが圧倒的な強さを見せ、最短の3試合でシリーズ突破を決めている。リーグ3連覇中の王者が今回も盤石な戦いぶりを見せるか、それとも千葉ロッテが2年前のリベンジを果たすか。2023年のパ・リーグの最後を飾るシリーズは、ファンならずとも要注目の大一番となりそうだ。
文・望月遼太
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